1 6月11日付貴投稿は、冒頭から「私の問いにはなんら答えもせず」と述べておられます。これには本当に驚き入りました。6月5日付貴反問に対しては、6月8日付拙文で「あなたの反問は、的はずれも甚だしいものといわなければなりません」と、(理由を述べた上で)申し上げています。返答がない、とおっしゃるのならば、まず私が「的はずれも甚だしい」と言ったことに対して、きちんと論駁すべきではないでしょうか。しかも6月5日付貴文に「どうせなら、自分はこう思うがといった質問にしてくださいませんか」とあることを考慮して、かつ、当初の私の質問が簡単に過ぎたこともお詫びしつつ、つたないながらも私の北朝鮮問題に関する考え方の基本点は説明もいたしました。それでもなおかつ、私の質問に回答できないのであれば、あなたのとるべき態度はおのずから明かなのではないでしょうか。
2 長壁さん、あなたは自分ご自身の主張の根拠について、「真実をしりたいなら、ただ1人、私の言説に目くじらを立てる必要はさらさらなく、こうした客観的なものを論証されればいいのです」と、あたかも、お前が自力で調べろ、と言わんばかりの「スタンス」です。しかもそのヒントになさるおつもりでしょうか、あなたが「最近評価」なさっている「クリエイティブスペースのトピックス」と、田中宇氏のサイトを紹介して下さいました。
しかし、これらに掲載されていることがらは、いずれも拙質問に対する回答とは殆ど無関係の内容です。
3 長壁さん、以上述べたような理由により、「私の問いにはなんら答えもせず」というあなたの断言は、そっくりそのまま返上いたします。
問われたことにはまじめに答えようともせず、論題とは殆ど無関係なことについて自分の言いたいことだけを威丈高に、しかも支離滅裂な脈絡でまくし立てる、どこかの国の総理大臣の国会答弁を思い浮かべるのは、果たして私だけでしょうか。
「孟子」梁恵王篇下に「王顧左右而言他」とあります。この種の人間は春秋戦国の世の恵王から、今日の小泉純一郎氏にいたるまで、絶えず現れますが、はからずもその極端に偏狭・独善的でかつ高慢な戯画をこのサイトに見いだすのは、やはりこれも驚きといわねばなりません。
4 6月8日『毎日』東京朝刊は「日米両政府は、在日米軍司令部のある横田基地への航空自衛隊航空総隊司令部の移転のほか、米ワシントン州の米陸軍第1軍団司令部を座間基地に移転する検討に入っている」と伝えています。
長壁さんもご承知のとおり、アジア太平洋地域の主な米軍再編構想のなかで、米海軍太平洋艦隊哨戒偵察部隊司令部(米ハワイ州)の米軍三沢基地への移転は、既に完了しています。日米同盟の軍事的突出は最近とくにきわだっています。
そういう情勢のもとで、長壁さん、あなたが「只今、日本を含む世界は戦争中です」と、警鐘を乱打なさりたいお気持は、戦前の教育で骨の髄までの軍国少年として育ち、戦争の残忍と悲惨を身を以て体験した私には、痛いほどよくわかります。だからこそ申し上げたいのです。
国政を左右するのは、巨視的・長期的・基本的には国民大衆です。しかし、今日の社会は独占資本と帝国主義のイデオロギーに満ち満ちており、ほかならぬ国民の間にその影響が深く、強く及んでいることは、いまさら私が喋々するまでもないことでしょう。
それだけに、長壁さん、あなたのように戦争と侵略と抑圧を憎み、平和と民主主義の擁護・確立を求めて闘う志のある人に、僭越ながら申し上げたいのです。
なにごとかを主張し、議論をするに当たっては、事実に基づき、道理にのっとり、多くの場合節度をもって、そして理性と情熱をもって、今日私たちを取りまいている情勢について語り、ねばりづよく国民大衆の間に民主と平和の世論を広げ、生活と労働をまもるたたかいを通じて、われわれの陣営を強化・拡大すべきだと思います。
人の言うことにまじめに耳を傾けない者に対しては、そして気にくわない相手に対しては悪罵・嘲笑に近い言葉を投げつける者に対しては、世間の人はまじめに相手になってくれないでしょう。たといその者が主観的には平和と民主主義の守り手であると「確信」していても、です。
5 長壁さん、6月1日付で私が提起した質問に対しては、あるいはごく些末な問題を取り上げて大騒ぎしている、と論難する人のある可能性もないとは言えません。しかし問題は運動論の根幹に関わることだと愚考いたします。
「理論もそれが大衆をとらえるやいなや、物質的な力となる」
私たちは、大衆的な、物質的な力をもって小泉・神崎のやからを包囲し、日本国を真に平和を追求し、民主主義を文字通りのものとして実現する、そして虐げられてきた労働者・農民・零細企業経営者を含む国民大衆が人間らしく生きることのできる国にしなければならない、と考えます。
そのためには、燃えるような情熱をもつともに、あくまで事実に即し、ものごとの道理を尊び、冷静に思考、推測、判断する能力を身につけ、わかりやすい言葉をもって語り、「大衆をとらえ」なければならないと思います。
6月1日付拙質問は、そのような意図に出たものであることを申し述べて、本件質問・回答のやのとりを終結したいと思います。ご健康を祈ります。
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