投稿する トップページ ヘルプ

一般投稿欄

7/13Sekioさんへ他

2004/07/15 さつき 40代

β線の飛程は任意の媒質の面密度R(g/cm2) で表現されることがあり、この場合、面密度がRとなるような厚さ分だけ透過できることを意味します。このRは、β線のエネルギーが0.8MeVより大きいものについては、
 R = 0.542×Emax - 0.133  -------- 1
の式で計算します。ただしこれは経験的な近似式で、0.8MeVより小さいエネルギーのものについては別の近似式を用います。

β線のエネルギーが決まれば、Rは物質によらず一定の値となり、大変便利です。媒質の本来の密度ρ(g/cm3)がわかれば距離の単位で表した実質的な飛程dが次式によって直ちに把握できて、様々な物質への換算が容易におこなえるからです。
 d(cm) = R(g/cm2) ÷ ρ(g/cm3) ---2
水の密度は1g/cm3 なので、Rの値はそのまま水中での飛程dを表すことになります。

234Paからの2.27MeVのβ線についてのRは1式より、
 R= 0.542 × 2.27 - 0.133 =1.09734 (g/cm2)
2式より、密度2.7g/cm3のアルミニウム中の飛程dは、
 1.09734 ÷ 2.7 = 0.406 cm
1気圧、20℃の大気(密度=0.001205 g/cm3)中の飛程dは、
 1.09734 ÷ 0.001205 = 911cm = 9.11m 
となります。大気の密度は気温に反比例して変化するので、イラクのように40℃にもなると飛程dは9.75mと長くなります。
Sekioさんの7/7の投稿では、32P (リン)からのβ線の大気中での飛程について6mと記載したウェブサイトがあると紹介していただきましたが、試しに計算してみて下さい。このβ線のエネルギーは1.711MeVです。

ちなみに、「面密度」は、製紙・印刷・出版業界、各種板材を扱う業界などで普通に使われていて、製品の「密度×厚さ」を直感的に把握するのに便利な概念です。

劣化ウラン弾については様々な機会を捉えて、その危険性をアピールしていくことが大切です。私も、現在かかわっている反核ネットワークの一角に、自分で学んだことを反映させていきたいと思います。いつも愛想がなくてすみませんが、また数日間はネットにアクセスできない環境に身を置くことになり、失礼します。

なすびさん、「組織論と運動論」討論欄への私のつたない投稿に賛意を表していただき、ありがとうございます。この場をお借りして御礼申し上げます。