先日丸楠夫氏から私の投稿に対して「懇切丁寧」な解説をいただいた。仕事上の多忙さから返信が送れたことをまずお詫びしたい。
氏の投稿は要するに私の氏への発言は「誤読」であり「誤解」に満ちていて私の発言の一部は認めるが「真性共産主義者」の評価は返上するというものであったと思う。
しかし丸楠夫さん、あなたの最初の文章はそれほどわかりやすいものだったでしょうか? わかりにくいものだったからこそあなたは自分の投稿に対して再度自身で「解説」を投稿しなければならなかったのではないですか。その二度目の投稿も私にとっては決してわかりやすいものではありません。あなたは私の「誤読」、「誤解」だというがあなたの二度目の投稿でも私はあなたの問題意識がよくわからないしそのまま理解する事はできないのです。
例えばあなたは「政権獲得至上主義こそが共産主義の腐敗と堕落をもたらしたと考える」と言い、問題としたのは「もっぱら政権の獲得とその維持に目的を矮小化した政党や政治運動の危険性」だと仰っている。
また私が指摘したかつての共産主義国が武力で政権を強奪した事も国民の政治的諸権利を奪った上に国民監視と国民への弾圧で政権を維持した事も当然踏まえて上での上記の発言であると述べられている。
もちろんかつての共産主義国の支配政党が自らの「支配」を維持するためにどのような「支配構造」を作ったのかまたそれがどのように「国民」に作用して「支配される国民」はどのように「支配」を受け止めたのかを研究することは無意味ではないでしょう。
あなたは簡単に「政権獲得至上主義」と仰るがかつての共産主義国のそれがそんなものではなく言ってみれば「政権強奪至上主義」であり「政権の獲得とその維持に目的を矮小化」したなどというレベルではなく「政権の絶対維持とそのため血の弾圧システムの構築こそを自己目的化」した社会でしょう。
このことだけを見ても私はあなたの問題意識がかつての共産主義国の諸問題が解明される事にも現在の日本社会での政党の政権獲得行動の問題点や方向性の分析にも役立つものとは思えないのです。
しかし私は丸楠夫氏がどのような立場で、あるいはどのような問題意識で研究活動や啓蒙活動を行おうとも興味はないのです。ただあなたに望む事は「事実」の上に立つことです。「事実」を直視してそれを的確に「表現」する事です。どうかその点を肝に銘じて今後の諸活動をお続け下さい。
ふとあなたの年齢を見ると20代とあるではありませんか。仮に最高齢の29才としてもソ連崩壊時には16才の高校生だったはずです。好奇心旺盛のその時期にあなたが「社会主義・共産主義」に興味を持たれたことは大いに考えられることです。その年代の方がその世代の見方から社会主義・共産主義の諸問題を考え、現在の日本の政治状況の改革に関わって行こうとすることは極めて大事な事であると考えます。しかしどの年代であれ政治的発言を行おうとするならば「知りうる限りの事実に拠って立つこと」と、その主張は「誰にでもわかりやすく豊かな表現力を持つ」文章であることが求められると私は考えます。
あなたの年代には独特のロジックとアイロニーに満ちた難解な文章を書かれるとはままあることだと思います。またあなたの側には「このくらいの文章理解しろよ」という苛立ちもあるかもしれません。しかし政治(あるいは政治的発言)は単に皮肉のぶつけ合いでも知識のひけらかしでもありません。
これは決してあなたの事ではないのですが私が日本共産党に対して感じる最大の苛立ちは「科学的」社会主義の党を標榜しながら、事自らの党の「歴史」や「組織原則」の事になると「科学」の目をつぶり「歴史的事実」に拠って立つことを拒否し、党外からの党に対する善意の「発言」であっても自らの「論理」を受け入れない者に対しては独特の「難解」な言語で相手の全存在を否定する激しい非難をする事です。特にかつて「党員」であったものにはすさまじいまでの論難を行うのです。
私はあなたの投稿に対して少なからずそのような「匂い」を感じてしまったのです。それが「匂い」ではなく現実生活で周囲に対してそのように振舞われているならばそれは「真性共産主義者」だと申し上げたのです。あなた自身がそうでないと仰るならそれはそれでいいでしょう。ならばどうかわかりやすい文章をお書きくださるよう御努力ください。どうか私程度の「理解力」の者にもわかる文章であなたの問題意識を明確に伝える努力をなさるよう期待します。
今後「丸楠夫氏」が氏の年代からの視点で多くの人に理解可能な政治的発言を行う事を期待して私の投稿を結びます。