先に私が大歩危氏に行った質問1の、微細化した放射線物質の「放射線強度」に ついて、私の粗末な知識で考えてみました。ご批判くだされば幸いです。
微粉末になり表面積が増加しても放射線強度が変わらないという考えの背景には、 放射線=エネルギー=保存量という認識があるように思われます。放射線の量が保存 量であればこの考えは全く正しいはずだからです(でないと、放射線源を含む閉領域 内の量は増えるか減るかしかない)。つまり、放射線源を含む閉領域の全境界から流 出する放射線総量は内部で湧出する放射線量に、どのような場合でも一致していなけ ればならないからです。
エネルギーはどんな場合でも保存量ですから、問題は放射線とエネルギーの関係の
理解だと思います。私は、高校の頃、放射線はヘリウム原子核と電子と電磁波だと聞
いて、何だ普通の物質ではないかと思ったことがありました。今私なりに考えた、普
通の物質とは異なる理由は、原子核の崩壊に伴なってほんの僅かの質量から転化した
大量のエネルギーが、このたった4個の粒子(α線の場合)に乗り移り、運動エネル
ギー(熱エネルギー)と電磁エネルギーの形態に転化したからだと思っています。
電荷をもった粒子が猛烈な速度で遺伝子本体(DNA)に衝突すると、その電磁エネ
ルギーにより遺伝子内部の荷電部分が損傷してしまうということは素人でも考えられ
ます。つまり、放射線とは、ヘリウム原子核や電子に、その大きさには不釣合いな大
量のエネルギーが乗り移った状態のことだと思うのですが如何でしょう。
すると、この放射線のエネルギーを、周囲の、それこそ数え切れないくらいある陽
子、中性子、電子に熱として分散させてやれば(ただし再び核分裂の連鎖が起こらな
い程度に)、放射線は消えてしまうことになります。これが放射性物質内部での自己
遮蔽という現象と理解できます。当然、ウランなどの重い物質はたくさんの陽子・中
性子を持つので自己遮蔽効果は大きいはずです。
これらの考えから、放射線は保存量ではないと結論づけられ、形状に関わらず空間
に放出される放射線量が一定であるという仮説は否定されます。
しかし、ここで一つの疑問が生じます。エネルギーは保存量ですから、新たに生じ
た核分裂エネルギーは、どうして系の外へ出て行くのでしょうか。上の説明では、熱
として分散していくということですが、それだと放射性物質は絶えず発熱することに
なります。戦車の装甲板にも劣化ウランを使っているそうですが、そうすると戦車の
内部は蒸し風呂状態になりませんか?密度の大きい劣化ウランは熱容量も大きいとは
思いますが、上の考えのどこかに誤りがあるのでしょうか?劣化ウラン弾についての
議論から離れるかもしれませんが、どなたか明らかにして欲しいと思います。