高山優様。
日を追うにつれ暑くなります。
温室育ちの私の生存可能気温は摂氏5度~25度までです。今日あたりは30度を越しそうで、呼吸困難です。うっそー。
「今日のおかずはざるそばにしといて、会社からまっすぐ帰ってざるそばを軽く食べてからエアロビに行くかっら」
ぼくの家では世間とさかさまで僕が買い物をし食事の用意をします。それは一緒になって以来かわることがないのです。絵描きは家でする仕事ですし、四六字中絵を描いているわけではないので自然にそうなってしまいました。実を言えば妻には家事能力がなくなっています。
ぼくは夕方に買い物に出かけ、プロレスラーの名前のようなブラックタイガーと言う大きなえびを張り込んで買って帰りました。てんぷらを揚げてざるにそばを盛り上げた頃妻が帰ってきました。
「どうやった、組合から何か言ってきたか」
「くるわけないやないの」
妻は不機嫌そうにお膳の前に座りざるそばに箸をつけたものの半分くらい食べて残りのそばを僕のざるに開けて上に上がってしまいました。僕はそっとしておくことにして絵を描いていましたが、疲れて二階に上がると妻は黙ってテレビを眺めていたが、そのうち布団を敷いて寝てしまいました。そして今朝も一言もしゃべらないで朝飯をかきこんでだまって会社に行きました。
会社労働組合の定期大会がこの前の日曜日13日にありました。その大会で妻の除名問題を討議するから出席を求める通知が来るものと先週待っていたのでしたが、ついに来なかったのでした。だからこの問題が流れたのかとほっとしたのでしたが15日火曜日に執行委員長名で内容証明の通知書がきました。
「組合大会の代議員3分の2以上の賛成を得て天邪鬼恵子殿の二重加盟の問題を討議し除名が決定された」というのが内容です。
組合大会は事前に出欠席と代議員を選ぶOXを記入する用紙が前もって組合員に配られ普通みんな欠席にO印をして渡します。妻もそうしていました。自分の除名問題が大会議題になるかもしれないにせよ、査問的な中にわざわざ行くような気持ちになれないし、特に呼ばれていないのでした。そのために欠席裁判になったのです。
関西合同労組の執行委員に相談すると慌てる風もなく、一応組合に対して抗議文を提出しておいて下さいということで、それを作って先の通知書も同封して委員長に内容証明で妻に送らせました。
この後を予測すると会社労働組合は経営者に妻の解雇を要求するのであるが、1.ユニオンショップ制にもとづいているので会社から解雇通知が来るか、2.もしくは地労委裁定などで労働者の組合選択の自由が認められているのと、3.会社も合労との団体交渉の中で妻にどちらかの組合を選択することを認めている文書を渡しているので合労への一重加盟として会社に残れるかという二つに一つです。
(ユニオンショップという言葉になれないかもしれないので簡単に説明します。日本の労働組合のほとんどはクローズド ユニオン制を採用しているのですが、これは会社が労働組合員以外の人間を雇ってはならないという協約を会社と交わした制度です。なぜそうするかといえばスト破りや第二組合結成などを阻止し労働者の団結権を守る必要があるからです。ヨーロッパやその他の国々の労働組合ではオープンショップといって、産業別労働組合とか地域労働組合になっていると聞きます。この場合は他の企業での労働問題はその企業の中だけで争われるのでなく、その産業全体、その地域全体に加盟している労働組合が関わると想像します。日本のユニオンショップの問題は組合規約によって除名=解雇という組合員の死活の権利を握っているので組合決議として政党支持の自由をも奪ってしまって来たのです。ユニオンショップが組合の団結権を憲法の思想、信条の自由をも侵害してきたのです。また労働者の生存権まで拘束できたのです。そのため組合は労働者を誠実に教育し説得していって組織の団結を守ることをおろそかにしてきたので外見は強く見えても内実は非常に弱い労働同・・・(文字化け)・・・。
会社労働組合は会社にきっと天邪鬼けいこを解雇せよと会社に要求するでしょう。この段階まで関西合同労組は待って、交渉するなり闘いに入るものと思われます。だから組合に抗議文を出した後は普通に会社に通勤し、どのように会社、組合が出てくるかを待っている以外にないという状況です。関西合同労組は一人加盟の組合でパートのおばちゃんや小さな工場の労働者などこれまでまったく無権利の中にあった労働者がほとんどでその加盟者も数はいえませんけどまだ大きくはありません。しかしだからこそ下層の労働者の辛酸をなめた経験をすべての組合員が共有し、一人の戦いにすべてが団結します。にんげんの痛みがわかっている人たちです。しかし長年、中企業や大企業にいる労働者の多くは人の苦しみや痛みに対する想像力すら失っています。自分の仲間が解雇されても自分でないことを喜び、それどころか自分が仲間の解雇に手を貸すのです。
しかしね、優さん。組合大会で3分の二の賛成で妻の除名を決定されました。その中で弱みを見せないように平然と、あるいはそ知らぬ顔をして毎日同僚と机を並べて仕事をする辛さを考えてやると、がんばれとか、うかつな慰めを言えないのです。今共に机を並べている同僚が組合大会で妻の除名に賛成したかもしれないのです。彼がそのことが妻の解雇につながると知ってそうしたのか、知らないでそうしたのかと考えることも妻にはできないでしょう。私は妻が決してくじけない人間であることを知っています。しかし外見にかかわらず非常に気の弱い女性であることも夫婦だから当然知っています。代わってやれるものなら「俺がやってやる」と思うがそうはできません。毎朝会社に行き同僚と仕事をして8時間拘束されるのを我慢する、勝つまではどんなことがあっても一言も言わず我慢する、その毎日が戦いなのです。300人の労働者が抵抗もせず黙ってリストラ首切りで消えていった300人の大の男が敗北して去っていった会社で、組合までが解雇させようとしているのに黙々と戦っている妻を敬服します。彼女がその辛抱さえしてくれたらそう遠くない日のうちに勝利しま・・・(文字化け)・・・。
ご一緒に読んでおられる方々に。どうぞあなた達や周りの労働者がリストラや首切りなどに会えば私たちと共に戦いましょう。
あーあ。早く勝利して旅にでも出たいナー。争い事はきらいなのです。
”We will WIN.”
(誤字や脱字があればごめんなさい。最近目がかすみますので)