久しぶりに立ち寄ったのですが、読むうちに一言言わざるを得なくなりました。
途中割り込みなので誤解があればご指摘ください。
むぎむぎさんのネットコミュニケーションや反核運動についての論評、なるほどと
思うところも多かったのですが、一つだけ素通りできない内容がありました。それは、
人質家族がバッシングを受けたのは、場所をわきまえずに自分の主義主張を訴えた彼
らの非常識な言動が原因であるというくだりです(10月20日)。
どのような主義主張であったのか具体的に書かれていないので、私がニュースで知
りえた範囲で考えると、アメリカのイラク戦争を批判し、それに追随する小泉首相を
批判して自衛隊の撤退を求めたことなのでしょうか? では、政府批判をせずに自衛
隊の撤退を求めるだけ、「一般大衆の」同情可能な範囲だけで、政府にお願いをして
おけばよかったということですか?
これには納得できません。「活動家独特の言い回し」をことさら問題にする批判の
仕方は問題の本質をそらし、ある言葉を使うだけで「主義者」のレッテルを貼って監
視の対象にした戦前の歴史を思い出してしまいます。
私も大衆の一人ですが、あのバッシングには腹が立ちました。あれは決して一般大
衆が活動家の行き過ぎた言動に反発(アレルギー)を起こしたというものだけではな
いと思います。「反日分子」という言葉も飛び出したように、国の方針にあからさま
に反対することを罪悪視する気分がまだ日本人の心の奥底に潜んでいることを示した
のだと思います。
都会の方には分からないかもしれませんが、上に立つ者に公然と反対し難いのが田
舎の現実です。最近、そんな風潮がむしろ助長されているような気がします。
最近の若者は(決してすべてではありませんが、以前に比べると)表面上大変素直
で、決して公然とは反発しません。自分の主義主張がないからです。主義主張をする
ことを罪悪視する風潮が再び日本の民主主義を掘り崩してしまうことを恐れます。
もう一つ、人質となった高遠さんたちが誘拐犯に同情を示したのは異常な心理状態
によるものだという推測も納得できません。アメリカの不法な戦争によって家族を、
友人を殺害され、アメリカの近代兵器の前になすすべのないイラクの人たちが復讐心
に燃えてあのような行動をとることは、高遠さんでなくとも、善し悪しは別として理
解はできるからです。少なくとも、銀行強盗と同列に置くのは乱暴な議論です。
あの発言は、イラクで犠牲になった子供たちを身近で世話をし、劣化ウラン弾の被
害を目の当たりにした若者の正義感によるものであり、その冷静な視点に私は感心し
ました。