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イラク戦争にまとわる雑感

2004/05/10 ちきりん 40代 学生

 米国軍兵とその契約業者によるイラク兵虐待の映像から感じたこと。

1)旧日本軍も、ソビエト・ボリシェビキも、フセイン政権軍も、そして米国軍隊も結局は同じであるということ。戦争という特殊な環境においては、人種も時代も背景の思想も問わず、全く同じことが起こる。

2)情報、特に、映像情報の持つパワーが非常に大きいことを強く認識していた米国政権は、様々な方法で情報統制を画策していた。にもかかわらず、結局はこういった情報を隠すことはできない。奇しくも米国自体が作ってきた”自由な情報・意見流通”を保証する民主主義・市場主義の中では、情報統制は不可能なのである。そして、その自由な情報流通こそが、人々に正しく進むべき道を示唆することができる。

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イスラエルの強硬姿勢を支持する米国政権から感じること

1)イスラエルは、米国のひとつの州であると考えないと、この問題は理解できない。米国はなぜ石油もでないイスラエルを、国際社会を敵に回してまで守りたいのか。米国経済の中枢(金融、メディア、軍事技術)を牛耳っているユダヤ人の祖国イスラエルは、米国にとって、ハワイ州よりもよほど重要な”国の一部”なのだろう。

2)”イスラエルは米国の一部である”と認識すると・・・米国は、この遠隔地領土を守るために、”防衛”に必要なすべての力を行使し続けるであろうし、その周辺に位置する石油資源が豊富で、米国遠隔地領土に敵対するアラブの国々について、”服従”以外の選択肢を認めるつもりはないと思う。アラブに残されているのは、米国への服従(エジプト、サウジ、そしてシリアなどの選択)か、米国との敵対による破滅か(イラク、過去&将来の?イラン)かのふたつにひとつしかない。

”平和で、かつ、米国に従属しない中東”は、空想の世界であり、現実にはあり得ないことを、アラブも世界も認識すべきではないか。

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イラク人質事件で思うこと

1)日本赤軍残党の手引きによる自作自演説などを真に受ける警察庁の時代錯誤は、”オウムより代々木を見張るべき”という方針によってオウムの摘発が遅れたあの時(地下鉄サリン事件の事前摘発失敗)の教訓を全く活かせていない。

2)高給につられ傭兵として米国軍に雇われイラクにわたったイタリア人。米国軍施設でのまかないのために未だイラクに残るフィリピン人メイド。ロシアの影響力をイラクに残すために、政府の意を受けた国営企業から技術指導のために派遣されていたロシア人電気技師。一方で、絵本をつくるため&ストリートチルドレンのシンナー中毒を防ぐためイラクに渡る日本人。私たちは豊かな国に生きている。欧米と肩を並べるとはこういうことなのだ。

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全くこの問題に頭をつっこまない中国を見ていて思うこと

1)今回の戦争で、一番得をしたのは中国ではないか? ソビエトのチェチェン、イスラエルのパレスチナと同様に、国内独立志向民族をテロと定義して抑圧するお墨付きをもらった。米国は今後は、中国国内の人権問題をつっつくのが難しくなるだろう。

2)軍事的にプレゼンを見せないことでアラブ民族からの相対的好意を(日本から)もぎ取ることも可能になった。

3)経済的負担も最少化することで、国内経済問題に回せる資金余裕を大幅に増やし得る。将来の米国に対抗するための技術、防衛関係への投資も怠りなく推進できる。

4)余裕のある政治余力を朝鮮半島問題に注ぐことで、アジアの政治的リーダーシップを確立するチャンスを得ている。

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日本の自衛隊派遣を見ていて思うこと

1)結局LDPを中心とする保守政権は、昔の帝国主義日本と同じ野望をもっている。それは、欧米列強と互していける経済力と軍事力を手に入れることである。国連の常任国になり拒否権をもつ国のひとつになるという悲願のためには、”軍隊”を”国際紛争の解決の手段として行使する”ことが、不可欠と考えているのであろう。

2)でも、国民の中にも様々な意見はあるものの、やはり過半は”欧米列強と立ち並ぶ祖国日本”を支持しているのではないか。民族主義的な思想、プチナショナリズムの大流行は、それを示しているように思える。そして、それが結局は小泉政権の支持率が相変わらず非常に高いことのベースにあるのではないか?

などなど 雑感。