JR連合・西労組の森委員長は7月15日の定期大会で、「1047名の中には鉄道技術者もいる。イラクの鉄道の再建に頑張ってもらえばいいのではないか。技術を持った失業者をイラクは求めている」とのべ、マスコミの取材には、「国労側も意欲的だ。両労組でイラク大使館に支援を申し出た。イラクの治安が安定したら派遣したい」と応えたという。そして雑誌のインタビューでは、「国労から1047名の問題について相談がありました。……国内情勢を冷静にみれば、国内では国労組合員を必要としているところはどこにもない。1047名が国内では全く出番がないけれど、イラクなら出番がある、と国労に問いかけた」「国労から、イラク復興支援に協力したいとの返事が来た」と話している。
一方、9月4日~5日の国労西日本エリア大会では、上村委員長(国労内共産党=革同)は、次のような運動方針を提起した。
「『銃よりレールを』と、平和を願う立場から労働組合として何をなすべきかと論議を重ねてきた。JR西労組との間で『イラク鉄道復興・人道支援会議』準備会を設置する。平和的・人道的にイラクの鉄道のインフラ整備等、復興に関わって行くが、『安全』確保が最優先されねばならない。」
★怒りなしには読めないとは
このことだ!
1047名当該はもとより、国鉄闘争に心を寄せ共に闘い続ける多くの仲間は、怒髪天を突き、おのれの血の逆巻くのを抑えることは出来ないであろう。「四党合意」への屈服、政治解決路線の末路と言ってしまえばそれまでだが、この二重三重の裏切りを絶対に看過してはならない。何よりも、糾弾されねばならない第一の点は、不当労働行為で解雇された労働者、しかも17年間の長きに渡り解雇撤回・原職復帰を掛けて闘う仲間に対し、「国内では必要とされるところも出番もない。だからイラクに行け」とは何事か! 解雇する側の資本の言い草と寸分も違わない。労働組合とは絶対に相容れない発言だ。
第二の点は、このJR連合西労組・森委員長の発言を、元国労本部副委員であり国労内日本共産党=革同の幹部である上村委員長が、なに一つ抗議することもなく全面的に受け入れ、国労西日本の運動方針にしていることだ。自衛隊が出兵し、米英のイラク侵略戦争に参戦し、さらに、労働者を戦時体制に動員する有事法制が具体的に発動されようとしているまさにその時に、「イラク鉄道復興支援」を、エリア本部とはいえ国鉄労働組合の運動方針にすると言うことは、 陸・海・空・港湾二〇労組を始めとする有事法制反対・戦争協力拒否の闘いを裏切り、内部から破壊するものだ。
★「銃よりレールを」ときた。
ふざけるんじゃない!
今イラクで同じ言葉が、あのべクテル、ハリバートン、SSA(ウム・カスール港を「経営」し、搾取の限りを尽くすアメリカの沖仲会社)などの侵略企業の「錦の御旗」となっているではないか。これが第三点である。
イラク全土を「民営化」し、暴利の限りを尽くすために、「インフラ復興」や「人道支援」が、「平和的」と言う枕詞をつけて強行されているのが今のイラクではないか。侵略戦争において、「銃」と「レール」が別のものとして個別に登場するわけがない。むしろ「レール」が「銃」を引き込み、「銃」によって「レール」が敷かれるのだ。この事実は、日本の満鉄と中国侵略戦争の歴史が物語っている。それを、JR連合・西労組と国労西日本エリア本部が手を取り合ってやろうというのである。 我々は、この裏切りを絶対に許さない!