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時代遅れの左翼

2004/07/04 百家繚乱 50代 事務職

 共産党と共産党系の団体は、相変わらず、「○○学習決起集会」なるものを多 用している。集まるのは、中高年ばかりで、若者は見向きもしない。「どうしてこう なんだろう」とたまに考えると、政府自民党のせいで若者が右傾化したからだと結論 して満足する。しかし、この「学習」と「決起」が、全く矛盾していることには、気 づくことが出来ない。俺なんかは、「学習」と言えば、パブロフの条件反射を思いつ く。自分の頭で考えて、己の進むべき進路を見つけるのじゃなく、誰か「偉い人」に 進むべき進路を、繰り返し繰り返し教えてもらって、己自身が「偉い人」になる。正 直に言って、こんな左翼活動は宗教活動と何も変わらない。しかも、それでいて、 「宗教はアヘンだ」等と言ってしまえば、宗教活動よりも性質が悪い。宗教活動の場 合は、あの世が基本にある。あの世は、実際に経験できないから、繰り返し繰り返し 「良い行い」を学習する必要があるだろう。このような「学習」は宗教活動では無駄 ではないが、政治活動では全くの無駄・邪道である。
 民主主義の社会では、国民一人一人が社会の主人公であり、己の頭と責任において、 政治的責任を負わなければならない。政治的な「学習」は、この民主主義の精神の否 定である。こんな受身的な「学習」に、今日の若者が興味を示すわけがない。中高年 でさえ、こんな「学習」で、自己満足することが出来るにしても、決して「決起」出 来るわけじゃないだろう。人間は、誰だって、本質的には、己の頭で考えた目標でな ければ、「決起」できないものである。政府自民党のせいではなく、古い「左翼」の 古い頭に、若者は「決起」する魅力どころか、拒否反応さえ示しているのである。今 日の若者は、未来の日本を担う。古いイデオロギーに拘らずに、若者と共に考え、若 者から学ぶと言う「討論」がなくては、若者は「左翼」から離れるだけである。
 現代の中高年はベトナム戦争という「悪い行い」を経験している。この「悪い行い」 をさせない・しないために、現代の中高年は自ら学習し、決起してきた。確かに、こ の学習は当時の青年を決起させる力になった。しかし、この決起は戦争をさせない・ しないための学習でしかなかったし、古い「左翼」の力によってじゃなく、「米帝国」 によって無理強いされた学習である。しかも、この学習は百花繚乱のような「学習」 であって、己の頭で考える学習であった。支配層だって、馬鹿じゃない。同じ戦争を 何度も繰り返して、破綻するようなことをするわけがない。ベトナム戦争とイラク戦 争では、かなり性質が異なる。同じような戦争のように見せかけて、若者を「学習」 させようとしても、行き詰まるだけである。
 ブルジョワジーと労働者階級は、相互に戦いあいながらも、相互に浸透し合ってき ている。民主主義社会では、ブルジョワジーは、己の支配を維持するためには、労働 者階級に多くの妥協を図り、彼らを味方にしなければ己の権力を維持できない。少な くとも、ブルジョワジーを追放したと言うソ連東欧よりは、遥かに、ブルジョワジー に支配されていると言う西側の方が、労働者階級にとって、住み心地が良かったのは 事実である。なぜ、こんな事になったのか、今日の左翼は真剣に反省する必要がる。 古いイデオロギーを、無理やり押し付ける体制・組織は、口先では「労働者階級の味 方」を標榜しても、中身は、己のセクト的利害しか眼中になく、このセクト的利害の ためには、平気で労働者階級の利益を犠牲にする、という事実を指し示している。む しろ、ブルジョワジーの方が、己の権力を維持するために、真剣に、労働者階級の利 益を擁護した、と言う事実をも指し示している。
 日本と言う国は、この限りある地球の一部に過ぎない。今日の地球環境問題・貧困 問題・内戦問題は、放置すれば、我々自身が生きていけない時代に突入しつつある。 世界の問題は、直接に我々日本の若者の、未来の利害に大きく関わっている。社会主 義とは国際主義である。この国際主義を捨てた「左翼」よりは、遥かに何倍も、今日 の若者は左翼的であると確信する。古いイデオロギーを捨て、「学習」ではなく「討 論」によって、共に新時代に適応した道を考えると言う視点がなければ、左翼は再生 しないだろう。