私の目が節穴なのか、それとも変わり者の発想なのか、はたして的を射た意見なのか というのは読んでくださっている方の判断に任せるとして、今回の選挙結果、そして イラク撤兵を打ち出した背景には、いささか疑問を感じる。
世論調査によれば、列車爆破テロの直後、自国(スペイン国内)のイラク派兵やアメ リカの姿勢に対する国民の目が大きく反対の方向に向かって動いた、とある。
これは、どういう事か?
私なりの解釈で恐縮だが、どうも今回の一連の動きを見ていて、テロリストという人
種は、単なる原理主義的な頑固癖を持っていて、気に入らない事があればすぐさま過
激な犯行に及ぶという目先の利かない暴力主義者ではなく、ある意味においては賢い
人間だということが判った。
(これは断っておくが、テロを肯定しているわけではない。)
今回のスペイン新政権の樹立は、確かに派兵反対派などの考えを持つ人の主張が国民 の支持を得、その投票結果によって成し得たものと言える。
しかし、これは一部分的な読みではあるが、どうもテロリズムというものによって操 作、先導され、成し得たもののようにも見えるのだ。
もしもテロリストの動き如何(いかん)で、各国におけるイラク問題(その他の問題
においても)に対する世論が変動し、それが大きな影響を与える一因ということにな
れば、テロリズムが世論を動かし、結果そのものに影響を与えるということの実証と
なり、ある意味においては政治的な方法論の一つとして実際に機能する事にはならな
いか?
そう思う。
ちなみに断っておくが、これは懸念である。
もしも、その力が元でブッシュ政権が倒れ、アメリカのもくろみが崩れ、結果的に安
定的なイラク統治に結びついたとすれば、それは誰の功績であろうか?
その場合は、もちろん全てがテロの影響とは言えないのではあるのだが、平和的な解
決策を唱える人間の力とともに、テロリズムもその功績を分け合った仲間だと言えな
くはないか?
結果論的に考えての話だが、逆にテロ側の影響力というものが平和的解決を望む人間
の貢献の度合いよりも上回っている場合も考えられる。
少なくとも、デモ行進や、ただ単に批判だけを唱えていたり、指をくわえて見ていた
ような人よりは功績的には上であろう。
そうなれば、この問題はテロによって解決され成し遂げられたのだ!などという勝ち
名乗りと、大義名分などとは認められないだろうが、テロも世界を作る上での方法論
の一つであるということを世間に知らしめ、心のどこかで認めさせる結果ともなろ
う。
「平和的に」「人間の尊厳をもってして」とは、確かに聞こえが良い。
しかし、人の世界においては「背に腹は変えられない」事も事実であろう。
正義無き力を証明しつづけるような姿勢の人間は、一気に右傾化の波にのまれかねな
い。
少なくとも私個人としては、テロは暴力的であって、方法論としては望ましくないも
のであると思うのだが、今の世の中では(いつの時代も、と言われるかもしれない
が…)力無き正義よりも正義無き力のほうが台頭するようである。
今回の一連の動きは、今までに平和を求めて戦ってきた人への警鐘でもあると思う。
一体、今まで何をしてきて、どんな結果を導き出してきたのか?ということである。 もしも、そういう人間であるとご自分で思われる人、もしくは自負する人は、お暇な 時間でもあれば心に問いかけて見ていただければ幸いである。
社会党が倒れ、共産党も、もはや風前の灯である。
これは、民主党が出来たからか?こんな事を書くとテロに肯定的だ!と言われるかもしれないが、そういう人が『力を 持った正義』とならなければ、今後、世論が許さないところまで来ているのではない か?と思う。
これは、今後の世界のあり方に一石を投じるような大きなテーマを投げかけたように
思う。
『正義』は確かに正しいが、それは床の間に飾っておいて、たまに磨いたりして楽し
むものではないと思う。