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グッドバイ・レーニン、春の日の心温まる映画

2004/4/1 寄らば大樹の陰、50代、苦闘するフリーター

人間ってこれ程に愛しく、心優しいものになれるのか。
映画の世界と言え、嬉しく心打たれてしまいました。
題名が気になった、この危機到来の時代、「これからもう少しましにレーニンを、” 国家と革命”くらいじっくり読んでみようかな」と思っていたところに「グッドバイ・ レーニン」である。
インターネットの映画案内では全国数ヶ所でまだ上映されている、投稿された人の批 評をみると、いい・悪いが交錯している。
しかも「ハロー・レーニン」ならまだしも「グッドバイ・レーニン」だ。
「こうも書かれたらもう見るしかない」と心に決めて、ほぼ満開の桜を気にしながら 出かけた。
”お母さんありがとう”
2003年ドイツアカデミー賞やベルリン国際映画祭・最優秀ヨーロッパ映画賞を獲 得したこの映画は、私たちがつい忘れてしまい勝ちな、かけがいのない母親への息子 の一途な愛、絆の深さを描いた物語である。
”ベルリンの壁は崩壊した。だけど僕は母を守る壁を作ろうとした”
このリードが全てを物語っている、ここで内容は書かない。
しかし十数年前、この国のバブルが崩壊した頃に、それと連動するように訪れた東ヨー ロッパとソ連邦「社会主義諸国」の崩壊、激動に対し、人が如何に対応したかを映画 にしたものである。

映画を見終わって勝手に想像するのだが、人間が、少なくとも人間のために作ろうと した社会や組織が、時にはその志とは正反対の構築物をつくりだし支配してしまう事 の恐ろしさ、そして支配する方の愚かしさは非難できても、支配された人々が無理矢 理背負らされてしまう取り返しのつかない負担の重さを、抜け出そうにも抜けれない 深く長いトンネルの存在を考えてしまうのである。
私たちは今まさに、何十年に一度あるかないかの激動期に直面しようとしている。
その時に何が出来、何をしなければならないのかを問いかけてくれる映画でもあった。
是非、マルクス主義、科学的社会主義に心寄せる方、とりわけ長壁さんのようなお子 さんをお持ちの方には必ず見て頂きたい映画だと思った。
春の日の花見の前か後ろに、この映画を見ていただいて、より心を温めて下さい。