さつきさんにお答えします。
1 劣化ウランの放射線について
「劣化ウランは主としてα線を放出するというのは誤り」との見解は、少なくとも一般的な言説ではありません。
さつきさんが「劣化ウラン兵器禁止国際キャンペーン」の元プロゴルファー氏の唱えている説を正しいと考えるのは自由です。
しかしながら、その場合は引用された説がかなり特殊な人の考えによるものである事を説明すべきだと思います。
またそのような見解を正しいものとして、中国新聞の記事を含め、一般的な科学(化学)辞典や科学雑誌に記載されていることを誤りとするのは如何なものかと考えます。
2 U238の体内摂取について
U238に一日の摂取量に厳しい基準があることは、さつきさんの仰有るとおりですが、逆に云えばそれ以下の摂取であれば健康に被害はないと考えられています。
従って、微粒子を吸い込まないように留意する必要があることは私もそのように考えています。
3 β線の影響について
β線が数㍍もの空中飛程をもつという見解も一般的ではありません。
例えば特別に高いエネルギーを持つβ線を一万個発射すれば、そのうちの一個くらいは数㍍先まで届くことがあるかもしれませんが、それは一般的ではありませんね。
そのようなことから、劣化ウランから放出されるβ線の殆ど全量が数㍍先まで届くと誤解されるような表現も如何と思います。
また戦車の装甲板に劣化ウランを使用しており、その劣化ウランのβ線が数㍍先まで届くほどのエネルギーを持っているとしたら、戦車の乗員や整備員等は致命的な被曝を受けてしまいますね。
さつきさんの言説には少々矛盾を感じます。
4 U238の発火性について
U238はリンのように大変燃えやすい性質を持っており、粉体はそれ自身で自然発火するほどです。
従って着弾時に燃焼し、エアゾル化して微粒子を空中に放出し、その微粒子を体内に吸入・摂取することによる人体への影響が懸念されているのです。
単に物理的に粉砕し表面積を大きくした状態が危険なのではないのです。
私も確認してみますが、さつきさんももう一度劣化ウランの性質等について調べて戴ければと思います。
5 劣化ウランによる戦車の装甲について
劣化ウランは度々述べているように比重が大変大きく、燃えやすく、放射線を発する物質ですので、戦車の装甲には不向きです。
劣化ウラン弾は戦車の装甲を貫徹(破壊)させる目的で開発された兵器ではありますが、逆に劣化ウランを戦車の装甲に用いていることは前述の理由から、私はあり得ないと思ってます。
どこの国のどの戦車に劣化ウラン装甲が使用されているかを教えて戴ければ幸いです。