本田と申します。
> 本田さんに答える2004/08/11 有島実篤
7/23「有島実篤さん、さようなら」という投稿を読み、いきなりさようならとは失礼なやつだなと思いましたが、
有島さんのその前の投稿をもじったのですが、礼を欠いていました。申し訳ありません。
> ですから、もし本田さんが、北朝鮮が「不法行為」(あくまでも「」付き、念のため)を続けるなら攻め込んでもいいんだという思想の持ち主なら、論議はいたしません。
私は、北朝鮮は「」付きではない文字通りの不法行為をしていると認識しますが、それを理由に「攻め込」むことには反対です。
まず、文字通りの不法行為と規定する理由は、拉致行為が国際人権規約などの国際法に明確に反するからです。有島さんが、「あくまでも「」付き、念のため」と言われることは理解に苦しみます。
「攻め込」むとは、私は軍事介入(経済制裁を含まず)と解しますが、それには反対です。人道支援などの美名による軍事介入が、少なくとも結果において軍事侵略に近似し(NATOによるユーゴ空爆など)、美名を隠れ蓑にした意図的な侵略もあった(米国によるパナマ侵略など)と考えるからです。
実は、私は北朝鮮の独裁体制が続く限り、拉致問題の完全解明は叶わないだろうと見ています。理由は、ソ連や東欧の独裁体制の下での殺人・弾圧などの全貌は、その体制が崩壊した後になって判明しつつあるからです。北朝鮮にも同じ目を向けることは至極当然のことと心得ます。(だからと言って手をこまねいていてはいけない。送金停止カード・入港阻止カード・朝銀問題カード・支援カードなど様々な手段を駆使して少しでも多くの成果を得るべく努力せねばならない。)
可能であれば武力を用いてでも独裁体制を倒し、拉致被害者を救出し全貌を解明したい、同時に北朝鮮人民を解放したい、との誘惑に駆られることを告白します。しかしそれは自制せねばならないと考えます。そのような「武力人道介入」の欺瞞や愚かしさは、ユーゴ空爆や米国のソマリア侵攻で体験済みであり、また最悪の場合第二次朝鮮戦争へ拡大する危険性があるからです。
> もう一つ、金正日がどうかに関わりなく、日本人の責任として、一日も早く北朝鮮に対する謝罪と償いをしなければならないという気持ちを共有できるかどうか、そこもはじめに確認しておきたいところです。
前回の投稿にも書いたように、私も北朝鮮に対して速やかに謝罪・賠償をしなければならないと考えます。これは拉致問題がなければ1日も早く、と言うことです。
しかし、これも前回書いたことですが、拙速に応ずれば拉致問題が棚上げにされる危険性のみならず、北朝鮮独裁体制温存の片棒を担ぐ危険性すらあると思います。緊急避難の人道援助は一応例外として急いでやって良いでしょう。しかし、本格的な援助や賠償は北朝鮮の独裁体制維持の手段とならぬよう、時間をかけ慎重にやる必要があると考えます。
言い換えると、北朝鮮が自ら犯した犯罪=拉致問題を外交カードに使っていることに対抗する為、日本政府も自ら犯した犯罪=植民地支配への謝罪・賠償の問題をも外交カードに使うべきだと言うことです。また、金正日の独裁体制が磐石な現状で、無条件に且つ全面的に謝罪・賠償をすることは独裁に苦しむ北朝鮮人民にとって有益なことか?疑問を感じます。
> 「日朝間の不正常な関係」について、本田さんのおっしゃる通りですが、いわゆる「朝鮮戦争」における日本の役割も重大な問題だと思います。
「朝鮮戦争」について論議する必要があるのかどうか(認識が異なるのか共通するのか)分かりませんが、北朝鮮側から見ると、民族統一を目指した南進が、達成寸前でアメリカの介入で阻まれた。日本はそのアメリカの前線基地の役割を果たした。という問題があると思います。その「朝鮮戦争」はまだ終わっていないわけですから、北朝鮮側から見ると、日本は敵国の同盟者であり、決して過去の話ではないということだと思います。
前回の投稿で朝鮮戦争を落としてしまいました。これは私のミスです。朝鮮戦争における日本の役割はアメリカの前線基地であり、まだ終わってないから日本は北朝鮮の敵国、と言うご指摘には全面的に同意します。
しかし、「民族統一を目指した南進が、達成寸前でアメリカの介入で阻まれた」と言うのはあくまで北朝鮮の主観的な見方で、同意できません。反対側の韓国や日本から見ると、民族統一と言う美名による軍事侵攻以外の何者でもありえません。当時唱えられた国際共産主義運動の害悪の一部です。
宮地健一さんが言われるように、
>北朝鮮、ソ連、中国という3カ国とその前衛党最高権力者金日成、スターリン、毛沢東が、南朝鮮に仕掛けた“社会主義国家が行なう侵略戦争”
これには、萩原遼が『朝鮮戦争、金日成とマッカーサーの陰謀』(文藝春秋、1993年)において、アメリカ所蔵公文書160万ページから分析したマッカーサー側の陰謀の側面があります。しかし、それによって、“社会主義国家の侵略戦争”の側面を相殺することはできません。http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/chosen1.htm
が正しい認識だと考えます。
蛇足
宮地健一さんによると、その前線基地を内部から撹乱しようとしたのが、日本共産党の軍事闘争(党中央は分裂した片側が組織を踏みにじって勝手にやったことだと言うが、そうであったとしても、党外からは党の行動としか見えず、従い事実の究明・公表や謝罪・賠償が必要になると、本田は考える)で、前掲の3党に連携していたとされています。
反戦闘争と言う面から見れば英雄的な戦いと言えますが、国際共産主義運動の害悪に汚染されていたと言う面から見れば無謀で悲惨な誤った戦いであったと言えます。
以上