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イラクの人の視点はどこに?

2004/4/11 長壁 満子、40代、金融

 この投稿が載るころには、一つの区切りがついているのだろうか。非力な私には、祈ること、仲間を通じて、声を届けてもらうことしかできないが、今となっては、私達は、信じることしかないのではないか、信じてもらうしか・・・と言う思いで、この原稿をさざ波に送る。

 夕方、新宿での「自衛隊撤退と3人の救出」署名活動を終えて帰宅したのが、10時半。
 新聞等をみながら、私は強い違和感にとらわれた。 
 アルジャジーラサイトに札幌市長の声が掲載とか。
 「彼(今井さん)は平和を愛し、強い大志を抱く若者。このような悲惨な卑劣な暴力的行動に巻き込まれるいわれはない」
 これが相手に向けての言葉なのだろうか。日本人向けになら、まだ分かるが、今回、米軍によって、侵略され、手足を、命を奪われ、国土を破壊され、いままた、モスクに、無差別爆撃され、100人以上が犠牲になっている最中の修羅である。その蛮行を繰り返す米軍のイラク戦争をいち早く支持し、ここにきて、自衛隊という日本軍隊をおどろおどろしい重装備でイラクに出兵させた日本である。
 イラクでは今、米軍の狂気じみた蛮行によって、数万というイラク民衆が犠牲になり、占領に反対する民衆蜂起が今、全土に広がろうとしている。掃討作戦という惨い呼び名で、あたかもゴキブリでも掃除するかのように、空から、陸から大量破壊兵器を駆使し、あの悪名高いクラスター爆弾さえ、性懲りもなく使い、イラク民衆を根絶するかのような勢いだ。こうした米英の鬼畜に敢然と立ち向かうイラク人の怒りの炎が、イラク全土を襲う今、わたしたち日本人は、彼等に向けて、言うべき言葉があるのではないだろうか。
 米国の理不尽さを知りながら、ブッシュのポチ公になるコイズミ、あろうことか、3人の救出に米軍へ協力を要請とか、きちがい沙汰である。米軍と共に3人もろとも掃討作戦をするというのだろうか。
 今回、サラヤ・ムジャヒディンと名乗るイラク武装解放勢力が出した声明は、日本政府というよりは、日本国民へむけてのものである。日本政府など、この期に及んで信じてはいないのだろう。が、イスラムの人々と日本は、友好的な信頼関係を築いてきた。アフガン攻撃から3年になるというのに、イラク出兵した今もなお、全土に広がる修羅のなかで、彼らは、今井さんたち三人を傷つけもせず、「自衛隊撤兵を」交換条件にしてきたのである。これ以上、日本と敵対し、殺し殺されることを拒否する、最後の最後のメッセージではないのだろうか。テロに屈するなとか、甘くみられるだとか、訳の分からぬ言語が政府筋から聞こえてくるが、冗談もいい加減にしてもらいたい。
 私達は、まず、今日までの日本政府がやってきた悪行を、イラクの人たちに真摯に謝らねばならない。犠牲になったイラクの人たちに、哀悼の意を示さねばならない。米英とつるんで、侵略戦争をやるなど、もってのほかである。サラヤ・ムジャヒディンからいわれるまでもなく、私達日本人の一人一人が、自衛隊派兵にキッパリとNO!をいうべきなのだ。
 あと一日、私達多くの日本人が、政府とは違って、イラクのひとたちを信頼していることのメッセージを送れば、そして、引き続き、自衛隊撤退への努力を表明すれば、もしかして、可能性はあるかもしれない。殺し殺される中でも、今まで、耐えに耐えてきた、イラクの人々である。子どもを殺され、取材する日本人に、「爆撃を落とす側の人間に言うことなど何もない」と、こぶしを振るわせた男性の無念を、理解しなければならない。そして、この期に及んでも、次のようなメッセージを投げかけてくれるその、真意を私達は、読み誤らないようにしたいものである。
 「日本の友人たちへ。イラク国民は、あなたたちと友好関係にあり、尊敬もしている。しかし、あなたたちは敵意をかえしてきた。米軍は我々の土地に侵略したり、子どもを殺したり、いろいろとひどいことしているのに、あなたたちはその米軍に協力した。・・・あなたたちは二者択一をしなければならない。自衛隊が我々の国から撤退するか、それとも彼等を殺害するかだ。ファルージャでやった以上のことを3人にもやるだろう」