以前よりサイトの存在は知っていたのですが、投稿は初めてです。
こちらの討論欄(HP全体にわたってですが)では、散発的な議論が各所で続いている感
じがしてどう参加していけばいいのか、入射角が図りかねるような気がしたので、書
き込みは遠慮していたのですが、この機会に一筆してみようと思います。
本サイトは党より「反党」とレッテルが貼られておりますが、趣旨その他を拝見す
るところでは、直接的な党の解体を目的としたものではなさそうですので、興味をもっ
て時折拝見してきました。まずは、限定的な自己紹介をしますと、現在30代の失業者
です。以前は中小零細企業を渡り歩いてきた者です。
党へのコミットメントとしては、十年ほど前に、民青同盟員としての活動暦があり
ます。しかし、東欧・ソ連・中国党などの現状をみるにつけ脱退をしましたが、心情
的左翼として現在に至っています。選挙においては、消去法で共産党を不定期的に支
持したにすぎません。
以下、雑感として報告し、討論に参加したいと思います。
(1)労働者の現状と左翼の復権
私の問題意識としては、現在の境遇からも実感をもって感じるのですが、これ以上
金持ち階級をのさばらせてはならない、ということ。まず、日本資本主義の搾取は度
外れています。以前上田氏が某月刊誌において小室直樹氏と対談しているのを拝見し
たが、まさに搾取というより強奪といったほうが適切な現状が観察されるのはその通
りです。私は長時間低賃金労働という実態をつぶさに見てきました。朝九時から夜の
十二時終電まで働かせる企業の何たる多いこと。まさに殺人的な労働を労働者に強い
ていることに私は愕然とする。
また、賃金においては、この十年賃上げした企業がどこにあるのでしょうか? 大企
業の大労組でさえベースアップをまともに取り組めない現状が依然として続いており、
中小資本の労働者ははまったくかやの外におかれている有様である。
さらに、高齢化社会論のデマゴギーにより税・社会保険料は高騰する一方で、全く
展望の見えない社会像を労働者に植え付けている「朝日」や「世界」でさえ、社会保
険料の高騰やむなし、消費税アップを支持している。増え続ける一方の失業者と生活
保護世帯。さらに自殺者も急増している。このような中、「未来」の直接的な生産者
である女性が子供を生まない少子化現象が現出するのは、世界第1位の教育費負担率
の問題とあいまって、少し考えれば誰でもわかることだ。
それに引き換え、一方では「景気のいい話」がマスコミの話題になっている。都心
回帰のマンションブームとやらで、億ションが完売されただの高級外車の販売が堅調
だの、ブランドショップが新規出店だの、もう聞くだけでうんざりするような、資本
家階級のやりたい放題の現状である。税負担も戦後考えられなかった程の高額納税者
への負担率への移行(30%代)であり、逆に大衆課税が強まっているのは、金持ち優遇
政策の最たるものだ。
このような現状の中、まさに「国民的」(*)かつ「階級的」な左翼政党の役割は益々
重要性をおびてきている。時代の閉塞状況を突破するためにも世界(史)的構想力(使
命)(**)をもった左翼の再建は喫緊の課題であると確信する。
(*)愛国左翼(PatriotLeft)とよばれる一連の議論が「国家主権」や「近代」をめぐっ
て思想闘争の局面で主に議論されてきているようであるが、この評価については現在
は触れることができないでいる。しかし、「国民的課題」に直面することは早晩確実
であろうと思われる。
(**)合理主義と経験主義、必然と偶然、科学と思想(宗教)或いは主体性。とでもいえ
ば指し示すことが可能であるところの問題を伏在させていることを示唆するにとどめ
る。また、不破氏などがその議論の支えにしている、「全一的世界観」などのレーニ
ン的表現が示すように世界観党としてありつづけてきた党の問題があることを、私は
私自身の問題として身に引き寄せて思索していきたいと考えている。
(2)世界情勢と関説しての所見
バブル景気の終焉と同時に円高対策としての生産拠点の海外移転は加速度的に進行
し、産業空洞化=内国労働者棄民は現在まさに頂点に達しようとしている。現在進行
中のINFが介護医療分野のみに留まらず、全産業に波及していくのも十分に警戒をし
ておいてよいと思う。現に経団連は外国人労働者の受け入れ政策に本腰を入れ始めて
おり、まさにグローバリズム下の産業政策づくりの完成を急いでいると見てよいだろ
う。とりもなおさず、このグローバリズムとは、アメリカ一極支配をアジアにおいて
補完するという意味でしかないだろう。いかに中国との貿易額が増加したといっても、
軍事政治的な干渉・支配を受けているアメリカから自立しないかぎり互恵の経済的発
展は望めないだろう(台湾・朝鮮半島問題が根深くある)。
一部でアジアの経済圏構想を主張しているグループがある。マレーシア・マハティー
ルの主唱によりアジアにおける国際決済を主導できる銀行設立を含めてアジア経済圏
を構想しており、中国、日本も一部のグループが設立準備の構想を共有したが、アメ
リカの干渉にあって実現ができなかった。ヨーロッパのEUに匹敵し、またそれ以上の
潜在的発展性を秘める経済圏が誕生することは、米の太平洋覇権に一定程度のプレッ
シャーを与えることに我慢がならなかったと見られる。不破指導部はマレーシアへの
野党外交を行っているが、このあたりの情勢分析を綿密に行い、注意していく必要が
あろだろう。
しかし、一方で中国を筆頭にアジアの経済成長を続けるニーズやインド等の各国の
政治的自由や経済的平等度は、非常に危険な状態であることをはっきり認識すべきで
ある。特に中国では、共産党とは名ばかりの単なる独裁政党が内政全般を壟断してお
り、国民に政治的思想的な意見表明や行動が不当に禁圧されているほか、基本的人権
をも侵害する措置が公然と行われている。このようななか、日本資本が中国共産党と
癒着結託して現地に工場を建設し、団結権等の奪われた労働者をまさに「国際価格に
おける低賃金」で搾取を行っている(松下電器工場では「松下幸之助の学べ」!)。
不破指導部では、中国共産党との関係改善が先ごろなったが、内政には不当に干渉
しないという原則をお互いに尊重するのは結構であるが、プロレタリア国際主義にのっ
とった冷静な分析視点を確保することは大前提である。松下などの日本資本に搾取・
抑圧される中国の友人たちはわれわれの同志であることを忘れてはいけない。
(3)財政危機と国内労働者への国家的強奪
前述のように資本が国境を越えるということは、次第に労働者の国籍性が希薄になっ
ていくことである。と同時に一国的な財政運営が困難になっていくことを意味する。
現にわれわれは、生産の無政府性をいやというほど見た「バブル」後に、資本家たち
はより安い賃金労働者を国内に求めた挙句(経営責任の転嫁である解雇をリストラと
言い換えた/正社員の非正規雇用化/「フリーター」の未曽有の増加…「産業再生法」
「労働基準法改悪」)国境線がつくる価格差に眼をつけ、「国内産業の空洞化」を推
し進めてきたのを見た。その結果、税収が減収し国家財政の危機的状態を招いてい
る(exソニーは法人住民税をほとんど支払っていない)。
また、国内産業の筆頭株である建設公共事業に対して数次の「経済対策」がとられ
たが、財政破綻を前にした火事場泥棒の手助けをしたに過ぎない。さらにさかのぼっ
ていえば、金融安定化の措置として不良債権処理の名目で銀行に「公的資金」が投入
されたが、そのほとんどはその銀行が貸し込んだ大手不動産会社や建設会社の債権放
棄に当てられた。いったいここで一番得をしたのはだれだ! 金丸・竹下(リゾート法
の立役者)・小沢に象徴されるリクルート事件でもしめされたように政官財癒着に暗
躍し、国土環境を破壊し、国民生活に破壊的な影響を与えたバブル紳士たちの尻ぬぐ
い(料亭クラブ通いと愛人のお手当て込み)を国民の税金でこの国は正々堂々と行った
ことをわれわれは決して忘れてはならない。
(4)資本と国家そして国際連帯
(2)と(3)において問題となってきたことは、資本と国家という問題に収斂するが、
ここで歴史を振り返り、あらかじめこれに答えるならば、エンゲルス「共産主義の原
理」問19の答をあらためて噛みしめるべきであると考える。現在党理論家の経済プロ
パーの人士には、近代経済学のタームを批判的に援用しつつ財政問題を講じてはいる
と思うが、世界資本主義論(***)がさっぱりと欠落しているのは、どういうことなの
か理解しがたい。われわれは既に中国やインドやもちろんアメリカ経済の甚大な影響
下にいる。「日本経済の提言」どころではすまない領域の問題が目前にあるのに、こ
れらの理論的解明がお座なりとなっているのは、革命戦略の構築にとっていかんとも
しがたい状況ではないだろうか。
われわれ左翼のとくに、「共産党」という看板は世界党としての行動がそのアルファ
であることを認めてきたのでないのだろうか。今、スターリン主義的な行動をとって
いると目されるのは、中国・北朝鮮の政権党をおいて他にはないが、全世界の共産主
義者と幅引く連帯し団結を求める行動を惜しんではならないだろう。決して友党とい
えどもいうべきことははっきりと主張し、お互いの到達点を確認しあう、普通の交友
関係を世界の諸党ときづくべきであると考える。
現在とくに国内で問題となっているのは、北朝鮮の横暴な態度であるが、結局国内
の反動派に利用されており、この北朝鮮問題の解決は、重要な試金石となるとみて間
違いない。
(***)I・ウォーラスティン、岩田弘(肯定的なブントないし元ブントからの評価は除
外したい)が示唆的であり興味深い。
(5)党改革と日本革命、世界革命
私は、日本共産党の現綱領と規約を認めない立場にあるがゆえ、いくども入党を考
えたことがあったが、入党していない。しかし、私は労働者解放の学説たる共産主義
を否認しているわけではない。かりに擬態として綱領・規約を認めて内部から改革し
ようと考えたが、所詮除名処分をされるのが眼に見えている以上これ以上のコミット
は身の危険を感じる。が、しかし、日本革命と世界革命を追求する共産主義者の組織
が、このホームページで各所で指摘されているように、これ以上変質するのをまじか
で見ているのは本当に辛い。あえて本討論に参加する理由でもある。
また、本討論の目的として管理者等も含めて確認をしたいが、ここで議論されてい
ることは、党破壊ではなく、建設的な議論が多いと思うが、しかし、党からは反党と
批判されている。また、これらの議論が明らかにしたところが、最終的には新綱領と
規約を求める運動へと発展した場合、「民主集中制」的な言論の内部であくまでも追
求するのか、ないしは分派闘争へもいく構えをもっているのかということは、はっき
りさせたほうがよいと考える。管理者の発言のなかで気になったのが「悪法も法」と
いう言い方だ。
私は、はっきり断言するが悪法には絶対に服従しない。治安維持法に服従するぐら
いなら10年でも20年でも監獄にいくことを私はあえて選択するし、帝国主義侵略戦争
には絶対に参加しない。これは正義と尊厳の問題である。民主主義的中央集権制の弾
圧装置としての研究は、藤井氏や田口氏の著書などに詳しくあらためて詳述するほど
の問題ではない。現に本ホームページで報告されていることはこれらの例証ではない
だろろうか。しかし、私は藤井・田口氏らが絶対的に正しいとは思わない。まだまだ
研究されてしかるべき余地がのこされた問題であろうと考える。
では、なぜ日本共産党を問題にしなくてはならないかだが、国際共産主義運動をこ
れ以上混乱させてはならないことと、日本革命と世界革命を前進させるための二点で
ある。