有事7法案が、そして関連3条約締結が、極僅かな審議だけで参議院採決され
成立した、野党は基本賛成の民主党を筆頭にさしたる抵抗もせず、ただ指をくわえて
見守るだけだった。
唯一、抵抗を示したのは国会前に詰めかけた市民団体と、陸・海・空・港湾20団
体の労働者のみである。
小泉は年金法案強行採決の時の顔面蒼白ぶりとは違い、何を言われてもニヤケ笑い
満面の、余裕ぶりだった。
もう参議院選で実態がどうであれ何もしないでも勝てる、負ける要素がない、サミッ
トではブッシュには恩を売ったし、中身ゼロの朝日会談で拉致家族会にも義理は果た
した、万々歳なのである。
マスメディアは有事法制審議を殆ど報じなかった、NHK御用放送は何の緊迫感もな
い委員会審議を放映しただけで、本会議は中継せずニュースで結果だけを報道した。
そして今朝、おまけのサービスとばかり「小泉内閣支持率54%」の操作世論調査結
果を流した。
我が最大野党、民主党は全てが終わったあと、ただ選挙対策の為にのみ内閣不信任
案を提出した、これを茶番というのだろう。
いくら「伝家の宝刀」と言えどもこんなタイミングで出せば、そのサビが目立つだ
けである。
やる気がないのだ、やるなら年金審議時に出すきだった、これでは「負け犬の遠吼」
にもならない。
小泉はサミット前の米日首脳会談で、窮地に追い込まれていたブッシュに多国籍軍
への積極的参加を約束した、親友小泉の心づくしのサービスにブッシュも内心「感動
したぁー!」を連発したに違いない、さすが国連の新決議でブッシュに同調姿勢を見
せたシラクもシュレーダーもこれには反発し、NATO軍の多国籍軍への参加をただちに
拒否した。
多国籍軍の参加については与党内でも異論が続出しているが、これも国会期限内に
は「しかたないなぁー」で収まり、その後は参議院選へまっしぐらだろう。
争点のない選挙など与党にとって楽なものである、公明党への「おんぶと抱っこ」
だろうが負ける事のない選挙では何でもできるからだ。
民主党とはそれなりに「協商」し、やがて来る危機の時の「大連合」に含みを残す、
一方目障りな勢力には徹底した「各個撃破」をかけ、再び立ち上がれないように叩き
落し、殲滅する。
私の地区でも「選挙区は自民党へ、比例区はお世話になった公明党さんへ」がまこ
としやかに囁かれ、次第次第公然化してきた。
他方、唯でさえ当選の可能性のない勢力は内々分裂し、お互い言い争っている。
悔しいことだが「沖縄の実験」など例外中の例外なのだ。
小泉によって「叩き壊される」筈だった自民党は、今や余裕シャクシャクである。
小さな市民団体の「有事法制反対、多国籍軍参加抗議」の申し入れ行動に対しても、
「私たちは皆様の、国民の皆様の声を大切にします」「必ず本部へ送らせて頂き、ご
返事します」と「超」がつくほどの低姿勢で対応してくる。
これが「政権党の余裕」なのだろう、まさしく暖簾に腕おし、懐が深くさえ見せて
しまうのだからー。
今からでは遅すぎるだろうが共産党を含む少数政党は、根本的に戦略を見直すべき
と思う。
「各個撃破」されない道を、これまで困難の歴史の中で培って来た経験と叡智を総
結集して、小異を捨て大同団結し、的を絞った闘いを展開すべきだろう。
既に有事法制に対し、実践を要求されている自治体からは「国民保護法」などは自
衛隊の展開を優先する余り、返って避難民が犠牲になるなど、実際には適応出来ない
「砂上の楼閣」的法律だとの声が上がっている。
戦前、15年戦争突入を前にしてこの国には、治安維持法など戦時立法は約300
あったと言われている。
まだ端緒、闘いはこれからなのだ、敗北感に囚われることなく、「自衛隊のイラク
即時撤退要求」と「有事法を発動させない」闘いを中心に、今後も枠を超え垣根を超
えて、ドンドン人びとの中に、大海の中に入って闘って行こう。