Fahrenheit 9/11
NapervillのAMC30と言う映画館にいって来ました。封切館なので入場料は9ドルも しますが、こういうのは早く見ることに価値があるようにも思います。
この映画はドキュメンタリーだけれども、特に新しい事実を訴えるものではありま せん。イラクの戦争とそれに至る背景は、いわば公知の事ですが、映像でつなぐと色々 とおかしな所が改めて浮かび上がってくるのです。
ブッシュ大統領はそもそも当選が疑問でありゴアの方が得票は多かったことから始 まり、ビン・ラディンとブッシュ会社の関係の深さも、9/11の予防を見逃したことに つながります。映画はブッシュ大統領の危機における行動を揶揄してとらえ、政府の 対応がいかにちぐはぐだったかを見せます。
全ての航空機が飛行停止をくらう中で、なぜかビン・ラディンの家族は特別機で出
国します。
厳しい空港でのチェックで子供のミルクまで取り上げられるのにタバコ用のライター
は制限が緩いのです。
アメリカ人は不安に駆られ、アル・カイーダとは何の関係もないイラクに標的が持っ て行かれます。ありもしない化学兵器や原爆が規定の事実として語られて行きます。
軍事法案がどんどん可決されて行くが、実は議員も内容を読んでいない。これは確 かに「お笑い」ですが、この結末は笑い事ではすみません。
イラクでは多くの市民が殺され、アメリカの兵隊も死んで行きます。死ぬのは失業 が深刻な地域の青年たちばかりです。
マイケル・ムーアは議員をつかまえて、イラク派遣兵の志願申し込み書を渡して歩 きます。もちろん議員の反応はしっかりとカメラが捕らえます。
息子をイラクでなくした兵隊の母親が誰を恨んでいいのかわからないと訴えるシー ンがあります。アル・カイーダを恨むべきなのかもしれないけど、別にアル・カイー ダが息子をイラクに行かせたのではないのです。納得できない戦争というものを如実 に浮かびあがってきます。
おもしろおかしく、国の指導者のバカさ加減を見せる映像の本質は「茶番が生み出 す悲劇」だと思います。悪い冗談はやめて欲しい。これがこの映画が本当に訴えたかっ たことでしょう。