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吹田事件、大阪で闘った朝鮮戦争

2004/07/30 寄らば大樹の陰 50代 苦闘するフリーター

 「吹田事件」をご存知の方も多いと思う。
 今岩波書店から「大阪で闘った朝鮮戦争」副題として”吹田枚方事件の青春群像” が西村秀樹さんによって刊行されている。
 私も恥ずかしながら吹田事件を名前だけしか知らなかった。
 しかし読んでいくうちに次第に引き込まれ、殆ど一気に読んでしまった、戦後革命 期の真実のそして真迫のドキュメントだ。
 吹田事件とは1952年6月、朝鮮戦争2周年を期して、日本共産党の指令下、学 生、労働者、朝鮮人約1000人が結集し、大阪北部吹田操車場を舞台にして展開さ れた反戦闘争である。
 東京でのメーデー事件(1952年5月)に影響を受けた関西で発生した大規模な 「騒擾事件」と言ってもいいだろう。
 2年前の6月に発生した朝鮮戦争は「国連軍」の蓑をかぶった米軍による大量な物 資戦争だった。
 ナパーム弾や大量の武器弾薬が神戸港に入り、鉄道を使って国内の米軍基地に送ら れた。
 吹田事件は、その輸送を実力で止めようとした日本共産党指導下の闘争だったので ある。
 この戦争によって疲弊していた日本経済は、朝鮮戦争の人々が流した血によって空 前の戦争特需にあずかり、復活したのだ。

 今イラクに自衛隊が多国籍軍として送り込まれ、朝鮮半島と中国を見据えたアジア 再侵略構想が米日一体となって目論まれている。
 韓国の米軍基地を三分の一に縮小と、日本国内の基地の統合と再編強化を始めとす る米軍の「トランスフオーネーション」は朝鮮戦争の再現に備え、日本全土最前線基 地化を目指すものだと言える。
 そのためにこそ有事法制定があり、国民保護法制もACAS強化もあるのだ。
 自衛隊のイラクサマーワへの派兵・実地戦闘訓練もその一脈の中にあり、そして 「教育基本法の改悪」も「改憲」もその戦争体制作りの一環としてある。
 この本を宣伝する訳ではないが、共産党員はもとより、支持者の方も、そして幹部 の方も是非この本を読んでほしい。
 おかしいところがあれば論戦を闘わしたらいい。
 「あれは既に否定された誤った一部指導者による武装路線だったから俺は知らない」 など言わないでじっくり読んでほしい思う。
 まさにこの本には真実がある、かつての日本共産党の姿があり、生き生きとして必 死に侵略戦争と闘い、闘おうとした青年たちの、労働者の、学生の、在日朝鮮人の生 き様が書かれている。
 そして何もしないで、何の危機感もなしに過ごしていくと再び朝鮮戦争が、メーデー 事件が、吹田事件が、枚方事件がくる事を知ってほしい。