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中国原潜侵犯問題

2004/11/19 阿Q 50代 自営業

 自分だけ知っているつもりでぺらぺらと浅墓をしゃべる人間ほど始末の悪いものはありません。

 「原潜反対は左翼の戯言」などと書いていますが、私は原潜反対などと言ったことはないし、他の人たちがそんなことを言うのを聞いたこともありません。

 そもそも、原潜と原子力空母と、本質的な違いはありません。そしてまた、原子力船「むつ」に反対せず、かつてソ連が打ち上げた原子力を使った人工衛星に反対しないのであれば、動力に原子力を利用することに反対する理由は全く無く、そして世の中に軍艦というものが存在する限り、その動力に(潜水艦であれ空母であれ)原子力を利用することに反対する理由はありません。

 問題は、原子力の利用をどう考えるかという問題(当面は利用をやめることは不可能)と、原子力に関係なく軍艦の動きをどう考えるか、そして領海をめぐる中国との関係にどのように対処するか、という3つの互いに全く無関係の話でしょう。

 原子力を動力として利用することが認められている限り、中国が原潜を運行させることに文句を言う筋合いは全くありません。私は原子力は危険なものだと考えているので、廃止の方向に向かうべきだと思いますが、当面実現は不可能です。米軍の原子力艦船の日本への入港に対する反対運動が何度もありましたが、私はそれを原子力を動力としているから反対、と認識したことはありません(そんなこと、夢にも想像できない!)。米軍の世界戦略の重要なハブとして日本の港湾が利用されることへの反対として認識していました。

 「軍艦の動き」と書きましたが、実際には航空機、更に人工衛星も含めてスパイ大作戦が展開されているのですから、領海侵犯、領空侵犯など日常茶飯事で行われており、アメリカの原潜がつねに日本の領海内を航行していると同時に、中国の原潜もチャンスをうかがって侵入していたと考えるべきで、今更騒ぐのがおかしいでしょう。

 かつてソ連の空軍機が日本に領空侵犯したとき、スクランブル発進した自衛隊機のパイロットは非常に緊張したでしょうが、相互に軍事力を構えて対峙している状況がある限り、そのようなincidentが発生するのはあたり前のことで、我々一般の人間が騒ぐのがおかしいのです。軍の指導部にとってはそのような「探りを入れる」行動はルーチンであり、偶発的に撃墜などの事態が発生しない限り、「いつものように」平和裏に処理されます。

 今回の中国の原潜による領海侵犯も、中国側がすなおに認めて「遺憾の意」を示せば、簡単に外交ルートで処理できる問題のはずです。たまたま我々の目に見える形で示されたから騒ぐけど、メディアが取り上げなければ、毎日どれほど日本の領海を不審な艦船が航行していようが気にしない、というのでは、メディアに振り回されるアホというべきでしょう。

 あるいは、振り回すのはメディアではなく米軍筋かもしれません。今回も、まず米軍が中国原潜をキャッチして自衛隊に通報したから、海上自衛隊がそれをフォローしたのじゃないですか?それを「高度な対潜探索機能をもつ自衛隊」などと、自衛隊の装備を誇るような幼稚なことを言っているようでは、話になりません。米軍にぶら下がっているだけの話です。アメリカさん頼みの「日本はすごい」ナショナリストというのは、戦後日本の右派のゆがみの特徴ですが、アメリカにすり寄って虎の衣借る狐で、でかい面するなどというのは、「誇り」などというものではありません。

 テロとの戦争に何の役にも立たず、ソ連が消滅した現在、必要性など正気の人間ならとても考えられないミサイル防衛網の配備をアメリカに押し付けられて、多額の税金をそれに使われるだけでなく、ナショナリストであれば目指すべき国産化も、アメリカの圧力であきらめ、米国製のミサイルやレーダーや情報処理装置を買うだけ。自前の技術開発はできません。

 こんな屈辱的な無駄金使いをさせられても、アメリカベッタリのナショナリストは、「自衛隊は最先端のミサイル防衛網を持っているんだ」と自慢するのでしょうか?その程度の頭の持ち主である前の防衛庁長官の石破のような、幼稚なオタクにリードされたら、日本は戦前の失敗を繰り返すでしょう。しかし今度は「焦土からの復活」はありえないでしょう。

 3番目の問題の領海に関わる紛争は、韓国、台湾などとの間でも抱えているので、東アジア地域全体の経済協力や安全保障に関わる協定などの文脈で解決すべき問題でしょう。