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ちりつもジェノサイド

2004/3/26 勘太郎、50代、教師

 私は朝起きてインターネットを見るとき、まずマンチェスター・ガーディアンとアルジャジーラ(英語版)のサイトを見ます。現在のメディアの中でもっとも信頼できるのがその二つだと思っているからです(その二つの傾向はだいぶちがいますが)。
 アルジャジーラには時々読者の意見を聞く電子世論調査があり、私はだいたい投票することにしています。
 今朝(3・26)のアルジャジーラの質問は「なぜイスラエルはヤシン氏を暗殺したか」というもので、選択肢は1「シャロンのガザ地区撤退案を支えるため」2「パレスチナのレジスタンスを弱体化するため」3「自己防衛のため」4「他の理由」5「わからない」というものでした。
 私は4に投票しました。私は今度のハマス氏暗殺をシャロンの「ちりつもジェノサイド」の一環だと考えるからです。
 この「ちりつもジェノサイド」とは何か。
 ジェノサイド(民族大虐殺)を、ナチのホロコーストやアメリカの広島・長崎への原爆投下またベトナム空爆のように大規模でそれだけにわかりやすい形で行うのではなく、少しずつ少しずつ「ちりもつもれば山となる」という形で行おうとするものです。
 シャロンがそのような意図を持っているというのは故エドワード・サイード氏が推測されたものです(『イスラエル、イラク、アメリカ』中野真紀子訳、みすず書房の中の「細目にわたる懲罰」)。
 私はその指摘を見たとき、ぎょっとしましたが、シャロンの行ってきたことと現に行っていることを考えるとき、サイード氏の推測が正しいであろうことを(寒気を覚えつつ)認めざるをえませんでした。(「ちりつもジェノサイド」とはサイード氏の表現ではありません。将棋の羽生善治さんが現代将棋は少しの得点を重ねて勝勢をつくる「ちりつも」戦略をとるとした表現からの私の造語です。)
 シャロンという人は1982年のサブラ・シャティーラ難民キャンプの虐殺の実際の指揮者であり、2000年9月のアルアクサ・インティファーダを挑発し、9・11に乗じてジェニンなどで数々の虐殺を行い、現在アパルトヘイト壁を築いてパレスチナ人民を動物のように扱うことでさらに挑発を続けている人物です。どんな基準でいっても最悪の戦争犯罪者であることに間違いありません。
 そして彼の戦略は「ちりつもジェノサイド」で一貫しています。挑発→虐殺→ガス抜き→挑発→虐殺→ガス抜きを繰り返し、占領地内のパレスチナ人民全員を抹殺もしくは国外退去させようとしているのです。
 私は先の「ガザ撤退案」もシャロンのガス抜きで、次には何らかの挑発が来るだろうと思っていましたが、案の定でした。
 このような安っぽい策略に世界が気がつかず、パレスチナ人民への迫害を世界が黙認している偽善には、ほんとうに悲鳴をあげたくなります。
 イギリスはハマスの資産を凍結するそうだが、そんなことをやるまえになすべきは、イスラエルとの国交断絶ではないのかい。