PONさん、初めまして。本田と申します。現役党員(但し考えるところあって長期未結集)です。
もっと適任な党員が答えるのを待っていたのですが、誰も出て来ないので、遅れ馳せ且つ不勉強ですが私が答えます。もちろん私見であり党の公式見解ではありません。
>党員の方に質問なのですが2004/08/02 PON
>これまで、共産党の演説や政策を拝見していて、感じたことですが、共産党は、現在、経済の支配的部門が情報やサービスへと移行し、人々の意識が変化する中で、それに伴っての理論や政策の再検討をやっていないように思えるのですが、どうでしょうか?
ご指摘の点を、①「経済の支配的部門が情報やサービスへと移行し」たこと、②それに伴い「人々の意識が変化」したこと、の2点に分けて考えてみます。
両方とも以前から私も同じ様に感じてきました。そこで改めて党の政策を調べてみました。結果、産業構造の変化に対応した、またそれに伴う市民の意識の変化に対応した政策の変更はほとんど行われていない、と私は結論付けます。
その根拠は、
(1)今年改定した綱領でもそれらの変化に言及していません。
但し、経済の「グローバル化」に関する記述はあり、これを敷衍拡張することによって間接的に産業構造の変化を指摘することは出来るかもしれません。
≫(綱領)二、現在の日本社会の特質(六)
≫(前略)その(日本独占資本主義―引用者)中心をなす少数の大企業は、大きな富をその手に集中して、巨大化と多国籍企業化の道を進む(中略) ≫「グローバル化(地球規模化)」の名のもとに、アメリカ式の経営モデルや経済モデルを外から強引に持ち込もうとする企ては、日本経済の前途にとって、いちだんと有害で危険なものとなっている
でも、それを認めたとしても、産業構造変化に伴う市民の意識の変化について何も書かれてないのは変わりません。
(2)不破議長の党創立81周年記念講演を読んでも、ルール無き資本主義を民主的に規制することは強く主張されていますが、PONさんが言われる「移行」・「変化」に対応した表現、換言すると具体化・深化は見られません。
もちろんこの民主的規制自体には私も賛成です。しかし具体論が論議されて無いようです。
(3)2004年4月28日(水)「しんぶん赤旗」記事では、大手サービス産業や金融資本に対する党の方針が書かれています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-04-28/0428faq.html
しかしその大半は、綱領などと同じ、民主的規制の一般論です。情報産業やサービス産業についての言及はありません。金融については最後に付け足しのように、
≫日本の巨大金融資本については『新・日本経済への提言』〔新日本出版社〕の「第三章 経済民主主義にたつ改革、大企業への民主的規制―国民本位の経済再建の保障」の「(1)大企業への民主的規制」「(2)財政・金融の民主的改革」をごらんください。十年前に発表したものですが考え方は今でも生きているものです。
とあります。未読の為具体的には言えませんが、1997年以降相次いで大手銀行・証券会社破綻、公的資金投入、金融ビッグバンなど金融システムが大変動しているのに、10年前の考え方で良しとするのは全く不充分と思います。
>実際、国政選挙におけるマスメディア操作においても、他党に遅れをとっているように思えます。(選挙CMは小出しに放映しましたし、活憲や革新などの言葉でなく、「護憲」や「改革」など古かったり、他党と違いない単語を使って、政策の紹介をしていたのが良い例です)
まず、「マスメディア操作」ではなく「活用」すべきと私は考えます。
その上で、「他党に遅れ」には同感です。スローガンや政策の打ち出し方が国民から見て新鮮さを感じられない(確かに「護憲」はその典型。昔の蜷川京都府政の「憲法を暮らしに生かそう」がまだしも新鮮)し、期待感を持つことも無いからです。
ただ、「他党と違いない単語を使」うことは必ずしも悪いことではありません。「民族の自由」「民族民主統一戦線」とか言うセクト的言語より「民族自決権」「独立、民主主義、平和、生活向上を求めるすべての人びとを結集した統一戦線」が市民にはよほどわかり易い。ついでに言えば、「統一戦線」でなく「市民連合」と言えばなお良いのですが。
小泉首相の「自民党をぶっ壊す」と言うスローガンは、国民にサプライズを与え期待感を持たせました。もちろん一時のパフォーマンスに過ぎないのですが、生身の人間を相手にした「政治」の熟達者である自民党は、国民を頭から「科学的に説得」しようとする共産党よりも、どのように訴えれば国民の「心」に届くか良く知っているのです。
>是非、党員の方の情報社会に対する考えをお聞きしたいと思います。よろしく、お願いします。
良くまとまっていない私見ですが、
(1)上の①に付いては、大企業に対する民主的規制の中に情報産業やサービス産業をどのように位置付けるか、との問題と考えます。
伝統的なそして日本共産党的な社会主義の解釈では金融以外のこれらの産業は主要産業とはみなされず、重視されませんでした。その理由は、既に多くの研究者が様々に論じていますが、極端に言えば、理論的根拠としてきたマルクスやレーニンの思想には今日のような情報化社会は予見されてなかったこと、その欠陥を乗り越えようとしたグラムシなどの研究は必然的に民主集中制批判に結びつく為、日本共産党中央からは重視されなかったこと、などにあるのだと思います。
私は、これらの産業も民主的規制の中に含める、特にマスメディアは民主的規制の中枢部分を為すよう改める必要があると思います。
それから、そもそも民主的規制とは何を意味するのか? 私は、
(a) 企業会計原則・税法・商法・民法・独禁法・日銀法・財政法など法(企業会計原則は法律ではありませんが、企業会計の現場では第一義に則るべき原則です)規制を国民の側に立った民主的なものに変えること(法の下の平等の追求)。
(b) 労働組合運動の協力を得ながら、企業内で実際に働く管理職を含む「勤労市民」が資本の反国民的な利潤追求に対抗して、国民の側に立った企業運営を経営者・株主に要求しまた自ら実践すること(コーポレートガバナンスの民主化)。
などと考えます。
(2) ②に付いては、一般的にそれらの産業の労働組合組織率は低く、また従来型産業と比べ雇用形態もより流動化しており、「勤労者」の意識は育ちにくく、「勤労市民」若しくは「市民」意識が優越すると思います。
またそれらの産業から供給される財やサービスの消費者も「生活者」の意識へ変化していると思います。この数十年間に、出版物→ラジオ→TV→インターネットと、情報媒体は加速度的に発達し、多くの国民が簡単に安く様々な情報を受け取りまた≪発信する≫ことが出来るようになりました。仕事や私用で毎日のようにネットにアクセスし、私の意識も変化させられていると実感します。
少し飛躍しますが、その為、共産党外では共産党流の大衆運動では市民はついて来ず、選挙の支持も集まらず、党内では民主集中の組織論が機能せず活力が乏しくなっていると思います。これらの現象は従来よりありましたが、特にインターネットの普及により顕在化し今後も益々進むと思います。
従い、私は、党外には無論党内に対しても開かれた組織を目指して、党を造り替えねばならないと考えます。その中身については、様々な論点がありますが、最低限必要なことは、党内外に開かれた自由闊達な論議を促進する為に、民主集中制の撤廃または民主面の大幅拡充と集中面の大幅縮小が必須だと考えます。
ここでもグラムシの思想が重要なのだと思いますが、不勉強で多くは語れません。さざ波での論議ではその名もズバリ、愚等虫さん・人文学徒さん・デモクラットさん・大鷹さんなどの論議が有用だと思います。
全く不充分な(この程度じゃ多数は獲れない。もっともっと具体的な実践的な内容が必要)文章ですが、とりあえず答えとします。
党員・元党員・非党員の皆さん
上の私見には訂正や補足が必要な部分が多々あると思います。是非ご意見をお聞かせください。遠慮せずに私見・異論をどしどし投稿してください。
以上