投稿する トップページ ヘルプ

一般投稿欄

雑感

2004/3/12 勘太郎、50代、教師

 死刑に関していくつかの議論が本サイトでされましたので、もう少し私見を述べさ せてもらいます。
 「最初は誰でも初心者」様が死刑存廃問題がこのサイトになじむかと言われている のはもっともなご意見だと思います。しかし一方では死刑制度の有無はその社会の法 的感覚のバロメーターでもありますから、まったく無関係のテーマとも言えないと思 います。けっきょく望ましいことは全体での量的バランスを各自考えながら、議論を (もしできるなら ば)深めることではないでしょうか。
 井鍋様が「死刑に値する罪もある」という考えから死刑廃止論者になれないという お気持ちは(私もそういう時期があったので)よくわかります。しかし(投稿「死刑 廃止の論理」でも述べたことですが)、「死刑に値する罪もある」という倫理的判断 (実は私もそう思う)と、死刑制度を法的に認めるかという問題は実は別の問題なの です。「こんな人はいない方が世の中のためだ」と思うことと、「「こんな人」を刑 務所に送る法律を認めること」が別問題なのと同じことです。
 そして死刑制度の最大の問題とは、死刑と終身刑の間には絶対的断絶のあること、 そのボーダーラインに当たる被告が現実に生じること、そういったボーダーラインの 被告を生と死にふりわけるのは偶発的・主観的契機しかありえないこと、したがって 死刑制度は「万人の法の前での平等」という原則といちじるしく矛盾する制度だとい うことなのです。(2、3年前にアメリカのどこかの州で州知事が多数の死刑囚の死 刑をとりやめた理由が同様の理由だったように記憶しています。)ご再考いただけた ら幸いだと思います。
 天邪鬼様にほめていただいて赤面しました。私は軽薄な野次馬根性だけのしょうも ない人間です。5・27弾圧の被告の救援には弁護団他の人々の獅子奮迅の努力があ りましたが、私はミクロの手伝いしかしていません。
 また私は現在の日本共産党を非常に冷たい目で見ていますが、具体的にどういう動 きをするかで評価を変えることにやぶさかではありません。多少なりとも日本の民主 主義に貢献する動きをしてほしいと思います。党内にとどまって声をあげられている 人々の努力が実ればいいと思っています。
 経団連会長の奥田碩氏が『文藝春秋』2004年1月号に書いた「死に物狂いで成 長を実現せよ」という文章で、年金未納者からはパスポートや健康保険証や運転免許 証をとりあげよといった主張がなされています。日本独占資本は国民の生存条件など どうでもいいと思っているようです(独占資本としては当然のことですが)。
 その奥田氏が自衛隊イラク派兵支持の急先鋒であることは偶然のことではありませ ん。自衛隊を海外に派兵できるようにすることはずっと日本独占資本の悲願でした。 その心は、経団連が今目指している「東アジア自由経済圏」(「大東亜共栄圏」の現 代バージョン)における権益を武力で護ることにあります。つまり日本は70年ほど 前と似たような状況にあります。
 これから歴史は激動します。しかし世界の条件は70年ほど前と同じではありませ ん。日本民主主義がいくら「湿って」いても、国際民主主義には世界社会フォーラム や国際反戦運動などの大きなうねりが起こっています。やがて日本にも火がつくこと でしょう。その中で一凡人としてささやかな義務をはたせればよいなと考えています。