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さざ波という戦場で・・・①

2004/06/17 長壁 満子 40代 金融

 さざ波も戦争の影が濃く
 道端のあちこちに
 公園の片隅に
 家の草むらの周りに
 べっとりと
 張り付きたる黒い影

 緑陰揺らめく この空の下
 哀れ 飢えたるからすの群れ
 いまはまだ 夜明け前というのに
 否 まだ丑三つ時というのに
 カー カー と 切ない声が 絶えまなく
 夜ごと 家から飛び出す飼い猫の
 いのちの 切断への脅えに
 まんじりともせぬ 朝をむかえる

 さざ波という 掲示板に集う者ら
 この狂いつつある 時代の波に
 ある者は 嬉々として 身をゆだね
 ある者は 波頭に脅え
 ある者は ごつごつと 見えぬ岩に
 頭をうち
 また ある者は
 ひとり ふたり と 波間に消える

 すべてはシナリオ
 すべては葛藤
 すべては ヒトのおもむくままに
 そして 戦争の歯車は 「人の意図しない」まま
 その名の通りに 粛々と すすめられていく

 ひとりひとり 国民という名の
 意志と意思とが
 かくも おおどろおどろしい 戦争というものを
 生み つくりだしていく
 戦い 争う その場は まさに 流血と人肉の残骸