私の父は、民間委託により早期退職を余儀なくされました。それまで、リストラと いうものに無縁だった為、実際にリストラに遭われた方の心情を私は知るよしもなく、 ただただ大変だなあと思っていただけでしたが、今回身近に訪れた事で、その苦悩が どれだけ大変なのかという事を、思い知らされています。
父は、第二の人生を歩むべく、50歳で大型二種免許を取得しました。しかし、色々
なバス会社を当たってみるものの、年齢と経験ではねられ面接すら受けられない状態
です。求人には「年齢制限なし 末経験者可」と記載されているのに、箸にも棒にも
かかりません。
もともと真面目な父は、前職場の紹介状と感謝状に加え、20年間車通勤だったに
もかかわらず、無事故無違反。人格的に不採用だったとはとても考えられないのです。
なんとかバス職を見つけようと、私も色々と当たってみました。沿線の市役所5つ・
ゴルフ場・ホテル・レストラン・バス会社・病院・幼稚園...求人があろうがなかろ
うが、とにかくアタックしてみたのです。片っ端から電話をして、この地域では問い
合わせてない施設は無いというほどの件数となりました。
しかし、結果はどれも
同じ...。
現在も状況は変わらず、家と職安を行ったり来たりの生活を送る父の表情は、日に 日に曇っていき、見るに耐えません。中高年の自殺が増加しているという理由が、わ かってしまうくらい...。
この状態をなんとかして!というのが一番の気持ちですが、こちらにメールさせて頂
いたのは、決して苦情を言う為ではないのです。
ただ父と同じように悩む方々の気持ちを、もっと深く知って欲しいのです。以前の私
のような「人ごと」ではなく、同じ立場に立って感じて頂きたいのです。だからどう
しろという訳ではないんです。職が無くて困ってる人は星の数ほどいらっしゃるし、
自力で探さなくてはいけない事は誰しも解っていると思うから。
ただ単に、経済的な問題だけでは無いのだと、国の機関に勤める方々に、少しでも
強く感じて頂きたいのです。
以前、私が出産の為に入院したとき、陣痛で苦しんでいるとろに若い看護婦さんが入っ
てきて、
「そんな事で唸ってたら産めないですよ、お母さんになるのだから頑張らないと」と
言いました。そのまま「陣痛の間隔は何分ですかか?」と聞いて出て行きました。
励ますつもりで言った言葉なのかもしれませんが、初めてのお産に不安を持っていた
私には、とてもズキンときたのです。
その後、今度は若いけれど出産経験のある看護婦さんがきて、同じように「陣痛の間
隔は何分ですかか?」と聞きました。先ほどの言葉と痛みで、グッタリしていた私は、
答える気にもなれませんでした。するとその看護婦さんは、とても辛そうな顔をして
私を見たのです。まるで、彼女にも陣痛がきているかのように....
たったそれだ
けの事なのに、なぜか気持ちが楽になってきて、落ち着いてお産に臨むことができた
のです。
どちらの看護婦さんも同じ事を聞いて、特別なことは何もしていないのです。ただ
一つ違ったのは、痛みを知っていた、感じていたという事なのです。
こんな風に、全てを実体験するのは無理だとしても、「この人の痛みを感じてみよう、 もっと深く理解しよう」と思うことによって、相手の立場をより近く感じることがで きるのではないでしょうか?そしてその効果は、意外な結果を招いてくれるのではな いでしょうか?
以下のページに、リストラによる痛み・その思いを含んだ記事が載っています。是非
ご覧になって下さい。
よろしくお願い致します。
http://www.geocities.co.jp/SweetHome-Ivory/3491/risutora.html