戦時体制にまっしぐらに突き進む小泉政権に対する国民の不安と危機感が、民主党への流れとなって、今回の参院選挙の結果となってあらわされたように思いました。これは日本のブルジョアジーの動揺と、分裂を表現しています。敵は一枚岩ではないのです。帝国主義として突出しようとするブルジョアジーとそれをためらうブルジョアジーの分裂です。
選挙結果を見て。
第一には、
自衛隊の多国籍軍への参加にたいする拒否が、日本国民の侵略戦争に対する反省がいまだに根強く存在していることを証明したのです。私達は日本共産党が惨敗したこととは別に、日本人民がいまだに健全であることを喜びとし、もしも誠実に大衆の中に入り込み憲法改悪反対、自衛隊のイラク派兵反対を訴え続けるならば、反戦、平和の戦いが大きく発展しうる土壌があることを確認できます。
第二には
年金法が人民に対する増税として過酷な負担を強いようとする政府に対してこれでは生きていけないという、ぎりぎりの線での怒りが表わされたということです。底辺ではもうこのままでは生きていけない人々がどんどん増えていませ。もっ深く、労働者の現場、人民の生活の中に入ってともに戦うならば必ず時代を変えることが出来るのだということを教えてくれました。あらゆる面での生活権の剥奪がすべて戦争への道と直結していることを宣伝しなければならないと思います。
自民党が敗北し民主党が勝利したことによって政治が流動化したかに見えます。おそらくは国民がそれを望んだかのようです。だが、2大政党制の流れを作り出したのはマスコミであり、マスコミを支配しているのはその背景の資本です。急進的右翼の小泉政権に対する不満が高まったとき、社民党によってその不満の受け皿にさせ小泉の政策を更に引き継がせようとしているのです。民主党が次の選挙で政権をとったとしても政権のキャッチボールをさせているに過ぎず、その間に非常に危険な時代に突入していきます。その時代とは戦時です。
日本帝国主義は議会制民主主義を利用して自民党政権であろうと、民主党政権であろうと「どっちに転んでもいい」という体制を作り上げたのが今回の参議院選挙でした。自民党が敗北したということがぬか喜びでしかなかったことに日本人民が気付くのにさほどの時間は要らないでしょう。またよりましな政権というのも幻想でしかなかったことも同じでしょう。
社民党および日本共産党は壊滅的打撃を受けました。社民党は支持基盤が弱く、消滅していく一方ですが、しかし最も良心的人道的な主張をする党として一定に支持を失わないでしょう。
本来こんなに生活が苦しくなり、戦争の危機が迫る中で飛躍的に前進できる情勢が革命党に訪れていたにもかかわらず壊滅的打撃を日本共産党がこうむったのは、革命党としての責任を放棄し、排外主義党に転落したからに他ないのです。労働者階級の前衛党を公然と放棄し国民政党というブルジョア党に変身したことが、労働者階級から見た場合に裏切られた感を強めさせたのであり、そっぽ向かれたのです。
一体共産党員たちは職場で労働者のためにどのような活動をしてきたのですか。リストラや解雇に反対する戦いを日本共産党員たちが真剣に取り組んできたのですか。労働強化にあえぐ仲間のために戦いましたか。全労働者の30%にもなろうとするパートや派遣社員、不安定雇用労働者のためにどんな戦いをしてきましたか。この失業時代に雇用を要求する戦いに日本共産党員は立ったのでしょうか。だれか答えてください。
問題はここにあるのです。共産党の母親は労働者階級なのです。この階級の母体から生れ落ち、この階級の利益のために結成されたのが共産主義の党なのです。労働者階級の真の開放は革命にしかなく、革命を放棄したときに党は労働者階級を見捨てたのです。自分達が見捨てた階級に支持されようとすることは虫が良すぎることをこの選挙で痛切に反省されなければ、ジリ貧になっていくしかないでしょう。
中小企業家や中間階級はこの10年で急速に転落しています。零細業者は労働者になり、失業者に転落しています。彼らがどちらにつくかは、労働者階級に未来が見えてくるかどうかに懸かっているでしょう。このプチブルに依拠しようとする方針の日本共産党は中間階級の本質である動揺性に振り回されるでしょう。
末端の共産党員を単なる選挙運動員にしか考えない指導部が日本共産党そのものを破産させてしまいそうです。単に選挙責任のみでなく根本的な責任をとらせるためにすべての指導部を更迭し、労働者出身の指導部に置き換えねばなりません。議会主義になった党が皮肉にも議会に代議員を送れなくなってきたならばどうしますか。何時あなた方は国会で安定的な多数を取り民主連合政府を作るのですか。しかもそれを通じて社会主義におっぽんを宣言するのは100年先か1000年先かどう考えているのですか。展望のない党には誰も指示しなくなります。共産党に期待するのは決して現実の利益でなく。「未来」だけなんです。
人間は希望によって生きています。どんなに苦しくとも希望があれば生きていけるのです。希望のない党にどのような魅力があるのでしょう。
そしてもっともっと大衆運動に力を入れねばなりません。分散的に末端的にではなくすべての大衆運動を首都、東京に結集させていかねばなりません。また党のセクトを捨てて新左翼とでも社民党とでも共闘して反戦、平和のために戦わねばなりません。皆さん、何らかの活動をされていますが、それらがばらばらで、結集されていないからいけないのです。結集軸は中央委員会でしょう。中央を突き上げて院外闘争にもっともっと力を入れるようにさせねばなりません。
これからも凄まじい攻撃がきます。そのたびに院外闘争をやりぬき憲法改悪反対の大闘争へと攻め上らねばなりません。改憲こそはわれわれにとっても「反攻」の最大のチャンスになリます。この選挙結果が示すように、客観的には人民が反動政権からどっと離れていこうとする流動情勢ですので、それを受け止める主体の構築が急がれます。そして何度も言うのですが、党がそれに応じることが出来なければ労働者階級本隊が自分達の指導部を作り出して戦い出すでしょう。私は悲壮感などなく、楽観しています。何時までも負け犬ではないと。