しんぶん赤旗の記事に思う
「イラクから自衛隊撤退を求める女性とジャーナリストの緊急集会」が日比谷野音
で、1500人参加で開催された。
拘束事件の安田純平さんへのインタビューもあり、ザ・ニュースペーパーの松下ア
キラさん扮する小泉も笑わせてくれた。が、行く前から私が目玉としていた辛淑玉さ
んの発言はこの集会を引き締める激辛のわさびであった。
一番目の論客として、「みなさん、韓国は米国の軍隊とつきあってきました。その
結果、どうなりましたか。ベトナム戦争で兵士を送り、おびただしい若者の命を犠牲
にしました。日本も自衛隊がイラクに行っています。日本がこのまま米軍とつきあう
とどうなるか、韓国と同様、火を見るよりも明らか。
先の人質事件をみるまでもなく、日本国家はいざとなったら、日本国民を助けはい
たしません。切り捨てます。まもるのではなく、犠牲を強います。」
趣旨はこんな感じだったかと思うが、日本国家の戦争を、その位置づけから鋭く、
告発するものだった。
過去、何回か辛さんの発言をきいてきたが、今回はまさに、一段と、緊迫性をかん
じさせるものだった。
川田悦子さん(イラク派兵に反対する女たちの会)の「龍平のエイズでの闘い」を
基点にした「反戦の意思」は、その、朗々とした語りで、日比谷野音の会場を圧した。
4月29日、葛飾憲法集会で講演いただいた趣旨と通じるものであるが、今回の日
比谷での悦子さんは、ひと際彼女らしい「命を壊す戦争への怒り」がつきぬけていた。
ほか、三木元首相夫人の三木睦子さん、第9条の会の和田さん、共産党議員の石井
さんらが発言。
新聞労連、日本ジャーナリスト会議も呼びかけ人・協力であることから新聞労連委
員長の明珍さんが司会、作家・吉岡忍さんも発言されたが、正直言って最初からあっ
た「温度差」はこの期に及んでも払拭できなかった。
「世界」の岡野編集長もそうだが、なぜかみなさん、おとなしい。諦観か自粛か知
らないが、日比谷という開放的な会場にしては、まるで、公安に囲まれた室内での発
言かのような内容。
自分がジャーナリズムの側にいると自覚するなら、既成のマスメディアを批判する
のはお門違いというものであろう。
この際、人質5人以上に、自らが熱気と気迫を見せるときだろう。今の戦争を肌で
感じ取り、現場にいくいかないでなく、戦争の根源を見抜き、急迫不正の暴虐を「ゆ
でがえる民衆」に突きつけることであろう。
おりしも、人質事件以降、世界のメディアがぐっと、イラク戦争を身近に引き寄せ
てくれているのである。今まで、閉じていた窓がときはなたれ、意思さえあれば、戦
争の実相が見られるようになったのだ。
なのに、なぜか皆さんは、オブラートに包み、「お上品」に「無難」に、語られる。
怒りを忘れた00のように、のっぺらぼうに。
政党では民主・社民は呼びかけに応じず、会場でよまれないメッセージで茶を濁し、
共産党の石井さんのみが発言したが、相も変わらず、しんぶん赤旗の代弁、しかも、
この期に及んで、「憎悪の連鎖」といった、カビの生えた常套文句を使用する。これ
が共産党の「ゆでがえる度」である。
「北富士忍草母の会」の天野さんは、北富士演習場のパネルをかかげ、これまでの
40(?)年の戦いを報告。
こうした戦争を告発する力強い声はしんぶん赤旗には載らず、一定の型の無難な記
事として、処理される。
思えば、2年前、ここ同じ日比谷野音の会場で、アフガン攻撃直後の有事法案反対
での集会で、妙心寺派の住職・武田隆雄さんが志位委員長に次いで発言された。
「アメリカは今すぐ、ペルシャ湾から立ち去れ、世界の基地から撤退を」の声は、
故意に削除され、「全ての殺生を仏教は許さない」といった抽象的な文言のみをとり
あげたことと、同根であろう。
もと、取材経験のある私がいうが、このしんぶん赤旗の記者は、ジャーナリズムの
視点の前に、共産党の意向、機関紙としてのマインドコントロールを忠実にうけいれ
ている。
辛淑玉さん、川田悦子さん、北富士演習場に反対する天野さんらを殊更無視する
「しんぶん赤旗」は、いったい、今の戦争をほんとうに、どう、とらえているのか。
武富士のサラ金問題、三菱の欠陥タイヤ、警察の裏金、年金改悪問題に続く国会議
員の未納問題など、すべて、共産党は今こそ、出番である。開き直るところは開き直
り、共産党こそが、 もっとも、リードできる問題であろう。
これだけ、勝てる材料が出揃った今、どうして共産党は、もう一歩主体的にならな
いのか。政権をとる自信も責任も無いのだろうか。この際、筆坂氏も上田耕一郎氏も
佐々木陸海氏も、参院選で復帰させ、ほか、善い人材がいなければ、ニュースステー
ションの久米氏でも、筑紫氏でも、また、甘木直人氏でも、思い切って声かけしては
どうか。断られたとしても、その努力だけでも、共産党の株は上がるだろう。
文化人、宗教者らにどんどん、声をかけ、芯のある魅力的な人材を登用することだ。
選挙権の無い辛さんに、何千、何万の有権者票がくっついていることを認識してはど
うか。否、力のある反戦活動家のそれと同様である。
まったく、いつまでたっても、中途半端な政党である。
このように、一つの集会からでさえ、見えてくるものがある。
今、配るべきチラシが2,3種類たまっているが、今ひとつ、やる気がでてこない
私である。