2001年8月13日の小泉首相の靖国神社公式参拝の違憲訴訟について、福岡地方裁判所は裁判所では初めて、靖国参拝を「宗教的活動」と判断し、憲法20条3項違反として違憲判決を下した。
小泉流のはぐらかしと、ウソとペテンを明快に否定した、司法の勇気ある画期的判決だ。
福岡の原告たちが「完全勝利」と沸くのは当然である。
これまで散々に裏切られ失望させられて来た司法の判断に、一縷の明るさを感じさせる裁判ともなっている。
この後に続く裁判へ、大いに期待を持たせるものである。
実はこの頃、東京にいた私は、この日、あの靖国神社の大鳥居の前で右翼と対峙していた。
戦前強制徴用された父親が、解放後も帰国せず消息を絶った為、残された娘さんが自力で懸命に調査したところ、なんと家族には何の連絡もなく、勝手に靖国に「合祀」されていた事が判明したのだ。
合祀の取り消しと謝罪を求めて靖国を訪問した韓国人女性の支援者の一員として私は闘いに参加していた。
境内の中にはずらり「武装」した右翼が陣取り、私たちに「朝鮮帰れ」と威圧を加える、私は右翼と私たちを抑えつける形で布陣する警察官をはさんで対峙し、睨みあいを続けていた。
結局、何回かの神社側との折衝の結果、どうにか遺族と通訳のみ神社・社務所内に入れることには成功したのだが、結局のところ神社側は「合祀されたものは解除は出来ない」との屁理屈一点張りで、遺族の要求を突っぱね、その後も毎年合祀取り消しの折衝は続けられている。
ところがドラマはもう一つあった、騒動が落ち着いた後、鳥居横の階段に座っていると、先ほど大声で罵りあった右翼のおじさんが近づき話しかけてきたのである。
思わず身構えようとしたのだが、彼は武装してかまえている右翼本隊と違い、嫌々動員されてきた「東京の一市民右翼」だったのだ。
はっきり言って彼の右翼的レベルは私と殆ど変わるところはなかった、「なぜそんなに韓国や在日が嫌いなのか」と聞くと彼は言ったものだ「俺たちは反日が嫌いなんじゃ、それ以外には何にもない」と、右翼って正体明かせばこんなものらしい、一水会なんて例外中の例外なのである。
この8月13日の靖国参拝は、敗戦記念日の15日を前に韓国・朝鮮、中国の非難からのがれる為に小泉が編み出した、最初のはぐらかしとペテンの作戦である、その後この手法は自衛隊のイラク派兵や公企業の民営化など盛んに利用されている。
正直、戦後補償裁判は一部例外を除き敗北し続けている。
そして既に70歳代の原告たちに、残された時間には限りがある、「国家無答責」や「時効」を隠れ蓑にして判決を連発する司法のだらしなさは頭に来ていた。
その中で今回の違憲判決は輝くのである、そして闘うハルモニ達にも一筋の希望をもたらす判決となった。
今、私たちは紛れもなく「戦時下」繰り入れられようとしている。
今後の闘いの発展の為にも、さざ波の皆さんに是非、続く靖国違憲訴訟や様々の戦後補償裁判に、心強い支援をお願いするものである。