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マルクス主義の虚と実

2004/10/18 雁固 60代以上 自営業

  「マルクス主義」の虚と実

 マルクスは、「共産党宣言」で見る限り、自分らの思想を「コミュニズム」、その仲間たちを「コミュニスト」と表現しました。これは資本主義社会の次に来る社会の必然性を定義した標識です。すなわち歴史的概念です。

 現在の地球社会は「資本主義」という歴史概念でくくられます。しかしそれを例えば、「国富論」の著者名をあがめて「アダムスミス主義」とは誰も言いません。

 この「資本」主義に対し、次の社会は、「個人財産としての『資本を共有』化する」ところに歴史の結節点があるとして、「コミュニズム」=「共産主義」が、歴史概念として定義されました。「共」は共有であり、「産」は個人所有の資本を意味します。個人財産ではありません。

 歴史の結節点の発見者であるマルクス・エンゲルスが、「コミュニズム」=「マルクス主義」と矮小化されて称されることに、不快感どころか怒りを覚えたのは当然でしょう。アダム・スミス並みにさえ扱われないわけですから。そのことより、「コミュニズム」の歴史的意味が、核心において理解されていない象徴であるからです。

 そこへつけこんだのがレーニンでありました。彼は・・・「コミュニズム」を「マルクス主義」と崇める振りで吹聴し、マルクスを「自家薬籠中の物」としました。マルクスの大衆革命論を、「少数者=ボルシェビキ」革命に置き換え、ボルシェビキ独裁の刑務所列島をロシアの大地に築きました。

 ボルシェビキは、70年にわたって、「科学的社会主義」をウソブき、豊かなるシベリアを不毛の凍土に放置したのでした。このような「科学的社会主義」の正体については、「共産党宣言」第三章でレーニン、スターリンをそこに見据えるように、批判が展開されています。単なる批判にとどまらず、その末路までもズバリ指弾しています。1846年の眼を持ってですよ! その論理的な慧眼には感嘆するばかりです。

 アメリカの、グローバリズムの大金融資本家ソロスは、ハンガリー共産党からの亡命者です。彼の活動はマルクス主義者ではなくコミュニストのようです。これは何らかの暗示と受け止めていいようです。マルクス主義は観念に安住し、コミュニストは前を向いてデータマイニングする、というように。

        以上