最近公表された新聞・雑誌の選挙関連記事によると、今回の参院選において、社民・共産両党の壊滅はほとんど間違いないようである。共産党は選挙区で全滅、比例区で3~4、社民は比例区で1? すなわち、両党とも衆参両院でそれぞれ一桁、名実共に「泡沫政党」となる。
この状況自体は予想されたことであり、戦後サヨク(両党と旧社会党)が完全に人民から見放されたと結論して間違いない。当然、社民・共産の執行部は、一時的な後退であるとか、マスコミの偏向とか、選挙制度のせいだとか、情けないことを言い続けるであろうが、もはやそんな泣き言を伝えるマスコミもないであろう。支持率が4パーセントの政党は、どんな選挙制度でも少数派である。
しかし問題は「いかにして反体制の陣営を再構築するか?」である。その際、体制派との対抗軸をどこに置くかが明確でなければならない。
以下、対抗軸についての議論のタタキ台を列挙したい。
1.グローバリゼーションへの態度
マルクス主義のイデオロギーは、欧米のコスモポリタンによって構築されている。しかも、主にユダヤ系の人たちである。しかし、日本の戦後サヨク(左翼と名乗るほどのイデオロギーを持っていないと考えられるのでサヨクと記す)ほどコスモポリタンと縁遠いものもない。しかし、今や企業活動に国境はない。企業によっては外国人の従業員の方が多いくらいである。グローバリゼーションに「徹底して反対する」という立場に立つなら、民族派右翼との共闘も必要であろう。
2.労働組合への態度
戦後サヨクにとって労働組合は「アンタッチャブル」であった。どれほど腐敗していようと反国民的な体質であろうと、組合活動は正義であるとしてきた。しかし現在、組織率は30パーセントを切り、公務員や大企業の従業員が主流である。また、増え続ける非正規労働者は組織化されず、労働者の横断的闘争に関して、「正規労働者と非正規労働者の共闘は困難である」と組合幹部ご自身が公言してはばからない。
3.変革への「攻勢」か、ブルジョア憲法の「擁護」か?
戦後サヨクは「守りのサヨク」であった。常に主導権は保守主流派に握られ、それに反対することで「存在意義」をアピールするだけの存在であった。いつしか「守り」こそが「革新」であるという自己矛盾に陥り、その体質から脱皮することは二度となかった。しかし、囲碁・将棋の世界から軍事理論に至るまで「攻勢こそが最大の防御」である。ここで「攻勢」に出るためのメッセージが不可欠であるが、それが「護憲」では本末転倒である。国際的な(普遍性のある)ポジティブなメッセージが必要。
4.社会主義か無政府主義か?
共産党の女性党員などと話していて「頭がボー」となることがある。彼女らの言い分では「共産党は福祉と護憲の党」であって、それ以外の何物でもないと言う。「警察も軍隊も大企業も消費税も、みんな悪い」のだそうである。彼女らが、経済・金融・軍事・安全保障などしっかり学んだ上で主張するなら、聞く耳も持たなければならない。しかし、何も勉強していない。中学生並みの知識である。どうも、彼女たちの理想は「無政府状態であって、しかも福祉の充実した社会」ということらしい。こういった党員が何百万人いても「変革への力」とはならない。
「21世紀の社会主義」の理論化を早急に成し遂げるべき。その際の項目は、環境対策、少子化対策、教育改革(創造性と人間性を育てる教育)、自力(努力)と扶助(医療と年金)の調和、生産手段のコントロール、安全保障(軍備より情報重視)など