天邪鬼様、ご無沙汰しております。
私の父の事を、気にかけてくださったこと、本当に心からお礼を申し上げます。
大きな期待を持って臨んだ市役所の面接は、残念ながら一笑にふされました。タク
シー会社に入ることを覚悟していた父を呼び戻す、一縷の望みだったのですが、面接
では「経験ないんでしょ?」と、軽くあしらわれたそうです。
経験がないという事は、一番先に申し上げていました。それでも、
「経験はありませんが、誠実な父ですから、なんとかその辺を踏まえて、雇っていた
だけないでしょうか?」
と、私は訴えたのです。 その後、面接をしてくださると聞き有頂天になりました。
まさか、初めに断っておいた経験の有無を理由に、落とされるとは思いもよりませ
んでした。
恐らく市役所は、初めから答えを決めていたのでしょう。しかし、公共機関という
お家柄、市民を足蹴にする訳にも行かず、形だけでも面接を受けさせれば、責任は果
たされる...非難を受ける事もないだろうと考えたのでしょう...。
そんな思惑も知らずに、他に何人くらいの方が面接にくるのかと質問したところ、
「○○さんだけですよ」と舞い上がる言葉をもらい、やっと、やっと父の努力が報わ
れるのだとしみじみ感じていました。
それはそれは、父の喜びようも大きくて、採用後の生活などを話してみたり、辛かっ
た失業期間を無駄では無かったと振り返ってみたり...。
面接日には、スーツをビシっと着こなして、面接で聞かれるであろう言葉を練習し
たりと、息揚々と出かけていきました。
しかし結果は....。
面接官の第一声は
「経験ないんじゃねえ...」だったそうです。それから父は、何も言えず、「採用
されないかもしれないけど、決まりだから給料のこととか一応言っておくね、一応」
という意味の無い説明につき合わされたそうです。
まるでピエロですね。
不採用はとっくに決まっていて、面接だけ受けさせるつもりなら、初めから断られ
た方がよっぽど楽だった...。
絶望の淵にあった父を落ち込ませてはならないと、結果が来てすぐにパソコンに向
かいました。今父が座り込んでしまったら、もう立ち上がる事は困難になってしま
う...そう思ったからです。
そして新しい職場を見つけ、早速人事の方に電話。
今度は、
「父も精神的にだいぶ疲れていて、限界が近いのです。ずうずうしいお願いなのです
が、全く運転経験のない父を、雇う気が無いのなら、どうぞ今ここで断ってください」
と言いました。しかしその会社は快くOK。今度は「採用は決定でも、形だけ面接をし
よう」
と言ってくれたのです。涙がでました。
後から、その人事の方が専務だったという事を知り、なんとも大胆な発言をしてし まったと、首をすぼめる思いです。
その後、父もやっと落ち着けたようで、入社日までゆっくり過ごし、今は水を得た 魚のように、仕事に行っています。
色々な辛い出来事にくじける事無く、ここまで来れたのは、天邪鬼様や、他の方々
の温かい応援があってこそ。
この場をお借りして、深く、深く御礼申し上げます。
ありがとうございました。