日本共産党資料館

ソ連資金問題での週刊誌の報道について

一九九三年四月八日 日本共産党国際委員会責任者 佐々木陸海

 ソ連資金問題での週刊誌の報道があったが、日本共産党としてソ連に資金を要請した事実はないし、党本部の建設資金をふくめ、党の財政にソ連資金が流入した事実はない。
 野坂、袴田への資金提供問題にかんしては、昨年来のモスクワでの調査でわが党が入手した文書の中には、今回報道された文書はふくまれていなかった。記事によると、クレムリンの古文書保管所からのものとされているが、この古文書保管所はこれまで一般には公開されておらず、わが党の調査要求にたいしても閉ざされていたところである。
 しかし、野坂と袴田が、それぞれ、党にかくれてソ連とひそかに特別の関係をもち、内通者の役割をはたしてきたことは、党のこれまでの調査ですでに明らかになっていた。報道では、この資金提供日本共産党に結びつけるうえで、コワレンコの発言が中心的な役割をはたしているが、コワレンコは日本共産党にたいするソ連覇権主義の干渉工作の組織者であり、内通者たちとも長期にわたって特別の関係をもち、しかもその陰謀のためにはどんな虚構をも平気でふりまいてきた札つきの人物である。このような人物に客観的な証言能力などまったくないことを、きびしく指摘しておきたい。
 野坂、袴田への資金提供問題そのものについては、必要な調査をおこなったうえで、見解をしめすつもりである。

(「赤旗」一九九三年四月九日付)


ソ連共産党秘密資金にかかわる時事通信などの報道について

一九九三年四月十三日 日本共産党 志位書記局長が談話

 日本共産党の志位和夫書記局長は四月十三日、時事通信やTBSがモスクワで入手した旧ソ連共産党にかかわる資金問題資料の報道について、つぎの談話を出しました。

 、時事通信やTBSがモスクワで入手したという旧ソ連共産党を中心とした「秘密基金のリスト」などの資料は、わが党の要求にもかかわらず、ロシア当局がわが党への公開・提供を拒否してきたものである。
 この問題についての日本共産党の基本的な見解は、すでに「赤旗」四月九日付で明らかにしている。日本共産党として旧ソ連共産党に資金を要請したことはないし、党の財政にソ連資金が流入した事実はない。

 、資料の真偽を速断することはできないが、「リスト」によれば、一九五五年に「二五万ドル」が日本共産党に「拠出された」ことになっている。かりにそういう「資金」の流れがあったとしても、それは、党として要請したり受け取ったりしたものではまったくない。一九五〇年から五五年までの期間、党中央は解体し、党は分裂していた。分裂した一翼が亡命先で「北京機関」なるものをつくり、ソ連、中国はこれを公認して、これに援助を与えていたが、第七回党大会で統一を回復した日本共産党は、これを正規の「機関」とは認めてこなかっただけでなく、今日では大国覇権主義の手先としての活動であったことを指摘している。

 、「リスト」は、五九年に「五万ドル」、六二、三年に各「一五万ドル」が「拠出された」としているが、その対象となったのは、それぞれ党にかくれてソ連とひそかに特別の関係をもち、内通者の役割をはたしていた野坂参三や袴田里見(いずれもわが党から除名)らであり、それが、わが党への干渉、破壊の意図とむすびついたものであることは、先の見解で指摘したとおりである。六三年分の「リスト」に、志賀義雄、神山茂夫という明白な内通者への各「二千五百ドル」の「援助」が明記されているのも、それを裏書きするものである。

 、わが党は、ソ連への一部の追随者、内通者たちへの資金提供問題については、必要な調査をへて、必要な見解をしめすつもりである。

(「赤旗」一九九三年四月十四日付)