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RE: 本田さん、大いに論議しましょう

2004/08/31 本田 40代 会社員

 有島実篤さん、いつも返答が遅くなりこちらこそ申し訳ありません。

>本田さん、大いに論議しましょう2004/08/19
 「」付きの不法行為について

 有島さんも書かれたように、有島さんの事実認識と私のそれとに大きな違いはない と思います。

>謝罪・賠償が独裁体制の温存につながるか
 大原則は、侵略者であり植民地支配者であり、強制連行、従軍慰安婦問題、強制労 働の加害者である日本が、直ちに、無条件に、全面的に謝罪し、償いし、将来に禍根 を残さないことです。
 このことは、相手が独裁者であるか、不法行為を行なっているか否かとは関係のな いことです。
 同時に、拉致問題や核問題、不法行為については誠実な解決を求める。
 この二つをごっちゃにして、非難応酬したり、駆け引きに利用したりすることは、 却って解決を長引かせる、現に長引いていると思います。

 わが身を正してこそ相手に正しさを求めることが出来る、と言うのは本来人間関係 の原則でしょう。外交においても理想論としてはそうあるべきだと思います。しかし 日本人を人質に取っている独裁政権相手に理想論だけでは対抗できない、やむを得ず 各種外交カードを使う、と言うのが私の考えです。
 2つの問題は本来は切り離して交渉すべきなのですが、現実の外交交渉においては 無関係であるはずの問題も意識的にリンクさせて交渉するべき、と考えます。その理 由は、そのほうが相手により強く圧力を掛けられるからです。

 日本とGIVE AND TAKEの関係になれば利益になることを北朝鮮指導部に理解させ る為、信頼醸成しつつの対話と圧力が必要だと思います。この点では日本は既に人道 支援を行っており、北朝鮮がどう応えるか(拉致事件情報をどこまで出すか)が焦点 だと思います。

> 過去の清算が誠実に行なわれ、国交が正常化したなら、日本には数十万の在日朝 鮮人がいるわけだし、北には数千人の日本人妻がいますから、彼らが強大な親善大使 の役割を果たし、情報発信をしてくれると思います。
 そうすると、北朝鮮、金正日の緊張政策の根拠がなくなるわけですから、意外に早 く独裁体制は崩れるのではないかと思います。

 確かに情報が行き交えば終焉は早まるはずです。だからそれを阻止する為、国交正 常化後も経済は自由化するが政治は引き締めると考えます。ある意味で中国のように。 だから崩壊が近いかどうかは、経済次第と思います。

>朝鮮戦争の見方について

 確かに、金 国雄さんの投稿を読んでも、民族統一への悲願が感じられます。唯、 武力による「解放戦争」は当時はともかく今となっては認め難い。

>日朝間の不正常な関係と拉致の関連
 確かなことは「日朝間が不正常な関係にある中で」「軍事独裁政権のもとで」行わ れたという事実、これを共通認識にできればいいのです。

 日朝間の不正常な関係が≪原因ではなく≫、たまたまその環境の下で拉致が発生し た、それは北朝鮮の軍事独裁政権が起こした問題である、と言う認識であれば同意で きます。

>拉致家族と金正日の主張の支持、不支持
 しかし、この拉致問題での拉致被害者や家族の言動、そして何よりもマスコミの取 り上げ方は、私には共感を妨げるものでした。
 既に他でも書きましたが、日本には「わが身をつねって、人の痛さを知れ」という いい言葉があります。この機会こそ、日本が朝鮮で過去に行なった蛮行の数々を振り 返り、反省と新たな友好の出発点にするべきだったのです。

 「反省と新たな友好の出発点にするべき」、理念としては理解できます。しかしこ れを直接の被害者に求めるのは過酷です。私には出来ません。一般の日本人がこの理 念で北朝鮮や在日朝鮮人と交流するのには大賛成ですが。。。そして肝心な日本政府の 外交としては、より冷徹に信頼醸成しつつ対話と圧力を用いるしかないと考えます。

> ところが、現実には、在日朝鮮人、特に弱者である女性子供への嫌がらせが起き る、「冷静かつ理性的な対応を」訴えたデヴィ・スカルノのような言動は総バッシン グに会うという有様でした。

 民族排外的な様々な動きがあったことは大変残念です。日本政府やよいしょするマ スメディアが北朝鮮への反感を煽ったこと、少なくとも制止しなかったことも間違い だと思います。

> 少なくとも、帰国後の拉致被害者は、弱者ではなく英雄でした。王様でした。

 私には長年辛酸を嘗めさせられた気の毒で可哀想な人達としか思えないのですが。。 。そう言った人達が怒りや悲しみのあまり多少行き過ぎた発言や行動をしても、許す べきです。もちろん元従軍慰安婦や強制連行された人達に対しても同様に対応すべき です。
 被害者に厳しいこのような姿勢は、イラクで人質にされた3+2人に対するバッシン グを思い起こさせます。

>さて、私が言っているのは、拉致家族の主張が支持できないということで、弱者だ から無条件に共感できるという問題ではないのです。

 弱者だから全て正しいとは私も思いません。拉致被害者の主張には細かい点で行き 過ぎもあろうが、全体では支持できるものと考えるわけです。
 そして明白な敵である金正日体制や小泉政権やブッシュ・ネオコン体制を除いて、 現状を問題視する最大多数が連帯しなければならないと思います。私は拉致被害者と も貴方とも連帯したいのです。我々同じ弱者同士が小異を争っている時ではないと考 えます。何を置いても大同の下に結集する姿勢が必要と思います。

> ただし、これを証明するとなると大作業だと思う。たとえば、国内のオウム真理 教の一連の事件でさえ、誰でも麻原彰晃の指示で行われたと信じて疑わないけれど、 本人が認めない限り証明するには10年以上かかる。
 ましてや、他国の絶対権力者の犯罪である。否定していることを認めさせるために 圧力をかけ、関係を悪化させて、さらに時間がかかるよりは、一致点を足がかりに関 係改善を図り、前述のように、真相解明が可能な環境を作るほうが有効だと思います。

 おっしゃる通り、途方もない時間・労力・費用が掛かります。それを少しでも少な くする為には、信頼醸成しつつ対話と圧力を用いて、北朝鮮指導部にGIVE AND TAKE が利益になることを悟らせるしかないと考えます。
 前にも書いたように、私は北朝鮮の独裁体制が続く限り、拉致問題の完全解明は叶 わないだろうと見ています。それでも日本政府の責任として、武力行使以外のあらゆ る方法を用いて交渉し、出来るだけ多くの成果を引き出さねばならないと考えるので す。

> まとまりのない、迫力のない文章になりましたが、とりあえず再反論とします。

 私の方こそ自信のない文章です。絶対に正しい結論はありえないと思います。熟慮 しながら試行錯誤して進むしかないと思います。常に自分自身を疑う姿勢が必要だと 考えます。

蛇足
 「科学的真理」だの「唯物史観」だの一見勇ましく正しいようで、実は内容が怪し かったり既に学問的にも多くの疑問が明らかにされているものに寄り掛かって、自分 自身を批判的に見れなくなったらおしまいです。我々全てに批判と自己批判が必要だ と考えます。

以上