劣化ウランは、その密度の大きさから戦車の防御版に適しており、アメリカのM1シリーズの戦車に用いられているとされています(AEPI (1995), Health and Environmental Consequences of Depleted Uranium Use by the U.S. Army: Technical Report., 3.2)。これらの装甲用劣化ウランは、放射線を遮る厚手の金属製の覆いでおおわれているということです。
なお劣化ウラン弾貫通体表面のガンマ線の放射線は、1時間あたり250ミリレムであり、これは胸部X線を1時間あたり約50回あびるのに等しい放射線量といわれています(Dietz, Leonard A. (1999), “DU Spread and Contamination of Gulf War Veterans and Others” in Catalinotto and Flounders (1999), p. 144)。
低レベル放射線の人体に対する影響については、閾値が存在すると言う説と存在しないと言う説があり、後者の場合、ある値より低いから安全だとは言い切れません。放射線はゆっくりと低い全線量で被曝したとき、高い生体反応を示すという説もあるようです。
劣化ウランを兵器製造に適したウラン金属に転換する過程で発生する、二フッ化マグネシウム(MgF2)の蒸気は、劣化ウランに汚染されるので、放射性廃棄物として扱われている(AEPI, 1995, 3.5.3)ということで、アメリカ自身、劣化ウランを安全なものとは見ていないということではないでしょうか。