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誠実な議論を喜ぶ

2004/08/08 阿Q 50代 自営業

 とんびさんと尾張さんの謙虚で熱心な議論を読んで、頼もしく感じます。このような議論が広がって、多くの人々の間で「何が必要か」「何をすべきか」という共通の認識が生まれれば、希望が生まれるのでしょうが。

 ロム3さんに言われて思い出しましたが、労働現場の安全対策の基本に「指さし称呼」というのがあります。これは最も簡単なマニュアルにも出ている基本中の基本ですが、その精神を忘れると、この数年各地で続発した重大事故を引き起こします。

 その精神とは、自分が指を向けているものに、私は注意を集中して、それに異常が無いかどうかチェックし、安全を確認するのだという、対象に全神経を集中する真剣さを形にしたのが、対象に指を向けて「**よし!」と声に出すことであるわけです。

 ところがその精神を忘れて、マニュアルを形だけ守るようになると、人差し指を向けて「**よし!」と怒鳴っていても、見れども見えず、ボルトが緩んでいることも空気が漏れて隙間に小さな泡が出ていても気がつきません。重大な事故の前兆を見逃すわけです。

 職人気質の労働者は、文字に頼らずに、自分の身体で事故の恐さ、安全を守る作業の形と精神を身につけて、それを守らずにいい加減な仕事をする後輩をぶんなぐって教育しました。それに対して「経験主義」というレッテルを貼り、自分が賢いつもりで机の上でマニュアルを作成する人間は、現実の環境(腐食性ガス、高温、酸を含む水しぶき、偏った荷重など)の中で、ものの破壊がどのように起きるのか、そのような変化に対して人間はどのような盲点を持ち、注意しているつもりで見逃すのか、という本当に大事なことは理解しません。

 更に重大なのは、官僚主義が進んで、現場の安全は現場の責任、自分はそれを監督するだけという無責任な姿勢で、現場のことを理解せずに机上論で「指導」する。更にトップはそういう無責任で自分の立場を守ることしか考えない管理職ばかりになって、組織がガタガタになっていることも気付かずに、えらいさんたちのお付き合いに忙しい。これが組織崩壊のお決まりのコースです。こういう「指導部」は現場のやる気を失わせ、安全を守る精神、良いものを作る精神を無くさせます。

 これは企業でも役所でも、また政党でも全く同じだと思います。昔は北朝鮮と同じように「革命的英雄主義」なんて言葉を使っていた人が、あるときから「精神などを持ち出すのは観念論だ」などと言い出し、更に時がたつとその時代の流行の精神を口にしたりする。これではどうしようもない。精神とは何か、自分の仕事と生活の中で深く考え、一番大事な、いつでも自分の行動を支え、また規制する原則を確立すべきでしょう。

 しかし各地の選挙協力でフラフラする幹部の行動を見ると、「運動の前進が最優先」という「運動の精神」なのか、数の拡大が全てという「数の精神」なのか、住民の意向が全てという「住民中心の精神」なのか、それともどれほど他の勢力と対立し議席を失い、住民の支持を失っても、あくまで結党の精神を貫くという、そもそもの始めから未来永劫変わらぬ「革命の精神」なのか、よくわかりません。