討論相手のSekioさんが、私の論考を引用されていますので、割り込み失礼します。
>劣化ウランは天然ウランから核分裂物質235を抽出した廃棄物U238を主成分としたものですが、強い放射線を出すU235も抽出できずに残ったものが含まれています。
「強い放射線を出すU235」とは、どういう意味でしょうか。238Uも強い放射線を出しますが、「強い」とは、エネルギーのことでしょうか、それとも量のことでしょうか。どちらの場合であっても、両者を比較してどれくらい違うのかお示しいただけましたら幸いです。
もしかしたら、核分裂反応による放射線のことでしょうか。自然の状態では、むしろ238Uの方が自発核分裂を起こして中性子線も出すのに比べ、235Uは自発核分裂を(ほとんど)起こさないことをご存じでしょうか。
>しかしその量はわずかで濃縮前の天然ウランよりも低い値であり、一般的に安全基準を超えるような量を放出することはなく、外部被爆による健康被害の可能性は非常に低いとされています。
劣化ウランも、天然のウランも、原発で使用される濃縮ウランも、どれも皆238Uを「主成分」としますが、大歩危さんがお考えになる235Uの「危険性」の効果は、どれくらいの濃縮率で現れるとお考えでしょうか。その根拠とともにお示しいただければ幸いです。
「安全基準を超えるような量を放出することはない」とは、人の生活空間に放置しても問題ないくらいの放射線量であるという意味でしょうか。だとしたら、どこでそのような説明がなされているのでしょうか。すみませんが、出典、もしくは根拠を教えて下さい。
>また、破壊されて微粉末になり表面積が増加しても、放射線強度が強まることはないので、直接接触すること等による外部被爆に変化ありません。
私は、6/9(イラク討論欄)で、放射性物質の自己遮蔽効果のために、実際に外部へ放出される放射線の量は表面積に依存することを、詳しく解説しましたが、これを誤りとされる根拠をお示し下さい。
>米軍の誤射による鳥島での調査に類したことは、治安が回復すれば比較的容易に実施できると考えます。
「安全だ」、「なんの問題もない」と説明している者が、どうして治安が回復すれば、そのような調査をするようになるのか、私には、その論理がわかりません。だれかが「危険だから」と説得しない限り、そのような調査はなされないのではないでしょうか。大歩危さんのお考えをお聞かせ下さい。
>広島・長崎の被爆に関連して外部被爆を問題にしたのは、内部被爆による生殖細胞への影響場面が想定できにくかったことと、内部被爆は広島・長崎とは比較にならないほど小さいと見積もったことによります。
ICRPの勧告に基づく、日本の原子力基本法関連の法令において、被爆線量見積もりにおける「組織加重係数」が、生殖細胞 において特に高い値が設定されていることをご存じだと思います。被爆の危険性は、細胞分裂が盛んな組織、分化が未発達な細胞において顕著に現れるからです。β線による睾丸等への影響は当然考えられます。また、原爆の残留放射能による被爆は、基本的に核分裂生成物である短寿命核種によって起こされ、数ヶ月の内に指数関数的に減少して安全レベルに達しています。半永久的に続く劣化ウランの放射能と、どうしてそんなに単純に比較できるのか、お考えをお聞かせ下さい。