一、リトアニア共和国に派遣されたソ連軍部隊は、武力によって国防省、プレス・ビル、テレビ・ラジオ局、国際電話局などを攻撃、制圧下におくという暴挙にでた。この武力行使によって百数十人の死傷者がでたとつたえられている。
わが党は、すでに十二日、今回の事態にたいしてゴルバチョフソ連大統領・共産党書記長に抗議電をうち、軍事力行使をただちにやめるようもとめた。十三日以降の武力行使のいっそうの拡大は、わが党をふくむ全世界の抗議を無視し露骨な大国主義的蛮行であり、日本共産党はこれを断固として糾弾し、不当な武力行使をただちに中止するようにつよく要求する。
われわれは、リトアニアその他の独立運動のなかで、アメリカに介入をもとめるとか、その期待とも結びついて資本主義復活を宣言するなどの傾向が生まれていたこともよく知っているが、そうした問題も、当然、リトアニア国民の意思を基礎に平和的な話しあいをつうじて解決すべきであり、ソ連政府による武力行使の正当化の理由となりうるものでは、断じてない。
一、リトアニアでは、ソ連軍の武力行使を支持する「国家救済委員会」なるものが、なんら正当な合法的根拠をもたずにリトアニアの「全権」を掌握したと発表したが、これは、かつてソ連がチェコスロバキアやアフガニスタンを侵略したさい、親ソ傀儡(かいらい)政権をつくりあげて侵略の「合理化」をはかった手口をまざまざと想起させる。
わが党は、「ペレストロイカ」の名によってすすめられているゴルバチョフ政権の政策が、かつてのスタリンやブレジネフらによってくりかえされてきた大国主義・覇権主義の誤りへの根本的反省を欠いているという重大な問題点をもつことを、かねてからきびしく批判し、バルト三国にたいしても「ゴルバチョフ政権が、軍事力の行使を含む威嚇と圧力をただちに中止し、レーニンの精神、科学的社会主義の民族自決権擁護の原則にもとづき、民主的、平和的な話し合いによってリトアニア問題をはじめバルト三国問題などを打開するための積極的な努力をおこなう」ことをつよく要請してきた(一九九〇年四月三日・中央委員会の論文「科学的社会主義の原則とバルト三国問題―リトアニアをめぐる事態を中心に」)。今回のソ連の暴挙は、まさにわが党が警告してきたスターリン・レジネフ型覇権主義の不幸で野蛮な新しい再現にほかならない。それはまた、ゴルバチョフ政権が近来かかげはじめた「人道的、民主的な社会主義」なるものの無原則的な実態をもうきぼりにすることになった。
一、重大なことは、リトアニアへの今回の武力弾圧がエストニア、ラトビアなど他の共和国でもおこなわれようとしていることである。さらに、こうした民主主義に逆行する「力の政策」がソ連全土におよぶこともつよく危惧(きぐ)されている。わが党は、こうした愚行が他の諸共和国にひろげられることが絶対にないよう、きびしくもとめるものである。
一、リトアニアなど今日のバルト三国の民族問題は、もともと一九三九年の独ソ不可侵条約秘密追加議定書にもとづく三国のソ連邦への併合に端を発したものである。ゴルバチョフ政権は、この独ソ密約の存在と不当性はようやく一昨年夏に認めざるをえなくなったものの、併合自体はソ連邦への正当な「加盟」だったとの立場にいぜんとして固執するという矛盾した立場をとりつづけている。これが、民族自決権の徹底した尊重という科学的社会主義の原則に反することは、わが党がくりかえし指摘してきたことである。
ソ連の民族問題の正しい解決のためには、この問題の根底にあるスタリンいらいの大国主義的・要権主義的政策の誤りの根本的是正がもとめられていることを、わが党はかさねて強調する。そして、リトアニアなどでの武力行使とその企図の即時中止、バルト諸国からのソ連軍の撤退、バルト諸国民の独立要求の尊重、その基礎にたって問題解決を平和的話しあいの軌道にのせるためのあらゆる努力をつくすことを、きびしく要求するものである。