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一般投稿欄

「共産党の改良主義的変質と今後の展望」(S・T編集部員)を批判する

2004/05/29 一労働者 50代 会社員

1. S・T編集部員が述べる今後の展望
 S・T編集部員はさざ波通信第37号で、今後の展望を次のように述べている。

 「党の革命的再生は不可能である」としながら、「党外に新しい左派政党を結成するのは非現実的」とし、「長期的展望に立って党内に留まり、左派的陣地拡大に努めることが必要」、「われわれが展望する新しい左派政党は、けっして純粋に革命的な政党である必要はなく、まともな党内民主主義を保持した左翼中間主義政党で十分」、「われわれは、現在の長期的な反動期において過去との革命的連続性の要素をごく部分的に担い、いずれやってくるだろう左翼的高揚の新しい時代へのささやかな橋渡しとしての役割を担うことが出来れば、それは望みうる最上のもの」

 私はこの展望に大変な問題を感じている。

2.「長期的展望に立ち、党内で左派的陣地拡大」のもたらすもの
 さざ波通信は創設以来、共産党の右傾化に警告を発し、党の変質を徹底的に批判してきた。だが、党は綱領を改定し、共産主義政党でもない議会主義的改良主義政党に完全変質してしまい、党の革命的再生は不可能な事態にまで達した。ここに到ってなお、S・T編集部員は長期的に党に留まるという。目指すものが異なった党に、しかも再生不可能な党に、なぜいつまでも存在する理由があるというのか。S・T編集部員は党内において左派的陣地拡大を目指すというが、そうしたこれまでと同じ活動では、さざ波通信が党内力関係にほとんど何の影響も与えていない状況から判断して、今後も何一つ事態を変えることに繋がらないのは目に見えている。結局その活動は、党外の闘う労働者との連帯した闘いを放棄した、党内で胎内消化されるだけの自己満足にしか過ぎず、党内に長く留まれば留まるほど、目指すものが異なる党に存在する矛盾を拡大させ、自らを腐らせていくことになるだろう。

3.「目指す新しい左派政党は純粋に革命的な政党である必要なし」の問題
 さらに信じ難いのは、「目指す政党は、純粋に革命的な政党である必要なし」としている点である。これまでさざ波通信が党を批判してきたのは、党が革命的政党としての役割を放棄し、最早共産主義政党でなくなったからではなかったのか。また、さざ波通信自身、階級闘争を通じ、労働者階級の解放を目指す従来の革命的な党であることを求めてきたからではないのか。それなのに、それを求める者の数が極めて少数だからといって、自らが求める内容まで変えるというのは到底納得出来ない。革命的な政党である必要はないと、厳しい対決点を避けて左派中間派たらんとするのは、不破が革命的政党としての役割を放棄したのと何の違いがあろうか? それは、これまで続けてきたさざ波通信の活動を自ら否定するものであり、批判してきた不破に屈服するものである。

4. なすべきこと
 現在、反動化の嵐は留まる所を知らず、有事法制、イラク派兵、国歌国旗、北朝鮮問題などに見られるように、思想差別、言論統制までもが横行し、党のみならずほとんどがより右側に傾いている。そして、国民年金などに見られるように国民生活の負担が増す中、リストラにより労働者が次々と切捨てられ、労働者の権利が縮小されている。この状況において、切り捨てられる労働者の立場に立ち、その労働者と共に闘う、本来あるべき共産党の存在は、よりその必要性を増しているのではないだろうか。小数であれ、差別され、切り捨てられた人たちの闘いと連帯し、その闘いによってお互いに力づけ合い、勇気を得、社会変革の力にすることが、今こそ必要なのではないか。でなければ、それぞれの闘いの芽は次々と潰され、完全に閉塞した社会をもたらすだろう。
 党が完全な変質を遂げ、革命的再生が不可能である以上、今こそ自ら一歩踏み出して、党が投げ捨てた従来の共産主義政党としての旗を拾って掲げ直し、闘う労働者との連帯を目指し、運動の核となる活動をなすべきではないだろうか。

 私が考えるこうした活動に関し、S・T編集部員は「党外に新しい左派政党を結成するのは非現実的」と一刀両断にしている。そのような活動は、極めて少数にならざるを得ないという困難さを感じるが故に、冒険的と見做すからだろう。だが私は、冒険的活動は勿論排除すべきで、少数なら少数にふさわしい効率的で柔軟な活動を、知恵を絞って創造していくべきだ、と考えている。
 ともかくまずは、党内外に“従来の共産党の旗を掲げ直すこと”を呼び掛け、その旗を担う核となる部分の結集が必要である。そして実際に政党として活動する時期は、状況に応じて最も適切な時期を選択するようにし、それまで党員のある部分は今の党内で準備を進めるなど、各人に応じた柔軟な形態を取るよう問題提起するのが現実的だろう。

 また、S・T編集部員は党内の「まじめな活動家層」を最も配慮して述べているが、私は、「まじめな活動家層」に対しても、本来あるべき党の旗の下に結集する呼びかけをすべきだと考えている。そして各人が現状の活動に甘んじることなくさらに一歩踏み出し、自らの殻を破ることによって、「まじめな活動家層」にも活動に踏み出す勇気と希望を与えるのであって、それ抜きに「まじめな活動家層」を踏み出させ、力にすることは出来ないだろう。

 このように徹底批判を行う以上、私自身何をなすかが問われるところである。私の力量は極めて脆弱でありなしうることは限られているが、やはり、従来の共産主義政党の旗を掲げ直す活動に向けて、私自身何をなしえるかを考え抜き、今までの殻を破って一歩踏み出すことが必要だろう。それを通じてしか、この社会の変革はあり得ないと思う。