始めまして。なかなか適時を得たご意見だと思います。
殆ど、ご意見に賛成ですが少し私見を述べさせていただきます。
色々書くスペースも無いので、先ず1番の問題についてコメントしたいと思います。書かれていたように、グローバリゼーションに対して極端な反感を持てば、極端な反米に陥るのは当然であり、その主張は反米右翼民族派と変わることがなくなることには同感です。
例えば、イラク戦争に反対するのは戦争なのですから誰しも当然として、一部のこの投稿欄で見られるような極端な反ブッシュかつイラク側に立つことによって、テロリズム賛歌になっている投稿を読むにつけ、左翼と右翼の垣根の低さを考えるところです。
さて、現代経済状況に関して、グローバリゼーションで説明されることが多いのですが、その実態はアメリカンゼーションであることも大方の意見の一致を見ることだと考えます。
グローバリゼーションという用語自体あまり好きでは無いのですが、何故なら始めてこの言葉を見たのは、90年代初頭の東芝のPC広告上だったからです。当時、日本のコンピューターの世界は日本電気のMS-DOSの全盛期でありシェアも90%近くいっていたはずです。その中で、国内販売で苦戦する東芝が宣伝したのが、DOS-V互換の自社のPCでした。英語ソフトが動く、東芝マシンを宣伝する言葉がグローバリゼーションでした。だから、どうも言葉に重みを感じないのです。
閑話休題、さて90年代初頭にアメリカを席巻した日本のバブル経済のことから私見を述べます。当時、日本の会計基準では資産評価は取得価額でした。
つまり、バランスシートの左側、運用部分の数字は何年経っても新しい資産取得しなければ変動しなかったのです。勿論、減価償却部分は減少しますが、減少部分はキャッシュフロー内であり、つまりバランスシートの原則として右側(調達)に発生した資金、利益や借入はそのままシート上に温存されたのです。
ところが、実際には左側の資産については銀行側が時価評価していたのです。つまり、土地・債権が極端に値上がりしたので、担保という考え方で右側、調達部門にどんどん資金を投入したのです。これを含み資産といいます。
この潤沢な資金で企業・個人は新しい資産を購入し、ついにバブル最盛期にはニューヨークの不動産や映画会社まで買収することに成功したのです。しかし、これはまずい判断だったと思います。
金満大国日本のバブル紳士にとって、金を使って買収して何が悪いという意識があったのでしょうが、いやしくもアメリカのニューヨークの象徴のような文化的な資産を大っぴらに有色人種が購入してWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント。それとSは何でしたっけ?)がどう思うか、ということです。
本来、日本には徳川商道徳として、派手な事はしないという伝統があった筈です。
粗末な着物を着て、裏地に豪華な布地を使うという行動規範です。
まあ、他国で商売をする場合、相手国の文化的状況を尊重するのは商人なら当然の規範の筈でしたが、バブル期の日本ではその規範が守られていなかったのです。
経済の担い手が、元来の商人では無い、高級官僚、不動産成金、そしてやくざだったからかもしれません。
さてアメリカの、逆襲が始まりました。その主な武器は、知的所有権と時価会計だったと考えます。知的所有権の代表は、マイクロソフトを始めとするコンピューターソフトの知的所有権の確立、覇権とインターネット、衛星情報(携帯電話・ナビゲーション)の開放です。今や、ロシアはもとより北朝鮮でもウインドウスOSとインターネットで情報蓄積(スパイ活動)を行っていると考えられます。
そして、時価会計です。バブル崩壊後、デフレ状況に転じた日本で、時価会計をグローバリゼーションの名で導入させたのです。
バブル期と逆の状況が生まれます。資産が、年々減少することになったのです。
バランスシートの左側が、年率7%程度減少し続ける事態となったのです。(バブル崩壊後の土地価格の減少率です。公示価格・路線価格として毎年公表されます)とすれば、バランスシートの原理から、右側(調達)も減少しなければなりません。
とすれば、調達部門の減少は、利益もしくは借入金の減少をもたらします。
しかし、実際には資産の減少に見合うキャッシュフローが無ければ債務超過(累積損失)を抱えることになり、倒産の危機に直面します。企業とすれば、急激な、安易な経費節減策が必要となります。てっとり早いのは、レイオフ(リストラの用語は使いたくありません)。
リストラの日本語訳は馘首では無く、事業再構築です)下請け整理です。
これらが、負の連鎖を伴うことにより未曾有の不況を招来し、逆にバランスシートの減少により容易にM&A(企業買収)が可能となる条件が整いました。
しかし、日本の体力が減少したことにより、もはや外国からの資本流入無しには国内経済が持たない事態まで経済が疲弊しています。これを第2の敗戦といいます。
以上が、グローバリゼーションに対するミクロ視点よりの私見です。
さて、短期の改善案としては、時価会計の見直し、それと減価償却資産に土地を含めることも想定してはどうか、と思います。バブル期の無茶な土地購入がバランスシート悪化原因ですが、土地については税法上減価償却が認められていません。よって、土地購入費の返済金捻出には利益が必須になります。他方、建物については償却が認められており無税で過去の負債を返済できます。ともかく、早く過去の負債を償却しなければスタートできないのですから、企業・個人ともそういう政策を考えるべきでしょう。
但し、経済学では土地・空気・水は無償であると仮定しており、他国の状況でも土地に対する所有権の概念は希薄です。むしろ、使用権という概念を持っており、日本のように簡単に土地の用途変更が可能なような政策を取っていません。
土地が、第2通貨のような様相である日本の状況は、国土保全の見地から異常な状態ではあるとは思いますが、これについては長期的に議論していくべきだと考えます。