勘太郎さん、はじめまして。
しかしここで確認されるべきは、どのような古代イデオロギーが残存しているかという偶発的事情が、歴史がどのように動くかに決定的な役割をはたしていることです。
私はご指摘の古代イデオロギーについては不勉強なのですが、その論を持って「存在が意識を規定する」という唯物論のテーゼを歴史の現実に反していると見なすのはいかがかと思います。
古代イデオロギーであれ、それが現在の人々の心を捉えている以上は現代のイデオロギーでもあるはずです。古代イデオロギーそれ自体の批判が時として重要であることに異論はありませんが、それが現代において「再生産」される条件を批判することはそれ以上に重要なことだと思います。再生産される条件は古代ではなく現代にこそあるはずです。「存在が意識を規定する」という導きの糸がそこにおいて無効なのかどうか、それが問題ですね。