さざ波も戦争の影が濃く
道端のあちこちに
公園の片隅に
家の草むらの周りに
べっとりと
張り付きたる黒い影
緑陰揺らめく この空の下
哀れ 飢えたるからすの群れ
いまはまだ 夜明け前というのに
否 まだ丑三つ時というのに
カー カー と 切ない声が 絶えまなく
夜ごと 家から飛び出す飼い猫の
いのちの 切断への脅えに
まんじりともせぬ 朝をむかえる
さざ波という 掲示板に集う者ら
この狂いつつある 時代の波に
ある者は 嬉々として 身をゆだね
ある者は 波頭に脅え
ある者は ごつごつと 見えぬ岩に
頭をうち
また ある者は
ひとり ふたり と 波間に消える
すべてはシナリオ
すべては葛藤
すべては ヒトのおもむくままに
そして 戦争の歯車は 「人の意図しない」まま
その名の通りに 粛々と すすめられていく
ひとりひとり 国民という名の
意志と意思とが
かくも おおどろおどろしい 戦争というものを
生み つくりだしていく
戦い 争う その場は まさに 流血と人肉の残骸