7/12の「寄らば大樹の陰」さんの投稿について、「びーぼたんせれくと」 さんからの反論がありました。私も20年来のパリーグファンの一人として考えを記 したいと思います。
政治・労働運動などで活動している人の中には、「どうして私達の重いテーマに ついてはちっとも表で取り上げてくれなくて、コトがプロ野球になると、そんなに大 騒ぎするの?」と怒りを感じる方々もおられることと存じます。
今夜はナイトゲームを観てきたのですが、道すがら、通りの片隅で、動物虐待の実 態を告発する団体が展示をやっていました。
野球をめぐる問題、動物虐待…歩きながら私は、辺見庸さんのことばを思い出して
いました。
辺見さんは、国家による殺人である死刑についてはみんな無関心極まりないのに、
ガス室で殺される犬などのことを取材して発表すると、反響がものすごくある。動物
たちの無惨な死については熱くイマジネーションを働かせるのに、絞首台で頸骨が折
られていく音などについては、ほとんど誰も想像することはしない、どうしてなんだ
…この落差を辺見さんは「単独発言~私はブッシュの敵である~」という本の中で述
べられております。
人間の死刑ー動物の虐待死と、政治・労働・大衆運動ープロ野球、私にはこの構図 がとても似ているように思えてなりません。だから、「野球ごときで騒ぐな」という 方の気持ちも理解できます。
でも私はプロ野球に肩入れします。ただの娯楽ごときで大騒ぎして、問題山積
の政治には無関心で平気な人格、そのように分類する方もおいででしょう。
私は、今回の合併騒動や1リーグ制への移行の問題は、現在の政治状況と酷似して
いる出来事と捉え、注意して推移を見守っています。
近鉄のオーナーは、オリックスとの合併に、しゃにむに突っ走っています。
近鉄を買いたい、という申し出があるにもかかわらず、売ったほうが近鉄本体も、
株主たちも利益がもたらされるのに、「既成事実」として合併に一心不乱。
株主総会の時は、35億円の赤字とわめき、株主の了承を得て置いて、あとからラ
イブドアという会社が買収したいという意向があった、と情報を出す。これは年金問
題の政権側の態度と似てませんか?
オリックスとの約束が第一、合併は決まったことという近鉄の態度は、アメリカに
「多国籍軍」を出すと一方的に決めてしまった小泉と似ていませんか?オーナーが総
理、選手が国会議員、ファンが一般国民とすれば、政治と野球の話、関連があるよう
に思えませんか?
今回の参院選、若者の政治への無関心の傾向が強いのは変わらず、という報道をよ
く耳にします。
わたしは、今回の野球の問題が、権力や政治との向き合い方を学習するのに、とっ
ても良い教科書になる可能性を含んでいると思っています。
プロ野球の実権を握る者たちに、パリーグのファンは、一時、無力感・絶望感に嵌
められそうになりました。でも権力者たちに、ファンの要求をどうすれば実現させら
れるのか、
多くのパリーグファンは模索しながら、実践しています。
たかが署名運動くらいと、笑う人もいるでしょう。でも自分には何ができるの か、いまある球界(社会)を変えるにはどうすればいいのか考えることに、価値があ るのではないでしょうか。
リーグの後半戦が今夜、開幕しました。
リラクゼーションの場である球場なのに、スタンドのファンの間には引き締まっ た雰囲気を感じました。
球団合併反対、1リーグ制反対の声をあげるファン達にとって、この「球場」が民 主主義の学校になっているように思えて仕方ないのです。