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党員用討論欄

くまさん同志およびタケル同志へ

1999/11/7 編集部S・T

 この間いただいたいくつかの投稿について簡単にレスいたします。

 まず、東ティモールへの財政支援はそんなに「反革命的か」という、くまさん同志の投稿について。
 東ティモールへの財政支援ないし人道支援については、誰も否定していないと思います。むしろ、それは、日本政府としても、今後、積極的にやっていくべきでしょう。残留派民兵による破壊・放火等によって、ほとんどの都市機能が崩壊し、インフラが崩壊しているとの情報もありますので、インフラ整備、都市機能の再建、医療・教育・生活などの分野において、日本政府がやるべきことはたくさんあり、その方面への財政支援をやらせるよう、共産党としても積極的に働きかけるべきでしょう。
 問題は、そのような「財政支援」や「人道支援」一般ではなく、多国籍軍への財政支援です。軍事的分野以外の無数の分野があり、そこに積極的に財政支援するのではなく、なぜ多国籍軍派遣への財政支援をするのか、そしてそのような軍事分野への財政支援は憲法9条に照らして正当化できるのか、という問題があるわけです。軍隊派遣への財政的支援が容認されるとしたら、ではなぜ人的支援は否定されるのか、という問題も提起されます。国連決議があり、目的に道理があるという理由づけで軍隊派遣への財政支援が日本として許されるとしたら、そのような限定があれば人的支援も許されるのではないか、そしてそれが許されるとしたら、そのような限定つきで人的支援を容認する立法措置が出てきたらどうするのか。あるいは、そのような規定を持った憲法の改正が提起されたらどうするのか、等々という問題が生じます。
 現在の支配層が、どういう理屈であれ、軍隊を海外に派遣することを正当化したいと思っている現状において、国連決議と「道理ある目的」という2つの理由で、多国籍軍派遣への財政支援を共産党として容認することは、きわめて危険な政治的選択であると言えるのではないでしょうか? 日本としての財政支援はインフラ整備、医療・教育などの人道的支援に限定すべきだと主張すれば、それで、共産党の政治的立場としてとくに問題はなかったと考えますが、どうでしょうか?

 次に、タケル同志の投稿についてですが、いくつか問題が提起されていますので、それに沿ってレスします。
 まず、表現上の問題ですが、たしかに一般党員にとってわかりにくい表現、あるいは、党指導部に対して厳しすぎる表現が多々あることは承知しています。こうした表現の問題は今後ともより慎重にしなくてはいけないと、編集部でも話し合っています。しかしながら、問題の性質からして、いくつか専門的な用語が登場するのは一定やむをえない側面がありますし、党指導部に対する厳しい物言いについても、そう言わざるをえない局面があると考えます。
 とくにタケル同志が問題にしていた東南アジア歴訪における党指導部の態度は非常に問題であり、あれぐらいの厳しさは当然ではないかと思います。マレーシア、シンガポールを訪問したときの共産党代表団の政権美化発言は、東南アジアの現政権によって弾圧されている民主勢力、社会主義勢力に対して、いったいどういう悪影響を及ぼすか考えてみてください。また、日本共産党自身、かつてソ連共産党や中国共産党が日本を訪問して自民党政府を美化する発言をしたとき、もっと厳しい調子で批判したのではなかったでしょうか? それと同じことを日本共産党が東南アジアでしているということに、私たちは非常に憂慮の念を抱いています。
 不破指導部の右傾化の構造的原因については、『さざ波通信』第2号におけるインタビュー「不破政権論――半年目の総括」(下)で一定行なわれているので、ぜひそれを参照にしてください。必ずしも十分とは言えませんが、一定の問題提起になっていると思います。
 このサイトが規約に違反しているのではないかとのご指摘ですが、このサイトの運営にひっかかる条項は現在の党規約にはありません。「公開の討論は、中央委員会の承認のもとにおこなう」というのは、規約第3条第1項をよく読めばわかるように、党の会議や機関紙上での「公開討論」のことです。党の会議でも党の機関誌でもない『さざ波通信』での討論は、この条項の対象にはなりません。
 「党の統一を守るという立場とは思えません」とタケル同志は書かれていますが、私たちは分派を推進したり奨励したことはありません。また、マスコミなどで共産党に対する不当な攻撃がなされた場合には、『さざ波通信』各号で適時、反論を加えており、全体として党を擁護する立場に立っています。党指導部に対する公然たる厳しい批判が「党の統一を守る立場に立たないことだ」と考えておられるのであれば、それは「党の統一」というものに対する認識の相違によるものと思います。「党の統一」というものは、種々の誤りを一般大衆から隠すことによってではなく、一般大衆を巻き込んだオープンな堂々たる議論によってこそ、鍛えられ、発展しうるものだと、私たちは考えています。
 また、「『党のいかなる組織や個人にたいしても批判することができる』のは党の会議だけのはずです」とタケル同志は述べておられますが、これは、規約の誤った解釈によるものです。規約第3条第5項は、党員の権利として、「党の会議で、党のいかなる組織や個人にたいしても批判することができる」と規定していますが、これは、党の会議の場以外では批判してはならない、という意味ではありません。もし規約第3条第5項が、「党の会議でのみ、党のいかなる組織や個人にたいしても批判することができる」という表現になっていたなら、タケル同志の解釈は妥当なものだと思いますが、その場合には、『評論特集版』の大会議案討論などで党員や党組織を批判することさえできなくなるでしょう。
 ただし、これまでの通常の(不正確な)規約解釈にもとづくなら、このサイトの運営が規約違反に問われる可能性は高いと思います。そういう意味では、「それなりの自覚と覚悟」にもとづいてこのサイトは運営されています。
 今後、個々の問題をめぐってより具体的な討論ができたらな、と私たちも考えていますので、今後とも積極的にご投稿ください。このサイトは何よりも、現役の日本共産党員のために開かれたものですから。