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家永さんの教え

2004/08/22 阿Q 50代 自営業

 山村耕作などと、山村工作隊を思わせるハンドル名をお使いなので、70歳くくらいの大ベテランかと思ったら、40台!本当ですか?

 それにしても、家永さんと言葉を交わす機会を持ったとの事、うらやましい。私はいつのまにか60近くになってしまいましたが、尊敬する人から直接教えを受けるチャンスを全くもてないまま、頭の中は悩み多き青二才のままで体は老人になろうとしています。

 学生時代、高校の同級生が家永裁判の支援活動に参加していましたが、私は仕事に夜間大学、それに日常的な活動に追われて、検定教科書問題について学ぶこともしませんでした。

 その後、いかにも強そうなセリフを吐いて人を脅す右翼よりも、ひ弱な家永さんの方がいかに強靭な精神を持つ尊敬すべき人であるかを知り、また教科書が国民の精神にとってでれほどの影響力をもつかを知り、家永さんから学ぶ必要を感じた頃に、家永さんは亡くなりました。

 そしてその同級生は、今では会社の幹部となり、政治的な話なんぞしたくない様子で、私は一人で「このままでは日本はどうなるのだ」と気を揉んでいる毎日。これで、優れた人からいただいた言葉でも強く心に残っていれば、自分の支えになるのでしょうが、そんな出会いは全くありませんでした。

 しかしそれは「運が悪い」のではなく、能力のうちではないか、と思います。つまり、優れた人に出会って教えを受けるのも、能力ではないか、そのチャンスをもてなかったのは、自分にそれを求める強い意志がなかったからではないか、とも思います。

 こんなつまらない個人的な話を書くのは、若い人たちにできるだけ広く、優れた人たちに接して吸収してほしいと思うからです。それは有名な人という意味ではありません。山の中で一生を過ごしてきた無教育なお爺さんや、畑のことしか知らないお婆さんでも、メディアで活躍する評論家や学者からは決して聞けないような、真実の言葉をあたり前のように口にする人がいます。

 その意味で、私はイデオロギーより人間性、と言いたいのです。文字になった立派な思想は、どんなにいやしい人間でも、暗記してぺらぺらとしゃべることができます。しかし私達が最後に頼るのは、人間そのものではないでしょうか?

 反対派を残虐に弾圧して、大統領職を世襲制にしているウスベキスタンその他の中央アジアの独裁者達は、かつてはソ連共産党の幹部でした。それが今では米軍に基地を提供しながら富を一族で独占し、国民に惨めな生活を強いています。

 イデオロギーではない。大事なのは人間の誠実さです。共産党には誠実な人が多くいる。しかし共産党を批判する多くの人たちの中にも、誠実な人はいます。そのような人たちの誠実に、誠実をもって答えなかったところに、現在の低迷があると、私は思います。最も怒りを感じるのが、吉野源三郎や丸山真男、古在由重のような、民主主義のために人生をささげたような立派な人々に対する共産党の仕打ちです。あんなことをしたらダメになるのは当然だ、と言いたいくらいです。

 そんなわけで、若い人たちには狭いところで悩まずに、多くの優れた人から学んでほしい、と思います。これだけ世の中が快楽追求に走っている時に、真面目に考えている人たちが苦しんでいるのを見るのはつらいものです。

 様々な考え方に接してください。例えば日本ペンクラブが編集した「それでも私は戦争に反対する」。色んな人が、私には想像もつかないような形でアメリカの侵略戦争を批判しています。養老孟なんて、私の嫌いな人も入っているけど、それも必要でしょう。とにかく多様性を認識し、多くの可能性の中から自分が心から納得できるものを見つけ出すべきではないでしょうか?