8月4日、まだ寝静まる大阪西部のベッドタウンを、約500名の自衛隊の部
隊が装備車両10台を伴い行進した。
舞台の中心となったI市の市民は、早朝4時から8時まで異様な光景を目にしたに
違いない。
行進訓練と防災訓練にも名を借りたこの行軍は、所属基地から三つ市を股にかけて
行なわれた、それも7個梯隊、一列縦隊と言うから相当長い行進だったのだろう。
この春この町に隣接するT市でも、同様の行進訓練が行なわれ、市民の怒りと恐怖
を買った、国民保護法を始めとする有事法制がほぼ完成した今、これら訓練は日常化
してくる。
I市から市民への事前通達は僅か実施1週間前に、市の「危機管理課」から
各自治会長、町会長へ「陸上自衛隊の行進訓練につて(お知らせ)」として行なわれ
ただけである、大半の市民には殆ど伝わっていないだろう。
その中で市民への配慮と言えば、「交差点横断は信号機どおり」、「行進は警察へ
の許可条件に従う」と言う2点だけ、実際何が行なわれたかは殆ど不明である。
武装した自衛隊が真夜中から早朝にかけて行軍する、なぜこんなことが必要なのか
分からない。
憲法でも認められない軍隊が武装して深夜早朝の街中を歩き回るのだ、これが当た
り前の事なのだろうか。
かつて警察予備隊が自衛隊に変身した頃、基地の近くに住んでいた私は、よく訓練
に出かける自衛隊の行進と遭遇した、子供達の戦争ゴッコを少し大きくしたような感
じなので、子供心に「なに遊んでいるの、兄ちゃんたち」の気分だった。
少なくとも有事法制が成立した、この行軍が仮に「違法」でないとするなら市民に遠
慮することはない、堂々、真昼間から訓練行軍すればいい。
大手企業の物資満載の大型トラックを止め、バスを止め、時には通勤通学で一杯の
電車も止めて「有事訓練」に励めばいいのだ。
韓国ではソウルの街中でも田舎の小道でも、迷彩服を着た兵士や憲兵隊の行軍に出
会ってドキッとさせられる。
あのような社会にしたくはない、今こそ「有事法制を完成させない」、「発動させ
ない」「許さない」陸海空港湾労組20団体を始めとした闘いの重要性をひしひしと
感じさせられている。