鎌倉太郎さん、まったく同感です。
さらに、私からは次のようなことを付け加えたいと思います。
27日のフジテレビ「報道2001」を見ましたが、志位氏は、公共事業費・軍事費の削減、道路特定財源の一般財源化及び大企業への課税強化で、年金財源を捻出すると言っていました。道路特定財源の一般財源化は少し性格の違う事柄ですが、その他のことは出来もしない約束であることを実は共産党自身が証明しております。共産党国会議員団は、2月23日に予算組替え案を出しましたが、その骨子は次のようなものです。
この組替え案は、歳出の浪費の削減(約五兆円――道路特定財源の一般財源化・三兆四千億円、その他公共事業の見直し・三千億円、軍事費削減・五千億円など)や大企業・資産家減税の中止(一兆五千五百億円)によって、六兆五千億円の財源を生み出し、これを社会保障関係(三兆四千億円)をはじめ教育、雇用、中小企業、農業・食料、地方財源の拡充などに充てるとともに、庶民増税の中止(五千五百億円)を行うものである。
つまりは、鳴り物入りで、公共事業費・軍事費の削減を言いながら、わずか8千億円しか削れないのです。また、一時期に18兆円もあった法人税が現在、9兆円程度に落込んでいるのは、大企業減税のためで、その落込みの分を丁度消費税が埋めているという。しかし、その9兆円もまけてやっている法人税から、わずか1.5兆円しか取戻せないのです。これらの数字は、政府提出の予算案に対する組替えであるから、共産党らしい本格的な政策の具体化ではないとの見かたも出来ます。しかし、日本経済の現状を考えれば、共産党が政権をとっても、出来るのはこれくらいが限度でしょう。(法人税については、別稿で述べます)
道路特定財源の一般財源化は問題ありです。この話は、もともと、民主党や自民党の一部から出ていたのではないでしょうか。それにチャッカリと便乗しているだけです。ガソリン税が1リットル当たり48.6円など、とんでもない重税のオンパレードなのです。これが暫定税率で、本則税率がその半分の24.3円です。どうも昭和29年の創設以来、金額の変動はあったようだが、ずっと暫定税率を課しているらしい。本当に道路が必要ないのなら、一般財源に回すことなく、こんな税金は無くすべきです。
今年の4月から、消費税が総額表示になり、共産党は反対しました。ところが、この道路特定財源は、昭和29年の創設以降、何処のガソリンスタンドでも総額表示です。ドライバーの方も、税額とか、暫定税率と本則税率の区別など知っている方はどれ位いるのでしょうか。本の名前の記憶は定かではないが、小池政策委員長は、その著書の中で、石油連盟とかいう業界団体のアンケート調査をたてに、自動車ユーザーの意見を踏まえたとして、一般財源化を合理化している。これは納得しがたい。何十万もいる党員・支持者から、道路特定財源の現状を説明した上で、意見を聞いているのでしょうか。恐らく、環境税のような負担なら応じるが、福祉関係の財源までは面倒は見られないというのが、自動車ユーザーのまっとうな意見でありましょう。今や、ガソリンは国民生活にとっても血液みたいなものです。道路特定財源はまさに血税です。逆進性がないとは言わせません。ドライバーの無知につけこんで、その血税を合理化するとは何事でしょうか。
また、最近の電子版しんぶん赤旗の「八っつあん・熊さん問答」によると、道路特定財源というのが、6兆円(国税+地方税・地方贈与税分・・・管理人コメント)もあると言わせております。予算組替え案では、3.4兆円(国税分、つまり地方税には手をつけないということです・・・管理人コメント)と言っていたのですが、何時の間にか増えてしまったようです。実は、道路特定財源の地方税部分を加えると、確かに6兆円になります。この地方分(2.3兆円)は、軽油取引税(暫定税率の適用でリットル当たり32.1円)が主なものです。ところで、国の道路総投資(11.88兆円)の内、生活道路を含む地方費は6.3兆円ですから、特定財源の地方分は大きな割合を占めています。共産党はどうやら生活道路を含む地方道路の建設も召し上げてしまうのでしょうか。地方の自主性もあったものではありません。しかも、それを「八っつあん・熊さん問答」で語らせている。無責任の極みです。
結局はやはり、共産党も十分な年金を保証するだけの財源が見つけられないです。選挙向けに、月5万円年金などと、財源の裏付けもなく、口当たりのいいこと言っているだけでしょう。(特定財源関係の数字は国税庁ホームページによります)
このように書くと、「右翼」呼ばわりされそうな気もしますが、私はそうではありません。元党員で、それなりに票読みや拡大をやってきたと自負しております。かつての共産党は存在感もあったし、その政策などにも厳しい批判を受けるのが常でした。それだけに、実現性には乏しいにしろ、キッチリと筋の一本通ったことは言っていたと思います。しかし、最近のテレビ討論などを見ていると、共産党は何を言っても、ほとんど相手にされないだけなのに、共産党に言わせると、それをもって、相手が反論できない立派な政策を主張したということになってしまうらしい。だから、素人の私でも数字を詰めれば、ボロが出そうな政策を平気で幹部が口にするようになったというのが私の感想です。
鎌倉さんは党員ではないそうですが、党員がこのような政策で本当に選挙を闘っているのでしょうか。党員の方に聞いて見たいところです。選挙の中盤には、また、テレビ討論会がり、そのときもまた、共産党の主張はほとんど相手にされないでしょう。しかし、直後の赤旗紙面では、「流れは変わった、共産党の主張が浸透、自民党は反論できず」などと書かれ、そして、惨敗。これは昨年の総選挙の流れでした。