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靖国神社は断じて「慰霊」「鎮魂」施設などでは無い

2004/1/4 社会主義者、40代、派遣アルバイター

小泉首相が元日に靖国参拝 中韓両国が強く反発
 小泉純一郎首相は1日午前、東京・九段北の靖国神社を参拝した。2001年4月の首相就任以来、年1回参拝しており今回で4回目。元日は初めて。首相は参拝後、記者団に「日本が平和のうちに繁栄するようにとさまざまな思いを込めて参拝した」と強調、今年の参拝は今回限りとの考えを表明した。
 靖国神社にはA級戦犯が合祀(ごうし)されているため中国や韓国などは参拝に強く反発してきた。首相が元日を選んだのは「初詣で」の形で参拝することで批判をかわす狙いがあるとみられる。だが、中国の王毅外務次官が「強い憤りと非難を表明する」と抗議するなど反発が出ており、中断している日中首脳の相互訪問や北朝鮮をめぐる6カ国協議再開への調整にも影響が出る可能性がある。韓国も外交通商省が報道官声明で「憂慮と憤怒を禁じ得ない」と強く批判した。(共同通信)

[コメント]
 21世紀になっても執念深く「大日本帝国」の怨念引きずりさ迷い出てくる靖国亡者の参拝。正月早々うんざりするが、とりあえず抗議の意味を込めて、下記投稿を上梓しておきます。

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靖国神社は断じて「慰霊」「鎮魂」施設などでは無い

■靖国神社概要
 靖国神社は、明治2年(1869)に明治天皇の思し召しによって、戊辰戦争(徳川幕府が倒れ、明治の新時代に生まれ変わる時に起った内戦)で斃れた人達を祀るために創建された。
 初め、東京招魂社と呼ばれたが、明治12年に靖国神社と改称されて今日に至っている。
 後に嘉永6年(1853)アメリカの海将ペリーが軍艦4隻を引き連れ、浦賀に来航した時からの、国内の戦乱に殉じた人達を合わせ祀り、明治10年の西南戦争後は、外国との戦争で日本の国を守るために、斃れた人達を祀ることになった神社である。

■靖国神社御祭神戦役・事変別柱数
 明治維新    7,751  西南戦争  6,971
 日清戦争   13,619  台湾征討  1,130
 北清事変    1,256  日露戦争 88,429
 第一次世界大戦 4,850  済南事変   185
 満洲事変   17,176  支那事変 191,243
 大東亜戦争 2,133,885   合計 2,466,495 (平成15年10月17日現在)

     靖国神社公式HPより

 以上の資料で明らかなように、

①靖国神社は最初から死者を選別している。

 靖国神社には天皇制政府の国体護持や戦争遂行に功績のあった人間しか祀られていない。幕末の会津藩士、西南戦争の西郷軍兵士、東京大空襲などの犠牲者は最初から排除されている。広く戦争犠牲者を弔う姿勢は微塵も無い。「死者の生前の行いに鞭打つ所業」云々は靖国亡者がA級戦犯合祀批判者に反論する際の常套句だが、靖国神社自体が「死者を生前の行いに準じて選別」しているのである。

②靖国神社は「慰霊」「鎮魂」施設などではない。

 靖国神社の由来は「鎮魂」ではなく「招魂」である。
 犠牲者の魂を安らかに弔うのではなく再びこの世に呼び寄せ敵討ちさせる、戦意高揚の為につくられた施設である。だから、靖国神社公式HPの「遊就館」のページにあるように、徹頭徹尾「大東亜戦争」肯定の戦争観に沿った展示がされているのである。それは、下記の広島原爆慰霊碑の碑文とは対極の思想である。

  安らかに眠って下さい/過ちは繰返しませぬから

③戦犯復活によって慰霊の歴史は歪められた。

 今や靖国亡者の中心部隊と化した日本遺族会だが、その前身は日本遺族厚生連盟(以下、連盟と略す)である。連盟は当初「遺族の救済と相互扶助」を目的とし、規約にも「戦争を防止し、世界の恒久平和を確立し、全人類の福祉に貢献する」とあった。それが、戦後の逆コース・公職追放解除措置によって賀屋興宣のようなA級戦犯が政界復帰を果たし、政府の支持・援助を受けていた連盟幹部として居座るようになった。連盟は規約から反戦・慰霊の部分を削除し、英霊を称える組織「日本遺族会」に変質させられていった。

 ・詳細は王希亮「日本遺族会とその戦争観」参照。

 現在、日本遺族会が組織しているのは全遺族の約半数でしかない。日本遺族会の方針に飽き足らない遺族の方々はキリスト教遺族会などと共に1986年、「平和を願い戦争に反対する戦没者遺族の会」(平和遺族会)を結成した。以下、昨年の小泉首相の靖国参拝に対する平和遺族会の抗議声明を以って、靖国亡者への反論とする。

 小泉首相の靖国神社参拝に対する抗議声明(2003年1月14日)
 本日、小泉首相は首相就任以来3度目の靖国神社参拝を行った。首相は、参拝後、記者団に対して、次のように答えている。
 「戦没者に対する敬意と感謝を込めて、哀悼の念を示したものだ」。中国や韓国への説明についても、「どの国でも伝統とか文化は尊重しあっているし、仲良くできるのでは」と。
 首相のこうした考えに基づく靖国神社参拝を、私たちは、戦没者遺族として到底認めることはできず、強く抗議する。
 言うまでもなく、靖国神社は明治以来の「天皇や国のために戦って死んだ戦没者」を「英霊」、神として祀る宗教団体・宗教法人である。このような靖国神社を、国を代表する首相が参拝することは、日本国憲法第20条に明記されている政教分離原則に抵触することは明白である。ましてや、首相就任以来3年連続の参拝の違憲性は、これまでの司法の判断からも明らかである。
 同時に、アジアに対して長期にわたって侵略・加害の歴史を繰り返した日本にあって、靖国神社は軍国主義の精神的支柱の役割を担った。しかし戦後、靖国神社は侵略戦争を指導した最高責任者らを合祀し、今日に至っている。
 さらに首相は、1月20日から始まる通常国会において、戦争に道を開く有事法制の本格的審議・成立を強調してはばからない。しかもイラク攻撃を辞さないアメリカを全面支援する政府は、すでに自衛隊・自衛艦の海外派遣を行っている。
 私たちは、再び戦争に加担せず、真の平和を創り出すために、戦没者を「英霊」とし顕彰する靖国神社に今なお勝手に合祀されている旧植民地の戦没者遺族の悲しみと怒りを顧みず、一部の戦没者遺族の声にのみ答える首相の政治姿勢に改めて強く抗議する。
 2003年1月14日
 平和遺族会全国連絡会
 (代表=小川武満、事務局長=西川重則)