今、有事法制反対の闘いを率い、先頭で闘い抜いているのは陸・海・空・港湾
20団体の労働者である。
大阪湾で先週、海上自衛隊が創設50周年を口実に「創設50周年記念展示訓練」
なるものを開催した。
大阪港と神戸港で約20隻の艦艇が各々展開し、掃海作業訓練や艦艇の編隊航行の
訓練と同時に、家族や関係者を招待、乗船させ、ほぼ一日近い「見学航海」を行なう
のである。
今、海上自衛隊は米軍のアフガニスタン侵略に合わせ、インド洋に長期継続的に派
遣され、米軍を中心とした有志連合の艦船に燃料の無償給油作業を行なっている。
今イラクやアフガンでの無差別の米軍爆撃は、海上自衛隊に支援されているのだ。
これが小泉や石破の言う「後方支援」の実態である。
私は神戸港に寄港・接岸した4隻の自衛艦に対する自治労や全港湾などを中心とし
た抗議集会へ参加した。
流石に自衛艦は戦争のためにのみ建造された軍艦である、機関砲が洋上を睨み、小
型ミサイルが装備され、大型艦には攻撃型ヘリコプターが搭載されている。
現実の自衛艦は、子供向けの本に載せられている写真や絵より、ウンと迫力があり、
そして白ずくめの自衛官もカツコいい。
神戸でも、およそ2000人の子供や家族連れ、そして戦争体験者と思われる老人
などが動員され、ピクニック気分で乗船した。
そして出港に際してはその都度、あの「軍艦マーチ」が恥ずかしげもなく演奏され
た、もうすっかり戦争気分なのである。
しかし驚かされたのは出港の時、自衛艦はそのモロさを表面化したことだ、図体が
大きく逞しい自衛艦でも、波止場から自力では出港出来ないのだ。
4隻いずれも出港する時、ピカピカに磨かれた自衛艦とは対照的な「おんぼろタグ
ボート」2隻に引っ張られてやっと沖合いに出るのである。
この時「港湾労働者」の闘いの重要さと、強さを知らされた訳である。
第二次世界大戦で日本軍兵士の死亡率はおよそ36%だと言われる、それに対し幾
度も戦場に狩り出される船員の死亡率は、47%にも及んだと言われている。
今、国会で審議されている有事7法案と3協定案については、野党とマスメディア
が盛んに「審議切れ廃案」などの楽観論を振りまいている。
しかし間違いなく、与野党ともに根本的改革を先延ばしした年金法案より、有事法
案が私たちの将来により禍根を残す、法律なのだ。
なんとしても成立させてはならず、必ず阻止しなければならない法案なのである。
しかし民主党は、有事法案を年金法案の取引道具としか見ていない、そして我が日
本共産党も参議院選対策の為か、年金法案審議に手を貸した。
年金法案の徹底拒否の先に、「有事法案の廃案」があるのに、それを選挙の為に売
り渡したのだ、有権者の誰があのように混乱した参議院に「良識の府」を見ると言う
のだろう、発言権すら無視された共産党に「清正」を意識すると言うのだろうか。
私たちは神戸港であらん限りの声を振り絞り、自衛官にイラクからの撤退を呼びか
け、乗船の家族にもビラを配り訴えかけた。
そして海上からは巨象ように大きい自衛艦に対し、まるでアリの様に小さなヨット
で反対と抗議を行なった。
しかし有事法の発動を許すのか、許さないかは陸・海・空・港湾20団体の労働者
こそ握っているのである。
残された国会期間はほんの少しである、有事7法案と3協定成立を絶対許してはな
らない、怯まず・疲れず・諦めず頑張って行きたいものだ。