昨年、自ら命を絶たれた方が、過去最多の3万4427人に上ったということが、
23日、報道されました。
「働き盛りの自殺急増」「30代17%、40代13%増」と見出しには書かれて
おります。
いろんなご事情が、おありでしょう。
ご自身の病気に限らず、家族のための介護などで、お疲れの方もおられるでしょ
う。事業がうまく行かなかった方も、また、「リストラ」という名の「クビきり」
や、人員削減の中で、不払い残業、労働強化という事態に、ご自身を追い込まれ、悩
み、堪えられなかった方もおられるでしょう。
一時逃れ、と思いつつも、「ヤミ金」に手を出さざるを得なかった方や、職場、学
校、家庭など、さまざまな所で、人間関係に悩まれておられたかもしれません。
「疲れ果てた。こんなことなら、死んだほうがましだ。夢も希望も、生きる気力
も、すべて、失った。死にたい。死のう。」
そう、思われ、引き返されることなく、一線を超えられたのかもしれません。
「お前に、何が分かるのか?!」と仰られるかもしれません。
確かに、仰られる通りかもしれません。
しかし、それでも、私は、言いたいのです。
お願いです。どうか、死なないで下さい。
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私の住む地域にも、お寺さんがございます。
その、掲示板に、標語が掲げられており、ときどき、読ませて頂いております。
その中で、今でも覚えておりますものに、
> 迷惑をかけるまい。しかし、皆、迷惑をかけずには、生きられぬ。
というものがありました。
聞くところによれば、親鸞上人の教えであるそうです。
人に、迷惑を掛けたくない。できるだけの責任は、果たしたい。
通常の話であれば、そう思われることは、称えられこそすれ、なにも、とやかく言
われる筋合いはないことだ、と思います。
しかし、ことは、命にかかわる問題です。
作家の高 史明(コ・サミョン)さんご夫妻は、中学生の一人息子さんを、ビルの 屋上からの飛び降り、というかたちで亡くされたそうです。
> お前も、もう中学生になったのだから、いつまでも人に迷惑をかけるなよ。
> 自分で責任を取れ、と偉そうな事を言ったが、振り返ってみたら、自分自身の人 生において、自分で責任を取った部分がどれくらいあったのだろうか。
一から十まで皆に責任を取らしたというのではないけれど、ほとんどは、周りの人 にいろんな形で責任を取ってもらって、今日までやって来たのでないか。
> それを忘れて、子供には責任を取れよと、これをまともに受け止め、何とか自分 で責任を取らねばと追い込んでしまった。
> ビルの屋上に立った時に、誰が子供を突き落としたのか言うと、誰でもない、親 のこの私であった。
と仰っておられるそうです。( 『いのちに遇う』 (藤田徹文 著・本願寺出版社))
ご自分を責め、追い詰められた心の下では、決してよい判断が下せるとは、私に は、思えません。そして、それが、死という選択であったのなら、なおさらです。
人は、皆、迷惑をかけながら生きているものだと、私は思います。
ご自分をそんなに、責め立てないで欲しいのです。
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「いのちの電話」という民間の ボランティア団体が、ございます。
>「一人一人のいのち」を大切にする立場から、孤独の中で不安や悩みを持つ人々の 良き隣人として、そのような方々の「話し相手となって」危機を乗り越えて自らの力 で生きる勇気を見出していけるように、電話での対話を通して援助していくことを目 的としています。
> いのちの電話は、民間のボランティア団体で、維持運営も電話相談も全てボラン ティアが支えています。
> 電話相談に当たるボランティアは9ヶ月以上所定の訓練を受けた人です。
> 名前を言う必要はありません。
という趣旨で、活動されておられます。
お一人で、「答え」が見つからない、と、ご自分を責められ、一線を超えられる前 に、ご家族、ご友人、愛する方のお顔を、思い浮かべて頂けませんでしょうか。
もう一度、あなたの人生に、機会を与えて頂けませんか。
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「全国 いのちの電話」 http://www.inochinodenwa. or.jp/03-denwa.htm