東京都教育委員会は今年の都立高校、養護学校などの卒業式において、昨年10月の
通達に従わず、起立や君が代斉唱を行なわなかった教職員180名の懲戒処分を決め
たと言う。
この中には少・中学校はまだ含まれていないから、これからも「確任」次第、更に大
量の処分者が出ると言う事である。
「日の丸」と「君が代」に送られて、連日のように自衛隊がイラクに送り込まれてい
る今、それに呼応して石原慎太郎が教委の尻を叩き、「教育現場正常化」のため、
「喜んでお国のために命を捨てる子供たちを育てる」ために行なった最初の処分であ
り弾圧である。
「教育は国の基本である」、しかし戦前はこの理念の下に「教育勅語教育」「皇民化
教育・小国民教育」が行なわれ、その結果として多くの若者が戦争に動員され、アジ
ア2000万の人々を殺し、そして国内でも300万の尊い命が奪われたのである。
教育は為政者によって、またそれに忠実に従う人々によって、無垢の子供達を軍国少
年に育て、天皇や国家への絶対服従の心を注入し、アジアの隣人を侮蔑し、差別意識
のもとに、人殺しをなんとも思わない皇軍兵士と、命の尊さを知らない特攻兵士を育
て上げ殺して行った。
小泉政権が足を踏み入れた戦前回帰への道、日の丸や君が代を強制し子供達を全て
「国家意思に従わせる教育」が現実として、懲戒処分という強制力を持って開始され
たのだ。
私たちの地区では、今年に入って各地区教育委員会、各市教育委員会に、「卒入学式
に日の丸・君が代を強制しないように」との文書で申し入れを行い、そして全てでは
ないにしろ、各教育委員会の責任者担当者と各々数時間に及ぶ相対での交渉を持った。
押しなべて「学習指導要領にもとずく指示を行なっているだけ」「強制はしないし処
分もしない」と言い張る彼らに対し、この交渉は参加する現場教師、職員、保護者、
市民たち全てが自分の持てる教育への知識、考え方、教育基本法や憲法条文を駆使し
ての、それこそ妥協のない、息詰まる、そして子供達への思いやりの涙をこらえての
必死の交渉である、時には罵声も飛ぶし、ある時は真夜中12時を過ぎての交渉もあっ
た。
その成果は実際に各地各学校での卒業式(そして入学式で)で確認するしかない。
今年は教育基本法改悪の懸念と、昨年12月23日の教育基本法改悪反対集会の、そ
れこそ組織を超えた一大結集という大いなる盛り上がりもあって、東京での結果を注
目していた。
この地区の現場からは、様々な闘いのニュースが、「頑張ったらしい」等が報じられ
て来ていた。
そこにこの東京での大量処分の報道である、しかしこの大量処分という事実は現場で
の日の丸・君が代反対の闘いの成果の反映だと考える、石原慎太郎が牛耳る極反動の
東京で、これだけの闘いが展開されたいるのだと更に確信を深めるだけである。
この春も小森陽一さんを初めとする有志を中心に「教育基本法改悪反対」の様々な集
まり、闘いが全国各地区で展開される。
是非、昨年にも負けず、石原慎太郎の脅しにも屈せず「教え子を再び戦場には送らな
い」闘いを全ての教職員、保護者、市民、労働者が力を合わせ展開して行きたいもの
である。