有島さんとの論争も数回に及んだが、平行線をたどり、これ以上歩みよりは難 しいと考え、総括的なまとめをしておきたい。
最初、有島さんの発信内容に驚愕した。
①金正日の主張を支持する。
②拉致被害者の主張はもっての外、支持できない。
③北朝鮮の無法行為は「子供のいたずら」程度
これ等に凝縮される。何故こういう主張をされるのか、真意を聞きたかったことに
始まった。
論戦が進んでいくうちに、私に対しては、「卑怯」「不誠実」だと言われるように なった。未だに、その理由、本心がよく理解できないと言うのが正直なところ。
「①核問題を平和的な交渉で解決する。
②拉致問題を全面的に解決すること。
③日本が“過去の遺産”を清算すること。
これ等について、個別の問題だけの解決ではなく、包括的に解決する」と言う、不
破インタビュ-を支持すると言った。
誰が考えても、核だけ、あるいは拉致だけの解決はありえないし、国交回復し、過 去の遺産を清算をする場合にも、「核抜き」「拉致抜き」もありえない。3点をセッ トで包括的に解決する、当たり前のことなので、支持すると言った。過去の遺産の清 算では、まず、国交回復を進めるプログラムが必要になるが、前段での拉致問題の解 決が求められる。それが「拉致問題の解決なしに国交回復なし」の方針になっている。
これまた、当たり前のことである。その事と、包括的解決とは何ら矛盾するもので はない。又、このプロセスを経ないと、包括的解決にも進まない。では、全面的解決 とは、全ての情報公開、国家謝罪、国家補償であると考える。
この当たり前の事を、何度説明しても有島さんは「質問に答えてない」「論議をす るのを避ける」「話を元に戻す」と言われる。何回言わせば気が済むのだろうか? 正直これ以上言いようがなくて困っている。理解されようとしないのかとも思う。
あるいは、「拉致の解決」が過去の「遺産の精算」の前であったてはならないこと、 この一点への、ものすごいこだわりを持っているとしかいいようがない。再度申し上 げる。包括的解決とはどれかが、先行するかも知れないが、セットで、まさに包括的 に進んでいくことを言っている。
有島さんは、拉致の原因を「日本の過去の蛮行」と「日朝の不正常に関係」に求め、 ある種の「相殺論」に立っている。むしろ、本丸は「不正常に関係」においている。 又、拉致家族の悲痛な叫びを「冗談でない」とし、過去の蛮行の犠牲者対応を本丸視 している。
一方、北朝鮮の金政権も、日本の「過去の清算」と拉致をリンクさせている。過去 の「植民地支配」を引き合いに出しながら拉致の交渉を進める姿勢がありありと見え る。つまり、有島さんは、北朝鮮の金政権と同じ主張を日本の側から言っていること になる。
しかし、これは間違っている。日本のかっての「蛮行」を理由に、あらゆる国際的 無法行為を許すことになる。これを拡大すると「ミサイルを打ち込まれても黙ってい ろ」「かっての蛮行に比較すればたいした事ではない」となる。こんな馬鹿げたこと は無い。
多分、有島さんは、北朝鮮の数々の「国際的無法行為」やそれが国際社会に与えた 「猛害」が見えていないし、北東アジアの平和と国際的無法行為を関連付けて捉えら れていない。
一連の国際的無法行為は、どうみても「ならず者国家」のなせる事で容認できない 事。北朝鮮がこれまでの数々の「国際的な無法行為」を行ってきたが、キチンと反省 と総括したことは一度もない。拉致については、対日のみ、しぶしぶ謝罪したが、真 相究明には尚ほど遠い。
それに、「人質」をもてあそぶ不誠実さも垣間見る。その理由は、人権感覚の欠如 と密接。背後には、未曾有の「人権抑圧」が存在する。21世紀のアウシュビッツと もいえる凄さのものである。少なくとも無法が他国に及んだ場合、毅然と反論する、 あたり前のことである。
有島さんが、「日本の過去の蛮行」を批判すると同時に、現在の金一派の「国際的 無法行為」を糾弾するならば、バランスの取れた御仁と判定するが、後者を子供のい たずらとしているため、著しくバランスを欠いている。
拉致家族支援活動については、私は全面的に支援する。有島さんは、日本の過去の 蛮行により、連行された規模・程度との比較論に立って、現状の支援活動を冷ややか に見ておられる、いや、むしろ、反対(対峙)している。
正直、憤りを通り越して悲しくなる。何と了見の狭いことか!拉致家族支援活動の 活性化・発展は、正しい「過去の精算」にリンクするものなのである。このような視 点に何故立てないのか?拉致家族支援活動に費やしたエネルギ-は、過去の正しい清 算に役立たせ、そして、明日の日朝関係構築に向かってこそ、真の日朝関係のベ-ス ができると言うものです。