日本人5人のイラクでの人質が無事帰ってきた。あなた方の命が無事だったことを心から喜びます。
高遠さん、あなたはイラクの子供たちをいたわってあげたいと思う私たちの手でした。郡山さんあなたはイラクの民衆が帝国主義の支配下でどのように生活しているかを見たいと思う私たちの目となってくれました。安田さん、渡辺さんあなたたちはイラクの人々の声や状況を私たちに知らせてくれる声になってくれていました。今井君あなたは劣化ウラン弾の現実をありのまま私たちに伝えようと危険な現地に行ってくれた私たちの足でした。五人のかたは私たちの魂です。
もしもあなたたちのような方がいなければ私たちは遠いイラクで何が起きているか、知ることもできなければ手を差し伸べることもできません。また日本国内でイラク戦争に反対し、自衛隊撤退の運動をすることも現実を知らなければもっと難しかったのです。
私はあなたたちが日本人であることを世界に誇れると思います。
あなたたちが人質になった時、ファルージャの義勇軍があなたたちを解放したのはまず第一にあなたたちがイラクの友人として活動してきたし今後も活動することが信頼されたからです。しかしあなた方が捕らえられたのはあなた方や私の国家が自衛隊をイラクに派兵し、サマワに陣地を構築し、米軍の補完部隊となったからです。あなたたちは良心的とはいえ侵略国の国民であるからです。
およそ、軍隊が他国の領土に足を踏み入れたならば、その軍隊は侵略軍なのです。そしてその軍隊をもつ国家は侵略国なのです。
ファルージャの義勇軍は自衛隊のイラクからの撤退をあなたたちの命との引き換えに要求しました。
しかし小泉政権はあなたたちを見殺しにし、彼ら愛国者をテロリスト呼ばわりし自衛隊のイラク『派遣』は人道復興支援のためのものだから要求には応じないと言い切りました。だが米軍がイラク全土で人殺しをしとりわけファルージャ市を瓦礫にしホロコースト、皆殺しをしようとするのを静止しようとせず、どこを押して人道があり、どこを叩けば復興があり、どこをほれが支援があるのでしょうか。
どんなに反対しても自衛隊を派兵しどんなことがあっても撤退させないのはなぜでしょうか。それは世界第2位の生産力を持つ帝国主義国にふさわしい軍隊に仕上げるためにはこのイラクで米軍に次ぐ軍事力を発揮しなければならないからです。
だが日本人民の反対があるため「人道復興支援」といってでも自衛隊を派兵する以外に方法がなく、口実に過ぎないのです。政府が「人道支援」と言えば言うほど自衛隊はサマワで金縛りにあうのだが、それは日本国内の戦争に反対する人々の存在が根を張っているからそう言わざるを得ないのです。 だが第二次大戦で大きな犠牲を支払わされた日本人民の心の中に深く厭戦思想があり、反戦運動が何時爆発的に大きくなるか知れないからです。私たちがイラクの自衛隊をほとんど役立たずにさせているのです。「人道支援」は政府の意に反することです。だがこのままでは自衛隊が帝国主義軍隊としてひ弱すぎます。相手を殺し、こちらも殺されねばなりません。殺戮を繰り返して本当の軍隊が出来上がっていくのです。だからイラクの自衛隊を戦闘に放り込むためのあらゆる機会を小泉政権は狙っているのです。
あなたたちの命を救ったのは、急を聞いていたたまれず国会に駆けつけた人々、全国各地で立ち上がった人々、自分の周辺で人と会うたびに訴えてくれた人々、幾百万の人々が自衛隊を撤退させ人質を救え、小泉政権を倒せと訴えた人々の力があったからです。まさに日本人民の中の自覚された人々の戦いがイラクの愛国者に届きあなたがたは釈放されたのです。そのことは義勇軍の声明文の中にも書かれてます。そして自衛隊の撤退のために私たちがさらに戦ってくれるように彼らは訴えています。
わたしたちは5人のあなたたちと共に勝利したのです。私たちは3.20日比谷集会をメルクマールとしてこれまでの守勢から攻勢に転じたのです。3.20は反戦運動の歴史的な日であったことで足場を作り、さらにあなたたちの釈放によって勝利の足場を一歩前進させたのでした。
しかしあなたたちが生きて帰れたのは奇跡といってもいいくらい、小泉政権とわたしたちとのせめぎあいの中での辛うじての勝利によってであります。
小泉はあなたたちがイラクの『テロリスト』によって殺されることを期待していました。あなたたちが殺されればサマワの自衛隊を報復のためにイラク人を攻撃させ、イラク人を殺すことができたのですから。あなたたちは小泉に殺されようとしていたのです。日本政府はあなたたちの釈放のためになにもしていません。それどころかあなたたちが反戦活動家であることに憎悪しあなたたちの思想信条を家族にいたるまで警察、公安を使って洗い上げアカであると宣伝し、人質になったのはテロ集団との作り上げた演劇なんだとマスコミを通じて宣伝しまくったのでした。死ねば死んだで自衛隊のイラク人殺戮の契機にし、生きて帰ればイラクテロリスストの一員だと烙印を押すのでした。つまりあなたたちは『非国民』なのです。
だが、日本人民の戦う声がファルージャ義勇軍の心を動かし彼らの政治的判断で釈放されると、あくまで私たちの勝利を認めたがらないマスコミはイラクにおける聖職者の権威がテロリストを説得させたといい、政府は自分たちの努力のために救出できたのであると、厚かましくも言うのです。だが敗北した悔しさがけちなお笑いになっています。飛行機のチャーター代を60万円あなたたちに請求するのだといいます。一晩で国会議員が遊興費に使う金です。「フン、」て笑いましょう。
そしてあなたたちが人質になってから今日まで何があったか。
あなたたちが勝手にイラクに行ったのだから自己責任である。そのために迷惑したのは国民であり、政府関係者である。何をそんなに騒ぐのか。
そのようなことをあらゆるマスコミを通じて日本中に垂れ流したのである。どのマスコミもあなたたちが私たち国民の目、耳、手、足となり私たちの魂となってイラクに命をかけて行って下さったことを一言も書かないのです。小泉はマスコミを通してあなたたちを殺しにかかったのです。
批判力の弱い日本国民は何たることか、今朝テレビで聞いたこと、新聞や週刊誌の書いていたことをさも自分の考えのように言いふらし、『自己責任」ということばが日本中で蔓延されています。
まるで、大本営発表を信じきっていた戦時中と変わりないし、ファシズムはこのような雰囲気から澎湃として日本を支配するのだと思います。
三人は飛行機から降りて一言もしゃべらずそれぞれの家に向かいました。いや報道陣が寄ってたかって悪意のある質問を浴びせ、あなたたちが言いたいこと、イラクの現実を伝えたい気持ちを完全にシャッタアウトしたのでしょう。これほどの悪意を持って迎えられるとは想像だにせず、帰国すれば暖かく人々が迎えてくれ、家族の暖かな輪のなかに休めると思っていたのに、なんと言うことでしょう。高遠さんが病人のように家族の方に抱きかかえられているのをテレビで見ました。ああ、こんなことになるなら私たち戦った仲間が出迎えてあげられたらと思い、私は涙ぐみました。
高遠さんあなたは日本のマザー テレサです。再びイラクに行ってあげてください。私たちの代わりにイラクの子供たちを抱きしめてあげてください。あなたは日本の女性の誇りです。
今井さん、あなたは若いからもっと傷ついたでしょうね。しかし麦は踏まれて強く伸びるのです。あなたがこの経験を乗り越えたときどんな男にも負けない強い人間になっています。ナマッチョロイ小泉の息子なんかと、素材が違うのだよ。
郡山さん、安田さん、渡辺さんあなたたちの姿は日本にこれほどたくましい若者がいたかと思うほど、どの映像を見てもすばらしいものでした。戦場を命をかけて取材するジャーナリストの職業意識が面魂として現れています。たとえ死のうとも命をかけられる仕事をもてることはすばらしいことです。新聞社は安上がりの取材者としてあなたたちを利用してきました。しかしあなたたちの命がけの取材のおかげで私たちはイラクの真実を知ることができたのです。
「ファルージャでは数千人の子供たちが殺されてるんですよ。私の足元でも子供の死体があったんだ。」
安田さんはタラップを降りて異様な雰囲気の取材班の中で萎縮して口止めをしようとする父親にそういっていました。
「帰ったらおじいさんの墓参りをしような。いいな」
彼の父親はそういって彼を取材班から離そうとして自分と一緒に歩かせたのでした。あなたは何がなんだかわからないような顔をしていました。
いくらマスコミが日本の支配者の意を受けて日本中に悪意の宣伝を流し一時は国民も唱和するように見えても、あなたたちの誠意を心の底では尊敬しないわけにはいかないのです。
「じゃあ、あなたは、あなたや、あなたの子供さんはあの5人の人質になった人々に比べて、何をしていますか。』そう問いかければ誰も答えられません。
わたしたちの勝利が日本の支配階級を非常におびえさせたというのが、このマスコミ総動員のパッシングに現れたのです。これは支配階級の悲鳴なのです。そして日本帝国主義と労働者、人民との非和解性が明白になったということをあらわしているのです。わたしたちは敵の弱さをたっぷり見せてもらいましょう。
あなた方は恐れることもなければ、悲しむこともありません。反戦の私たちの戦いが前進すればするほど支配階級と被支配階級の対立が激しくなっていくのです。中間色はなくなり白か黒しかなくなっていく。ごまかしも妥協もなくなります。これこそわれわれの土俵であり、左右の激突こそ待っていた状況なのです。
あくまでも戦おう。
小泉打倒!
自衛隊をイラクから撤退させよ!
われわれは5人を取り戻したぞ!
追記 ありがとう、さざ波編集部
5人の人質だった人々に向けたメッセーじは数日前から書こうとしていたのでした。今投稿してほっとしてトピックスを見ると編集部がすばらしい内容のこの事件に関する意見が載せられていた。日本のマスコミがフランスの「ル モンド」に嘲笑されている。当たり前だ。日本の誇るべき若者たちをこんな迎え糧をする日本の報道機関よはじをしれ。大本営のための新聞か、テレビか。敗戦後の、新聞人の反省を忘れたか。不買運動をするぞ。